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おっかない先生と生徒指導


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記事:佐藤良樹(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「お前、教員のセンス全然ないな」
お酒を飲んで少々酔っぱらい気味みの先輩の先生から笑顔で言われた言葉だった。その先生はすぐ怒鳴るおっかない先生で、私はなぜか
「はい、すみません」
と誤っていた。
 
私は6年間教員をした。4年目から6年目にかけて中学1年生から3年生まで持ち上がって担当し、5年目と6年目は担任をさせてもらった。卒業生も送り出した。
 
大学卒業後、教員を始めた私は教員としての立ち回り方が全くわからなかった。怒鳴り散らす先生を見ては、
「おっかねえ先生だ。関わらないようにしよう」
と思っていたし、自分が担当していた授業では生徒に
「怒鳴り声を聞くと、想像を司る脳の活動が30%も低くなるんだってよ」
とおっかない先生の批判的なことを言ったこともあった。
 
その先生が職員室で、あの生徒のここが悪い、あれがダメと話しているのが聞こえてくると、まるで自分が言われているような気がして、落ち着かないし、嫌な気持ちになった。辛いなと思うことが多かった。
 
今考えると、生徒のような考え方のまま、年を重ねただけの人が先生をやっていたなと思う。だから、飲み会の席でこう言われたのだ。「お前、教員のセンス全然ないな」と。
 
だが、私が中学生の頃から思っていたことがあった。
「ただ一方的に、生徒がやったことについて話を聞かずに決めつけ、ただ怒鳴り散らかすだけ」
が指導なのかと。先生の都合の悪いことを生徒がやると、ルールだからの一点張りで、言い訳をしようものなら反省しろ! 泣け! と言わんばかりの形相で睨みつけながら大声で怒鳴る。
 
教員として、「生徒が置かれている時間、場所、状況に合わせた行動を自分自身で考え、動くことができるようにすること」が大切なのではないか、と思っていた。自分で考え行動するためには、想像力が必要なのだ。怒鳴っていては想像力を欠き、怒鳴る方も、怒鳴られた方も「考える」ということができなくなってしまう。ただ、多くの先生は家畜を扱うように怒鳴り散らかす。これではいけないと思っていた。
 
では、どのようにすればよいのか。まずは、問題が起きた両者の生徒が感じていた状況を聞くことだ。例えば、A君は「自分が相手に嫌なことをされたから殴った!」、B君は「ただその道を通りたくて、退いて欲しかった」と答えたとする。次に、その状況に足りない立場の部分について説明する。相手はなぜそんなことをしたんだろう? という切り口から説明するのだ。それぞれの事実を話し考えさせることで、殴ってしまった方は謝罪。退いて欲しかった方は嫌がらせと感じさせない別の伝え方を考えるだろう。このように、時間をかけて確認していけば生徒に考えさせる指導ができるのだ。
 
ただ、時間がかかる。とにかく時間がかかるのだ。朝から夕方まで授業や自分の仕事に追われている先生という仕事は、先生自身が心の余裕をなくしている場合が多い。結果として、殴った一点のみが悪いと決めつけ、そこについて「もうやるなよ」と怒鳴るのだ。
 
だが、怒鳴る先生が飲み会で語る教育感は一緒なのだ。おっかない先生はこうも言っていた。
「生徒はまだガキでわかっていない。ダメなことはダメと伝えていくしかない」
「あれを続けられるとその生徒が周りから嫌われて一人ぼっちになってしまう」
話を聞いていくと、その先生なりの思いやりが見られるのだ。
 
続けて生徒指導のやり方については、こう言っていた。
「まず、その場で見ていた先生が指導をする」
「次に、別の先生が指導をする」
「担任の先生あたりがフォローを入れて、最後は最初の先生のところに戻すようにして欲しい」
 
「なるほど!」と思った。自分が中学生の時はフォローされることがなかったのかもしれないと。一人一つずつ話をされれば生徒の方も聞くことができるだろうし、あまり時間をかけなくても良い方法だなと感じた。生徒の指導の仕方一つをとっても色々あるのだな、奥が深いな、まだまだ勉強不足だなと思った。
 
結局生徒を指導していく上で大切なことは、
「時間を守ること」
「時と場所と状況に合わせた態度が取れること」
「お陰様で……という感謝の気持ち」
この3つを学校生活で学ばせていくことが大切だなと学ぶことができた。
 
生徒も十人十色で、好きな先生や嫌な先生のタイプは分かれて当然である。だから、先生も色々なタイプの先生がいていいし、色々な方法で伝えていかなければならない。効果のある方法は必ず存在するはずだが、生徒の受け取り方次第で良し悪しが決まってしまう。3年間という時間の中で、多くの先生が関わり、その経験から生徒が自ら考え、数年後に「先生が言っていたのはこういうことだったのか!」となることを願いながら指導をしていくことが大切だと感じた。
 
だから、今日も
「おはよう! 今日の調子はどう?」
と聞いたり
「ちょっと集合! 今の見ちゃったんだけど、それどうしたの?」
と呼んで事情を聞いて回っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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