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「退屈」する方法、教えます

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:籔田聡(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
皆さんは、暇を持て余して退屈する機会が減っていないだろうか。私はある時、暇を持て余して「退屈」したくなった。しかし、それは茨の道だった。そんな話である。
 
落語の「欠伸指南(あくびしなん)」をご存知だろうか。粋な欠伸のやり方を教えるという滑稽話だ。そこで先生が教える「夏の欠伸」の状況が、私の理想の「退屈」である。
 
退屈にも2種類ある。
・目の前に起きてることに興味が持てない状態
・暇を持て余している状態
 
前者の例をあげると、校長先生の長い話を聴かされている学生の状態だ。この手の退屈は、今でもしばしば出会うことがある。後者は、やや複雑だ。そもそも「暇を持て余す」とは何なのか。
・「暇」とは「仕事のない間」のこと
・「持て余す」とは「取り扱い方や処置困る」こと
まさに「することが何もない時間の処理に困る状態」を意味する。私が求める「退屈」は後者だが、「仕事のない間」とは違い、もっとたっぷりと時間のある「退屈」だ。
 
最初に理想と書いた「夏の欠伸」とは次のような場面だ。江戸時代、男が夏の暑い昼間に隅田川で舟遊びをする。夕方には船から上がって一杯やるつもりではあるが、まだまだ陽は高い。暑い日に船に揺られてるのは気持ちが良いが、一日乗っているだけだと暇を持て余す。そこで男は「退屈で退屈で、あ~~ぁ、ならない」と欠伸をする。なんとも理想的な「退屈」である。
 
 
2年前に初めて転職をした。それまで十数年勤めたこともあり、有給休暇で2ヶ月ほど休むことになった。久々に暇を持て余し「退屈」すると思ったが、あっという間に1ヶ月が過ぎた。
それどころか、まだまだやりたいことがたくさんあった。読みたい本、見たい映画や動画、この時期に資産運用を見直そうとか、などなど。これはおかしい。このままでは「退屈」する前に休みが終わってしまう。毎日がこんなに早く過ぎていくのはなぜだろう。
 
私の時間に対して、巷に用意されているコンテンツ(娯楽)が多すぎるのだ。試しに、「暇潰し」で検索すると、多種多様な提案が出てくる。
・【保存版】暇の潰し方100選
・暇つぶしの方法30選! 読むだけでも楽しくなる暇つぶしアイデアをご紹介♪
もはや、この記事を読んでいるだけで時間が潰れてしまう。多種多様なコンテンツがあり、コンテンツを消費することに追い立てられているのだ。まずもって暇な状態に留まることすら難しく、暇を持て余して退屈するのは至難の技なのである。
 
このような経緯で、私は「退屈」する方法を探る道へと歩み始め、ここで初めて読者の皆様だけに公開する。
 
まず、どうやったら暇を持て余せるかである。私は最初にスマートフォンとパソコンを禁止した。いわゆるデジタルデトックスだ。これは非常に効果が高く、あからさまに時間が増えた感じがした。時間が増えたとはいえ、まだまだ時間を潰さないよう慎重にことを運ぶ必要がある。私はサッカーの試合となるとずっとテレビに噛り付いてしまうので、1日1試合と決めた。時間ができると、つい本に手がのびてしまうので、読書は1時間以上は禁止。昼寝で時間を潰してしまいがちだが、それは理想の「退屈」ではない。そこで昼寝も禁止。会社員時代と同じ生活リズムで過ごす。お酒を飲むと眠くなるので、これも禁止。普段以上の家事も禁止。これにてルールが決まり、準備は整った。
 
ルールに沿って過ごすと、1日はとても長い。信じられないぐらい長い。何か「やること」が欲しい。仕事をするほうが楽かもしれないとさえ思えてくる。思わずスマートフォンやパソコンの電源を入れたくなるが、必死で我慢した。そしてついに「退屈」することに成功した。
 
「退屈」した結果、普段と違うことをはじめた。まず、散歩だ。意味もなく出歩いた。そして何年も触っていないギターを引っ張り出した。いつもより丁寧にストレッチをした。柄にもなく日記をつけ始めた。結局、どれも直ぐに飽きてしまい「退屈」が戻ってきた。宛もなく散歩をしながら「退屈」する。とても理想的だ。
 
実践してわかったこと。これが何日も続くと、どうしようもなく予定を入れたくなるのだ。出かける予定を渇望してしまう。旅行、テーマパーク、映画、買い物、美術館、気の向くままのドライブ……。欲しい物は何でもネットで手に入る時代だが、暇を持て余せばショッピングに出掛けたくなるだろう。車に乗らない今どきの若者でも、暇を持て余せばドライブの魅力に気づくだろう。
 
「退屈」によって、ある種のエネルギーが湧いてくる。楽しみを探すエネルギーだ。「退屈」は、何かを楽しむ強い衝動に繋がるのだ。
 
今年のゴールデンウィーク、読者の皆様も一生懸命「退屈」に励んではいかがだろう。
 
落語「欠伸指南」は、欠伸を懇切丁寧に教える先生と真剣に習う生徒の様子を滑稽に描写していく。冒頭の「夏の欠伸」を先生が如何にも「退屈」そうに演じる一方で、生徒は台詞や仕草を真似るのに”必死”になってしまう。しかし話の最後は、無理矢理連れて来られて見学している男がオチとなっている。ここまで読んで頂いた読者の皆様が、オチの男のようになっていないことを願うばかりである。
 
 
 
 
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2022-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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