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子育てはロープレではなくバトロワだった

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤田朋伽(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
テレレレッテッテッテー。
勇者はレベルが上がった。
攻撃力が上がった。
防御力が上がった。
〇〇の呪文を覚えた。
 
私が子供の頃は、ファミコン全盛期で、
親に拝み倒して、ファミコンを買うための列に
並んでもらったりした。
周りの子のように沢山カセットは買ってもらえなかったけれど
好きなゲームは何度もプレイした。
 
特に好きだったのはロールプレイングゲームだ。
悪の化身を倒すために、冒険をする。
モンスターを倒しながらレベルを上げる。
モンスターを倒したお金で装備品を買って進む。
 
物語の展開が面白くて、次はどんな風になるんだろう?
と布団の中でワクワクしながら考えた。
主人公達が強くなるたびに自分が強くなったような気がした。
 
流れでプレイしてもクリアはできるのだが、
私は攻略本は読まずに、どうしたら安全かつ、
確実にクリアできるのか
考えて進めることが好きだった。
 
 
先々を考えて、持ち物を決める。
このレベルになるまではボスに挑戦しない、
このレベルだから先に進む。
まわりのモンスターの強さを推しはかりながら、考えて、進めていく。
 
 
これが私のプレイスタイルだった。
何度も何度もこうやってたくさんのロールプレイングゲームを
クリアしたのだ。
 
このやり方は、ゲームだけでなく勉強や仕事でも活かされた。
ゴールに向かって慎重に計画を立てる。
無理なく確実に目標を達成するためのスケジュール作りが
勉強や仕事の中でも大好きだった。
進捗を確認して、目標とズレがあれば修正する。
 
「スケジュールを立てたり、進捗管理をするのが本当に上手ですね」
そう会社の上司に言われた時に浮かんだのはゲームのことだった。
「あの時の計画性が生きてるな」
それまで意識したことはなかったが、
この仕事の仕方の原点はロールプレイングゲームだった。
ゲームで培った能力が成長した後も活かされ、
そのおかげで沢山の成功体験を生むことができたのだ。
そこからも人生の中でロープレ理論は役にたった。
 
ところが、私の人生の中で、ロープレ理論が通じない存在が現れた。
 
 
『息子』だ。
 
彼には計画性が通用しない。
目標を持って計画しても、ことごとく
それを破壊していく。
 
健康に育ってほしいと思って、野菜たっぷりの身体に良い食事を作っても
ぽーいとお皿をほおりなげる。
道路では安全にと思って手を繋ぐが、手を振り払って
危なそうなところに突っ込んでいく。
これからの社会を生きていくためには語学力が必要だと思って英語を
習わせると、先生の家で寝ころんでマンガを読みだす。
 
私の計画が全く役に立たない。
目標と全く逆の方向に全力で突っ走る彼を、
私は呆然としながら眺めていた。
 
 
「子育てはロープレみたいには上手くいかないものだね」
ある日、あまりにも疲れ切ってぼそりと主人に愚痴った時に
主人がこう返してくれた。
 
「当たり前だろ。子育てはロープレじゃなくて、バトロワだよ」
 
バトロワ……バトルロイヤルゲーム。
最後の一人が生き残るまで闘うゲームだ。
相手がどう動くか考えて、必要なものはその場で調達し
臨機応変に対応していく。
最近はやっているゲームジャンルのようで、息子もやり始めていた。
 
子育てはロープレではなくバトロワ。
ロープレ理論で成功体験を積んでいた私には衝撃だった。
 
今までロープレ理論でバトロワしていたから苦しかったのか!
どこに敵がいて、どこに装備品が置いてあるか分からないのに、
ここにあるだろうと勝手に思い込んで計画して
進めてしまっていた。
そして、何も調達できずに、敵に見つかってゲームは終了するのだ。
 
そんな事を考えていたということもあり、
今まではロープレを中心にゲームをしていた私だが、
バトロワ系のゲームを息子にやり方を教えてもらいながら一緒にやってみた。
 
 
計画的に進めることに慣れている私には
とても難しいゲームだった。
おおまかな計画性はあるにしても、細かい計画は役に立たない。
現地でどれだけ臨機応変に立ち回れるか、
それが要求される世界。
 
何度も息子と一緒にゲームをするうちに、
この状況変化に臨機応変に対応していくことが
楽しくなってきた。
 
計画通りに進める楽しさとはまた違う、
何がおこるか分からないからこそ楽しい、という世界。
その世界で生き残れた時の喜び、生き残れなかった時の悔しさ。
 
 
あ、これ確かにこれは子育てと同じだ、と感じた。
子育てとバトロワゲームを一緒に語るなとお怒りになる人もいるかもしれないが、
この計画通りにはいかないからこその喜び、悔しさ、この感情の高ぶりが
楽しいと感じていた。
 
そして、そうやって子育てを見ると、
この予定調和にならない子育てはなんて楽しくて
ワクワクするものなんだ、と思えるようになってきたのだ。
子育てのトラブルを少し楽しめている自分がいた。
 
副次的な効果として、子供とゲームをすることで共通言語が増えて
楽しい会話が増えたことも私の中ではプラスの出来事だ。
 
私はゲームが好きなのでゲームによって気づきを得たが、
ゲームでなくてもいいのだ。
 
きっと大切なのは少しだけ物の見方を変えてみること。
 
目の前で難しいことが起きているのであれば
少し視点を変えて見てみるといい。
 
人は新しい環境においては、自分のかつての成功体験を
使って対応しようとする。
それで上手くいけばよいが、上手くいかない時は
視野を広げて、違う世界を見ること。
 
それにより、元居た世界が少しだけ違う世界に見える。
自分の見方が変るのだ。
見方が変ると、新しい捉え方ができるようになる。
捉え方が変れば自分の行動が変っていく。
 
子育てをロープレ視点からバトロワ視点に変えたことで
私たちの親子関係は変ったし、計画通りにいかないことを
楽しめるようになった。
 
別視点を持つことは、悩みの渦中に居る時には見えない世界を見せてくれる。
捉え方を変えると相手との関係性も変ってくる。
そう、それはあなたのレベルを上げてくれるのだ。
 
 
テレレレッテッテッテー。
あなたはレベルが上がった。
物の見方が変った。
捉え方が変った。
トラブルは楽しいの呪文を覚えた。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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