知っておくと役立つかもしれない、サバイバル目覚まし方法
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：上田聡代（ライティング・ゼミ4月コース）
結婚して26年間、バンクーバーに在住している姉がいます。この２年は実現できていませんが、姉を訪れるためのバンクーバー旅行は、25年前から私の夏休み恒例行事になっています。
空港からタクシーに乗ると、ターバンを巻いたインド人運転手。片言の英語と住所のメモを提示すると運転手は頷いて出発しました。1人でタクシーに乗る不安はありましたが、目印になる建物は姉から聞かせてもらってメモにしていたので、それを確認しながら外の景色を楽しんでいました。「え？ メモの目印にはない建物を曲がった！ 怖いけれど何も言えない」どうすればいいか全血液が頭を巡っているその時、タクシーは止まりました。1人の女性が窓越しに紙袋を手渡し英語ではない言葉で話しています。心臓が爆発しそう！ まさに血の気がひく顔になっていたと思います。「Sorry! my lunch!」と紙袋を見せて、再び車を走らせた運転手。え？ うそ？ から始まったことは鮮明に覚えています。その後訪れる度に増える言語。最後に訪れた時には、英語、中国語、韓国語、インド語、イラン語を確認しました。私はどこの国に来たのか？ と思わせてくれるほど、いろんな国の人が住んでいるバンクーバーは、毎年訪れても飽きることはない自然と街と文化が混在している心落ち着く大好きな場所になっています。
数年に一度は、そのバンクーバーを拠点として旅行にでかけています。遠出をする時は、姉夫婦が一緒だったので、私はお客様気分で楽しくついて行くだけでした。一度だけ、一人旅をしたことがあります。アルバータ州のバンフというリゾート地への旅でした。バンクーバーから飛行機に乗り、B＆B（一般の民家に泊まる）で一泊、翌朝6時出発のバスに乗りバンフのホテルで1泊、汽車で1泊してバンクーバーに戻る3泊4日。飛行機に乗るまでは姉が見送ってくれたので問題なし、ワクワク旅が始ました。到着して宿泊するB＆Bの家を見つけ、挨拶を交わした後、離れに案内されました。リビングルームで泊まることもあると聞いていたので、広い部屋、可愛いシーツの大きなベッドを見て心躍りました。翌朝のことも考え、「明日は朝早いので、挨拶なしで出発するね」と片言の英語で「thank you」と「good night」を伝えた後、ベッドに潜って気づいたのです。
あ！ 目覚まし時計がない。スマホを持っていない時代だったので焦りました。部屋には壁掛時計があるだけで、念のため確認しましたが、目覚ましにはなりそうもありません。翌朝6時発のバスチケットは予約しています。乗り遅れて、この場所に取り残されたら大変！ 夜も遅かったので借りにいく勇気もありませんでした。
さて、こんなとき、あなたならどうしますか？ 25年経過した今の私なら、スマホを持っているとは思いますが、もしもスマホがなかったとしても……
再度ブザーを鳴らして、ジェスチャーを交えながらの英語を使って、目覚まし時計を借りる。もしくは、起こしてくださいとお願いすると思います。図々しくなった自分にクスっと笑いがでてしまいます。
その時の私の決断は、「寝る前にトイレに行かない！」でした。それは眠れない！ と思わ
れた方、少し説明をさせてください。水分摂取量や汗の量などにもよりますが、成人は平均
１時間で、体重×約1mlの尿が腎臓にたまります。腎臓にたまった尿量が100～150mlで
尿意を感じますが、我慢はできます。約250～300mlでトイレに行きたくなります。記憶力
の良くない私が、看護師国家試験対策で徹底的に覚えたことです。この知識が頭の中にひら
めき、天才！ とニヤニヤしながら具体的に考えました。
寝過ごすことはしたくないので、早めに目覚めるとして、4時から逆計算。22時を最後のトイレ時間に決めました。水分摂取量が少ないかな？ と考えコップ1杯の水を飲んで自分の体を信じて眠りました。大きなベッドで居心地良く眠った私が次に目が覚めたのは4時40分。勝利！
外は明るくなっていたので、支度を済ませた私は、少し遠回りにはなりますが、森の中を散歩しながらバス停へ向かうことにしました。予定通り目覚めたことが嬉しくて、なんて賢い目覚ましの方法！ と自分で自分を褒めてあげながら気持ちの良い空気を吸っていました。今考えると、確実でもない、賢いわけでもない、体にも良くない、まさにサバイバルな方法。しかし、この時の私は、「みんなに教えてあげよう！」と一大発見でもしたかのような気分で嬉しくてたまりませんでした。予約していたバスに無事に乗ることができた私は、その後大自然を満喫しバンクーバーに戻りました。
迎えに来てくれていた姉夫婦を見つけた私の開口一番。目覚まし時計の大発見の話しをしたら、笑って終わりました。そこでやっと冷静になった私です。今ではスマホが目覚まし時計になりますが、それ以降、旅に出るときの私の鞄の中には小さな目覚まし時計がお守りとして特等席を占領しています。この「サバイバル目覚まし方法」は、健康上おススメはできませんが、知っておくと役に立つことがあるかもしれません。
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