メディアグランプリ

いつの間にか作られた生活習慣


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記事:大越桂(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
その昔、一緒に暮らしていた人はルールだらけだった。
 
「朝飯は食べないんだ。でも、あったかい牛乳200mlと豆腐半丁、ブロッコリーを3つから5つとプロテインは摂るよ。」
 
私からすればこれは立派な朝飯なんだけど、彼にとっては朝飯ではないらしい。きっと、これが最低限自分の身体を整えるエネルギーになるのだろう。タンパク質、カルシウム、胃腸を整えるブロッコリーも忘れない。
 
つきあっていた彼には、沢山の生活習慣があった。法曹関係で仕事をしていたので仕事柄帰ってくるのは午前様は当たり前。平日は朝くらいしかまともにしゃべらなかった。
彼には習慣だったが、私にとってはなじみのないきまり事が沢山あった。
 
洋服は、
日曜日に次の週5日間のスーツやシャツやネクタイと靴下を全部紙にメモっておく。靴は、晴れの日は黒か茶の革靴。雨の日は黒と茶の合皮靴。全部で4足。家にかえってきたら必ず洋服にはブラシをかけ、靴は汚れを落とす。毎朝洋服を考えることがない。
それでも彼はかなりオシャレにはうるさい。正直、ピンクのYシャツが似合う人と一緒にいる自分はまったく想像ができなかった。
 
掃除は、
家に帰ってきたらまずクイックルワイパーで床を掃除。土曜日のみ雑巾で拭き掃除。誰も動いていない時にはゴミが空中に舞っていないのでクイックルワイパーならゴミを集めやすいという。私が先に寝ていた時に、頭の周りをクイックルワイパーでくるくる回られた時はギョッとしたが私が掃除していないという事なので文句もいえない。赤ちゃんの周りを掃除するのもこれが一番だという。
 
土曜日は、
日頃の寝不足を解消するのにゆっくり昼前まで寝る。その後リュックを背負ってスーパーに牛乳2本、ブロッコリー2房、豆腐3丁、納豆3個入り1パックを買いに行く。
帰ってきたら、着替えて代々木公園まで自転車で行き、トラックを何周かして1時間半後にかえってくる。その日はワイシャツ5枚をクリーニングに出しに行き、できあがった5枚を持ち帰ってくる。
 
これらは彼の習慣の一部だ。
 
基本、私はこれがいいよと言われればとりあえず何でもやってみる。彼が楽になるように彼の習慣をかわりに真似してみた。自分にあわなければやめればいいのだ。人の習慣が私の習慣にはならないことはままある。相手がそれをする事をなんら批判することはない。それが相手にとって心地よく私に迷惑をかけることがないなら私はそれを眺めるだけだ。ただ私に必要がないルールは押しつけられても困る。逃げだしたくなる。
しかし、共同生活をしている以上相手にあわせて気持ちよくなってもらうことは必要だった。
 
彼は同じ事を何度も考えたくはない。ルール化することで彼は楽をしたい。仕事でもきっといろいろなルーティンがあるのだ。とにかく彼は計画的で無駄が嫌いだった。忙しいのに自由時間はある。時間を作るのがとてもうまかった。
 
一緒にでかけるときに、私が気分で予定を変更すると怒られた。
例えば、江の島の山をのぼり裏手の岩場に降りてから、引き返して山の上でビールを飲んでかえる予定だった。私は山をのぼったところの店でまずはトンビをみながら太陽が海面をキラキラさせるのを崖上からながめ富士山みながらビールを飲もう、岩場に降りて引き返して山を少しのぼってから帰ろうという提案をしたらなぜそうなるのかと怒られた。
飲んでから歩くより、帰る直前にビールをのんでなるべく疲れずに歩こうという計算だ。自分勝手だとは思ったがなかなか来られないここ一番のいい時間帯の景色をビールを飲みながら見たいと思ったのと、休みくらい自然の一部になってダラダラしたかったのだ。
疲れるのはわかっていた。でもお休みくらい自由にさせてという気持ちで一杯だった。朝は牛タンが食べたかったが、夜になってパスタが食べたくなる時だってあるだろう。他におもしろいイベントをみつけたら迷わず予定変更することは私にとって何の問題もなかった。彼は、それが嫌いだった。
 
結局、それ以外にもいろいろなルールに私が合わせることができなかったので二人の仲は長くは続かなかった。
 
しかし、どうだろう。あれから15年経つ。
 
今の私は、
朝6時に起きて、布団をたたみあちこちの窓をあけ家の中に風を通す。
犬の散歩を1時間。汗ばむくらいに近所を速足で歩く。
お湯を沸かし、仏壇に3人分のお茶とお線香をあげる。
洗濯をして、床をクイックルワイパーで掃除をする。
朝ごはんを準備して、犬のご飯と一緒にパンとコーヒーとヨーグルトを食べる。
テレビをつけニュースを見ていると8時になる。
それでも、昼まであと4時間もある。
ここから仕事を2時間して、本を読んだり文章を考えたり庭を散歩しても時間はあまる。
 
妹に「お姉ちゃん、やること早くなったね」と言われてはじめて気づいたのだが、知らず知らずのうちに私は朝を効率よく過ごすことが習慣になっていた。一人暮らしから、家族と暮らして、その後犬と暮らして、自分以外の生き物と暮らすようになってから周りにあわせる時間から自分の時間を確保するために効率よく過ごす方法をみつけていた。家事が苦手だったのに、やはり習慣とは必要から生まれるものなのかもしれない。
 
昔の私は、自由奔放、無計画で自分本位だったので彼の習慣にあわせきれなかった。しかし時が経ち、私の新しい習慣は生活のリズムと時間の余裕をもたらしてくれた。
 
今更だけど、それを改めて気づかせてくれた彼には感謝だな。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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