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学ぶのは何のため?


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川﨑裕子(ライティング・ゼミNEO)
 
 
小4の娘は漢字が書けない。本人の名誉のために言うと、少しは書ける。多分、小学1年生から2年生レベルだろうか。
 
日本で暮らしているのに、漢字の読み書きができなかったら不便だろう。これから大きくなるに従って、一人で買い物に行くこともあるだろう。親の私からしたら、気が気ではない。
 
娘は漢字の書き取りの宿題をしない。全く興味もないし、やる気がしないのだそうだ。もう少し低学年の頃は、一生懸命やっていた時期もあったのだが……。
  
娘は漢字を使う機会があまりない。漢字の必要性に迫られてない。低学年の頃にせっかく宿題をやったけど、全然覚えていない。だからやる気を失ったそうだ。まあ、ご意見はごもっともな気もして、あまり強くは娘に言えない。ただやっぱり、親としてはモヤモヤもする。
 
そんな娘が急に宿題に前向きになった時があった。その時の他の授業が、娘を後押ししてくれたように思う。そのテーマは、「自分をどう表現するか」だった。詩や俳句など、あらゆる表現方法を学んでいた。その中には劇もあった。
 
娘は幼い頃から、ステージに立つのが好きだった。習い事も、ダンスにミュージカルにと、舞台で表現するものを好んだ。そういったパフォーマンスにあまり興味のない私にはよく分からない。が、特に演技は心地がいいらしく、娘にしっくりくる表現方法なのだそうだ。
 
そう、学校の劇の授業は、相乗効果をもたらした。好きなことをすることによって、気乗りしない他のことにも前向きになったのだ。
 
私は聞いてみた。
「漢字の宿題、今週はどうする?」
娘は、「やってみる」とポツリと言った。
 
私だって、娘が宿題をしないことをただ放置していたわけではない。機会に恵まれて、校長と話をしたこともある。
 
校長は、「一人ひとりのレベルがあるから。全部はできなくても、自分のベストを尽くせばいい」とおっしゃってくださった。
 
娘の機嫌がいい時に、私は校長の話を繰り返し聞かせていた。娘は、「自分のできる範囲でいいからやってみよう」そう思い立ったようだった。
 
娘は、漢字一つひとつの意味を私に聞いてきた。そして、なぞり書きをした。書き順も書いた。他には、その漢字の意味を表す絵も描いた。それでもプリントには空白があり、全部は埋められなかった。使い方や作文などはできなかった。でも、娘なりに一生懸命やったと、私は娘を誇りに思っていた。
 
帰宅して、なんと娘は宿題を持ち帰ってきていた。小さく、小さく折りたたんで……。
 
初めて、その学年で提出した漢字の宿題。娘は先生から、「十分ではない」と言われ、突き返されたらしい。
 
「もう漢字の宿題はしないね」娘はポツリと言った。
 
私は娘が頑張った箇所、プロセスを認めたかった。しかし、親の私は時に無力だ。子どもが大きくなってくると、親以外の人から認められたい時だってある。
 
さあ、これからどうしよう?
 
とりあえず、担当の先生と話してみた。先生はこの宿題の目的を教えてくださった。
 
自主学習の習慣を身につけること。
漢字に触れる機会を持つこと。
 
だそうだ。
 
一つでも見たことのある漢字を増やしていくことが目的で、覚えることは目的でないとのことだった。継続して取り組むことに意義があると考えているとのことだった。
 
ほうほう、目的は分かった。
少々乱暴な言い方だが、「だったら、娘は無理してやらなくてもいいんじゃね?」と思ってしまった。
 
私はダメな親なのか? これっていわゆる育児怠慢ってやつなのか?
 
「いや、違う」と、私は思う。1つ1つ丁寧に考えていきたい。
 
自主学習の習慣だったら、漢字以外の宿題はやっているので、OKだと思われる。しかも、娘は今、スライム作りにハマっている。どの材料を入れるかや調合の量を自ら考えて、工夫してたくさん作っている。こういうことから、学びの楽しさは覚えていくだろう。
 
漢字に触れる機会か……。だったら、好きなもの限定だけど、日本語の本も読んでいる。ペットの育て方や、好きなキャラクターの本などだ。興味のある本から漢字に触れる方法もいいんじゃないか。
 
娘にとって、漢字は学校のレベルには追いつかない。だったら、娘の興味とレベルに合わせて漢字とご対面して行ってもいいのではないか。
 
改めて、考えたい。
「宿題はなんのため?」
 
出されたものをとにかく締め切りまでに闇雲にやって、娘のためになるのだろうか? 親としては、「宿題はやらなくていいよ」とは直に子どもには言いにくい。ただ、サポートの方法はいろいろあると思う。
 
先生も他の児童の手前もあるだろう。「やらなくてもいいよ」とはハッキリは言わない。でも、今では娘を温かく見守ってくださるようになった。
 
子どもができない姿を見るのはもちろん、苦しい。でも、授業中にたくさん手を挙げたり、劇でのびのび発表したり、ペットをかわいがったり、娘なりのいいところがたくさんある。
 
私にできることは、あらゆる角度から娘を応援する。
娘の良き理解者でいる。
それくらいだ。
 
娘は結婚10年にしてやっと生まれてきた、社会からの預かりものだ。私が心配ばかりしても、ガミガミ言っても何の役にも立たないだろう。外で傷つく経験もして、大きく大きく育っていくのだと思う。
 
学校という集団生活の中で、平均的にやっていくのは容易ではない時もある。そんな中でも、楽しみや喜びから学んでいって欲しい。自分が劣っているなどと感じずに、いろんなことを吸収していって欲しい。
 
子を育てるようになって、自分の無力さを突きつけられる毎日だ。未熟な、至らない親だということは素直に受け入れよう。それでいいのだ。人間は凸凹がありながら、社会で助け合って生きているのだ。
 
よし、心の準備はできた。私は娘に笑顔を向けた。「今日もスライム作り、とことん付き合うよ!」
 
 
 
 
***
 
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2022-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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