メディアグランプリ

エイジングを受け入れる覚悟ができたら、生活が楽しくなってきた


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:種村聡子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
20歳の誕生日は、ナゾの発熱で、1週間ほど寝込んでいた。
30歳の誕生日は、インフルエンザで、これまた1週間ほど倒れていた。
 
わたしは、子どもの頃から、悩み事や考え事があるときに熱を出しやすい性質があった。
 
高熱でぼんやりした頭で考えていた。
「わたし、そんなに20代に(30代に)なりたくなかったのかな……」
年齢を重ねることにそれほどの拒否感を持っているとは、自分でも気づいていなかったので、熱が出て驚いたのは自分自身だった。
 
19歳のとき、10代と20代に大きなへだたりを感じていた。あちら側とこちら側、20代のあちら側になったら、否応なしに「大人」として扱われる。それは誇らしく喜ばしいことではあるけれど、中身はまだこどものわたしがおとなとして振る舞わなければならない。それはまったく自信を持てないことだった。
 
その後、なんとかおとなの体裁を取り繕って20代を過ごし、迎えた30歳の誕生日は、友人たちが祝ってくれる予定だった。わたしは4月生まれのため、誰よりもはやく誕生日を迎えて30歳になる。面白半分、励まし半分の「さよなら20代、ようこそ30代」を祝う会だった。わたしにとっても、友人たちにとっても、20代と30代はまったくちがうものと認識していた。20代に持っていたものは30歳を迎えると同時に、失ってしまうと思い込んでいたのだ。
 
節目の年に高熱を出して倒れていたので、わたしが40歳の誕生日を迎えようとしているとき、友人は冗談半分、真面目半分に言ったのだ。「また、高熱で倒れたりしないといいね」そして、わたし自身も心配だった。2度あることは3度ある、20歳、30歳の誕生日に寝込んでいたから、40歳を迎えるときだって、同じことが起こるのではないか。40歳の節目は、20歳、30歳とは比べものにならないほど大きく感じていたから、なおさらだった。
 
しかし、迎えた40歳の誕生日には、なにも起こらなかった。風邪症状もいっさいなく、健康そのもの。普段よりも元気に過ごすことができた。じつは40歳の頃から、わたしは自分の年齢をあまり気にしなくなっていた。年齢を尋ねられたとき、正しい年齢を答えられず、ついうっかり、実年齢よりもプラスして答えていたほどだ。それはなぜか。年齢による変化は避けられないものだから、恐れず、受け入れる覚悟ができたからだと思っている。
 
皮膚科の美容外来で、顔にある「しみ」を取る施術を受けたときの、先生の言葉が忘れられない。「しみを薄く目立たなくすることはできるけれど、まったく無い状態にすることはできません」たとえ美容の施術を受けても、20歳の頃のような、若かった頃の肌には戻れない、と先生は言ったのだ。これは、年齢を重ねることへの真理をついていると思った。ある一定の年齢を過ぎると人間のからだは老いていく。いままで容易にできたことができなくなり、しみやしわなどという、あまり喜ばしくない、からだへの変化も起きてくる。それは誰にでも平等におこることだから受け入れなければいけない。たとえ時間とお金を美容に費やしたとしても、気になる部分が軽減されるだけで無くなることはない。20歳の頃の肌には戻れないのだ。
 
いま、ここにいるわたしは若かった頃の自分と比べたら、老化や劣化がすすんでいることは否定できない。でも、過去の自分、若かった頃の自分に固執し、からだの変化を受け入れられずにいると、「いままでと違う」ことや「できない」ことばかりが気になり、いまの自分と向き合えなくなってしまう。自分の顔にしみやしわを見つけたときは、あんまりうれしい気持ちにはならないけれど、それであっても大切な自分の顔なのだ。なにより、手間をかければ気になるところを軽減できるすべがある。すると、自分のからだへの愛着が以前よりも増してくるのだ。
 
「大豆イソフラボンが効果あるよ」
「ローヤルゼリーがいいみたい」
「歩くことってやっぱり大事」
「美容皮膚科でおすすめの医院は……」
「このシャンプーを使ったら、アラフォーの髪の毛に艶が出てきたのよ」
 
美容や健康、体質改善などについて友人と情報交換をすることが多くなった。友人たちも、それぞれに気になるところ、悩みがあるけれど、けっして悲観的ではなく現状を受け入れ、少しでも改善しようと前向きなのだ。それがとても楽しい。若かった頃に比べると、ちょっぴり自由に使えるお金が増えたこともあり、やってみたいことを試す素地もできた。おとなになって、失うものはあるけれど、知恵と工夫で乗り切れることもあるのだ。
 
わたしは、ちいさな改善をできるところから試していくことにした。すると、からだの健康を保つことは、とても重要なことだと気づいた。からだの健康は、心の健康に結びつく。健やかなからだは、健やかなこころを育む。前向きな気持ちは健康なからだ作りから生まれるのだ。
 
これから数年後に迎える50歳の節目の誕生日も、いままでのように体調不良で寝込むことは、おそらくないだろう。むしろ、わくわくした気持ちで迎えるのではないか、といまから楽しみにしている。よいところも悪いところも、あるものも失ったものも、まるごと受け入れて、その時の自分を楽しんでいたいと思う。
 
 
 
 
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2022-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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