メディアグランプリ

子どもの習い事にかける親のお金、時間、そして情熱の行方


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記事:ノリイ(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
われながら入れ込みすぎなんじゃないかと思う瞬間がある。ましてや、周りの親を見ているとわたしなんてかわいいもんだ、なんて思っちゃうぐらい熱の入っている人を見てはホッとしたりしている。
 
長女が保育園から幼稚園へ転入したときに第一波が来たような気がする「習い事何してる?」
そこから始まった、怒涛の習い事という名のやってるアピール。
 
英語、バレエ、造形、歌、体操、プール、書道、お料理、発明、プログラミング、勉強、ダンス。
こうやって書き連ねてみると、よくいろいろなものにお金をつぎ込んできたものだと、われながら驚いてしまう。今思えば「発明」を習いにいくっていうのは一体何だったのか。
 
まだ15年ほどしか生きていない長女が、結局今も通い続けているのはダンスだけ。
 
親の憧れ、取り残される恐怖、周囲からの圧力、子どもの願望、といったさまざまな感情が入り混じっておつきあいで始めたものもあった。仲の良いお友だちが通うから自分も行きたいといって始めたピアノは親も子どもも結局あまり興味を持てず数ヶ月で辞めてしまった。3年ほど続けたプールはダンスを始めたいと言った時に、そんなにいくつも通わせるのは予算オーバーだと伝えたらあっさりと辞めると言った。子どもなりの忖度があってのことだというのはわかったけれど、ずっとプールを続けていた友だちと海に言った際に1人だけ平泳ぎができず、ずっと浮き輪が手放せなくて悔しそうな顔をしていた娘の表情は印象的だった。いつもはヘラヘラしているくせに、一丁前に悔しがるんだなぁと成長を感じたものだ。
 
ドラマにもなった受験漫画で「受験は父の財力と母の狂気だ」といった感じのセリフがあったが、それは受験に限ったことではなくて、子を思い、子に己のプライドを投影する親にとって子どもの出来不出来はそのまま自身の評価につながるような気持ちになる。
 
わたし自身、我が子には他の子よりも魅力的であってほしいと思ったし、周りがひらがなが読み書きできるようになれば負けじと教えようとしたものだ。
しかし、そんな右やら左やらへ習え! を慌ただしくしてみているうちにふと気づいてしまった。
そう、うちの子は当たり前だが私の子どもだ。良くも悪くも、凡人なのだ。
そして、無条件に我が子はかわいい。
 
娘の仲良しのサラちゃんはお目々パッチリ、お人形さんのような顔をしていてスタイルが良い。読書が好きで自分から宿題をするし、学校の成績も優秀。運動神経も良く、物おじせずに大人と会話もできる。素晴らしいお嬢さんだが、わたしは別にサラちゃんを育てたいわけじゃない。この際、わたしが育てていたらそんなサラちゃんには育たなかったという話は置いておいてもらいたい。果たしてサラちゃんが家にいたらわたしは幸せなのだろうか。
 
ヨレヨレのジャージを着て、寝癖そのままで朝から家事をしたり、時には全てが面倒になって、家事を放棄してソファでゴロゴロテレビを見ていたら二度寝をしている。そんなお母さんでいられるのだろうか。
我が家の娘はゴロゴロ、ダラダラしているわたしの隣にスッとくっついてきて、狭いソファで一緒になってカラオケバトルを口ずさんだりする。
残念が過ぎるぐらい宿題も部屋の片付けも後回しにして、朝起きてきて「どうしよう、宿題やってない!」「連絡帳が見つからない!」と叫びだすのは日常茶飯事。それを聞くたびに「後回しにしたからでしょ! 自業自得!」と半ギレしながら返すわたし。そんな残念なやり取りも、もやはやテンプレだ。
 
そう、本当にどうしようもない、学習をしない残念な家庭なのだが、そんな日常の中にささやかながら幸せがある。
わたしが仕事に追われてテンパっていると「夜ごはんはサッポロ塩ラーメンを作ってあげるよ」と言ってくれたり、夫とケンカしてやり場のない怒りに打ち震えているとさっと横に来て背中を撫でてくれたり。そういった愛しい瞬間がたくさんあるのだ。
 
子どもがより立派な生き物になってほしいという親の願望でいろいろなことをやらせてきたし、これからも塾やら本人の希望する習い事にお金と時間をかけることはあると思う。
懲りもせずに出資を指定しまうのは親として微かな希望を、夢を見ているから。
習い事は子どもの将来への投資とはいうけれど、お金をかけて、時間をかける価値があるかどうかはあくまで親の自己満足。結果の見えない賭けともいえる。今までに費やしてきたものの中には、価値を感じたものもあったし、血迷っていたなと自嘲してしまうものもあった。それは親の判断であって、娘の判断ではない。
 
要は、最近気づいてしまったのは、結局行き着くのは彼女が自分に正直であってくれればいいのではないかということ。
親がかけてくれたお金と時間では人の価値は決まらない、ということだけは最近わかってきた。
結局は寄り添う温もりが愛おしいということが幸せなのだなぁと思う。
 
 
 
 
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2022-04-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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