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家族旅行って疲れるし、出かける理由ってなんだっけ?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:井上 ハルカ(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「俺はツアーコンダクターじゃねぇんだっての!!」
通りかかったどこかのお父さんの声にビクッとする。かくいう私も、かれこれ1時間以上、フードワゴンの行列に並んで、心を無の状態にしていた。スマホの電池も切れそうで、何とか園内の家族と連絡するためにいじれない。炎天下のなかkindleを開いて、目がチラつく読書をする気もしない。
後ろのお母さんが言う。
「こんなの遊園地じゃないよ。何も乗れないし、何も楽しくない」
 
久しぶりの外出制限なしのゴールデンウィーク、我が家は電車で40分程度でたどり着ける遊園地に来ていた。中学1年生の兄と小学3年生の妹、好みが一致するお出掛け場所がなかなかなくて、この遊園地は珍しく意見が合った場所だった。
さほど遠くない沿線の駅に住んでいるので、始発でやってきて、お目当てのアトラクションの当日券は無事ゲットできた。朝一に入園したので名物のアトラクションにも並んで乗れたし、こんなに混んでるなら、もう雰囲気だけ味わって帰ろうと思っていた。ゴールデンウィークだ、仕方ない。イライラしちゃったら勿体ない。
でも子供もおばあちゃんも一緒だったので、2時間フードワゴンに並ぶのだけ最後に頑張った。聞こえてくる周りの声に、暇つぶし半分、心の中で「うんうん」とうなづきながら。
 
見回すと、諦めたように虚空を見つめ一人で列に並ぶお父さん、赤ちゃんを抱っこしてヘトヘトになってるお母さん、アトラクションに乗れなくてぐずる子供……。地獄絵図ともいえる。この人たちだって、毎日忙しく働いて、やっとの休みがこれなのだろうな……と思うと、同情を禁じ得ない。何の立場? だが、我が家には抱っこしなきゃならない子供はいない。
 
まだ娘が2歳の頃、大阪&京都旅行に行った。大阪は、5歳の息子の「ユニバーサルスタジオに行きたい!」というリクエストにお応えして。京都はどちらかというと大人のためだ。川床で美味しいもの食べられるよ~なんて、騙し騙し連れて行った。
2歳児連れなので、ベビーカーやらオムツやら、抱っこすれば子供自体やら、とにかく荷物が多い。清水寺に行った時だ。参道の坂をベビーカーで行ける気がしなかったので、近くまでタクシーを利用した。ホームページをみるとベビーカーで本堂(清水の舞台)まで行けるようなのだが、その時はベビーカーを畳んで拝観したと思う。どこかに置かせてもらったのか。とにかく覚えているのは、本堂までに進む途中で、折り畳み傘ではしのげないほどの豪雨が降ってきた。夏だったので寒さはないが、二人の子供が濡れないように必死だった。
やっと本堂についたが、勢いがおさまらない雨の中、写真を数枚撮って流れるように参拝は終わった。
寺を出ると、夫が慌ててタクシーを呼び、これまた大荷物を夫婦で手分けして運び込み、タクシーに飛び乗った。
 
徒労である……。
何が楽しかったのだろうか……。
さてと、と、落ち着いたところでスマホを取り出す。今撮った写真を眺める。
こんなに緑が綺麗だったのね……。
清水の舞台からの、目が覚めるような深緑。
写真には雨筋など写っていない。
息子も楽しそうに写ってるな。よかったな。
私はこうして後から景色の美しさを知るのね、トホホ……。
 
そのとき。
 
ん?!
ちょっとまって……。
ちょ、まてよ!!!
 
息子の背後に、京都名物のあの方が写り込んでいる。優しげな眼差しの先は、楽しげに笑う息子のように見える。見守っているかのようなアングル。
正確には、息子の隣のブルーのシャツの男性の胸元辺りから、その奥の人が持っている紙袋がのぞいているのだ。「よーじや製」の文字が入った白い紙袋が。様々な偶然が重なり、上品な丸顔のあの方が、絶妙な角度でひょっこりはん状態。
「奇跡の一枚」とは、このことである。
 
タクシーの助手席に座った夫に、
「ちょっと!!! これ!!!」
とスマホを手渡した。すぐにフェイスブックで友達や家族に知らせた。みな、大爆笑である。
雨と汗と疲労にまみれていた空気が、一気にカラリと軽やかになった。奇しくも、外のゲリラ豪雨も過ぎ去り青空が広がっていた。
丸顔のあの方に「京都へようこそ」と歓迎されているような気がして嬉しくなった。
 
どんなに疲れて他の記憶が飛んでしまうような旅でも、1個や2個の忘れられない思い出が、一生の宝物になる。反抗期の息子に「コンニャロ」と思うときなど、この写真を見ると笑ってしまう。ゴールデンウィークの遊園地に来ていた家族にも、そんなハプニングが起きていたかもしれない。疲れは三日で消えるが、思い出は何年も、行った人の分だけ残る。
 
コロナで旅行に行けなかった2年間は、子供たちにとっては大きな変化のあった2年間だ。それぞれの行きたいところも、その妥協点も、割り出しが難しくなった。個性も強くなり、嫌なものは嫌になってしまった。我慢して付き合ってやるか、というほど大人でもない。思春期を迎えた長男にとっては、家族と出かけるなんて嬉しいことではないかもしれない。ベビーカー時代とは、また違った難しさがある。
それでも凝りもせず、知恵を絞って計画して、持てる体力と貴重なお金と休みを使って、家族旅行に出かけたいな。一生の宝物を求めて。失われた2年を取り戻すぞ!
 
 
 
 
***
 
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2022-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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