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メディアグランプリ

「ご近所ガチャ」でカラオケおじさんを引き当てた私の、ご近所物語


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岡部みほ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
マイホームを建てる時、最も重要視することはなんだろうか?
立地? 金額? ハウスメーカー? 学区?
それとも……?
 
「なんかカラオケしてる音聞こえない?」
 
夜、夫と二人、自転車を停めて耳を済ませた。
うん、聞こえる。確かに聞こえる。
我が家が建つ予定の場所の、向かいのお宅。
なんの曲かまでは聞き取れないが、カラオケマシンから流れる音楽と愉快な歌声が確かにはっきりと聞こえた。
 
うわ、失敗したかも。
 
咄嗟にそんなことを思った。
 
「日当たりや治安、時間帯によって見えるものが違うので、できればいろんな時間帯に、現地に行ってみてくださいね」
不動産のサイトウさんにそう勧められたのを無視して、私たちはマイホームを建てるための土地をさっさと契約した。
主要駅から徒歩圏内で、小学校も徒歩5分。少々道は狭いが、その分その立地にしては申し分ない価格だった。
さらに、不動産のサイトウさんはたまたま教え子のお父さんだったということもあり、これも何かのご縁! きっと大丈夫! ということで、そそくさと契約を交わしたのであった。
 
契約後ではあったが、心のどこかで、「いろんな時間帯に行ってみるべし」の教えが気になっていた私たちは、休日に現地へと足を運んだ。
そこで、カラオケおじさんの存在に気づいたのであった。
 
カラオケおじさん、一体どんなおじさんなんだろう。
毎日カラオケしてるのかな。怖い人だったら、これからずっと我慢しなきゃいけないかも……契約、まだキャンセルできるかなぁ
 
後日、サイトウさんに相談すると、すぐに調査に行ってくれた。
その時はカラオケはしていなかったとのことで、「大丈夫じゃないですかねぇ?」とサイトウさんは呑気に言った。
そうして契約破棄することなく、家づくりは始まった。
 
とっても仕事が丁寧で、丁寧すぎて納期に間に合わないことが多々あるという愛らしい大工さんが、我が家を作ってくれた(ちなみに引き渡し後も、数日我が家へやって来て、各所の手直しをしていった)。
 
引っ越しを済ませ、いよいよ例のカラオケおじさんのお宅に挨拶へと向かう。
「初めまして、向かいに越して来た岡部と申します〜……」
「やっと完成したかぁ! なっかなか完成しないからいつから住むのかと思ってたよ〜! ハハハハハ〜!!!」
 
とてもフランクでナイスガイなおじさんだった。
 
そして班長だった彼は、とても親切に、ゴミ捨てについてや自治会について教えてくれた。
そこで、年に1回行われている地区のカラオケ大会のこと、時々練習会場としてご自宅を使っている、という話を聞いたのであった。
カラオケは年に一度! ふぅ。
土地探しが失敗に終わらなくてよかった!
そこから、カラオケおじさんの歌声、いや、笑い声に乗って、私のご近所物語は始まったのであった。
 
先日、お花や植木が好きな隣のおばちゃんが、クリスマスローズをもらってくれないかという。蕾がたくさんついて、これからますますきれいに咲こうとしている、そんなクリスマスローズだった。
 
理由を聞けば、引っ越しをすることが決まったから、とのことだった。
 
そのお宅のおじちゃんおばちゃんは、お孫さんが我が子と同い年ということもあり、よく声をかけてくれていた。
雨上がり、水たまりで遊ぶ子どもたちを見て、温かく微笑み、のびのび育ってるねといつも声をかけてくれた。
畑から帰ってくると、自転車のカゴの中に入っている新鮮なとれたて野菜を、玄関に置いていってくれた。
家にいるのに雨に気づかないでいると、わざわざインターフォンを押して雨を知らせてくれた。
エピソードを話し出せば止まらないほど、この4年間でたくさんのご近所物語を紡いできた。
 
我が子にとって、成長を身近でいつも温かく見守ってくれる第3のおじいちゃん、おばあちゃんであり、私にとっては、第3のお父さん、お母さんだった。
両親も義父母も近くにいない私にとって、約束もせず、なんでもない世間話ができる存在は、とても有り難かった。
 
ご近所さん。
住んでみるまで分からない、関わってみないと分からない。今流行の言葉を借りれば、「ご近所ガチャ」とも言えるだろう。
そしてそれは、元々住んでいた人たちにとっても、新しく引っ越してくる人がどんな人か、選べない不可抗力の「ご近所ガチャ」なのであると思う。
周りは変えられないし選べない、選べたとしても当たりか外れかなんて分からない。
だからこそ、せめて自分自身くらいは、「当たりガチャ」でいたいと思う。
 
付かず離れず関わり合って、いざという時に助け合って笑い合える。
時々聞こえてくるカラオケも、子どもたちが走り回ってはしゃぐ声も、おばちゃんたちの井戸端会議の声も、人が分かるから、愛おしい。
顔が分かるから、安心できる。
自らが心を開いて、関わりを育てていけば、大きな家族にもなり得る、ご近所さん。
地域は大きな家族なんだ。
 
そんなこんなで、私の考える、マイホームを建てる上での最重要課題、「ご近所関係」は、今のところは問題なく進んでいる。ローンは、まだまだ残っているし、道が狭すぎてもう二回も車を擦ったけれど!
そしてなんと、クリスマスローズのおばちゃんちは、よくよく話を聞いたら、建て替えで、また元の場所に戻ってくるんですって! なぁんだ!
お預かりすることになったサルスベリの木と、いただいたクリスマスローズと一緒に、新しいお家ができるのを見守ろう。
ご近所さんたちが、我が家の完成を見守ってくれていたように。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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