上達するための一番の近道は、プロが知っている。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:松下広美(ライティング・ゼミNEO)
たぶん、これは嫉妬なんだと思う。
そう思うと余計に情けなくなる。
バスがなかなかこない。
10分に1本はあるはずなのに、まだ到着しない。急いでいるときに限ってこんなんだから嫌になる。
スマホを片手に持ち、親指を下から上に動かしてSNSをチェックする。
スキマ時間にやれることもあるはずなのに、待ち時間はスマホで消費してしまう。
ある写真が指の動きを止める。いいね、を押そうと思ったけれど、気づかなかったふりをして、目にしたことを消そうとする。だけど、こすっても消えなくて、結局黒くなるだけだった。こうやって、嫉妬が重なっていく。
今のカメラを手にしたのは、5年ほど前のことだ。
京都天狼院で開催された「秘トリップ」というイベントがキッカケだった。本のタイトルが秘密という「秘本」の旅バージョンだ。
京都天狼院に集合することと、泊まるところはわかっていたけれど、旅の中で何が行われるかは秘密だった。
その秘密の工程の中で、カメラマンたちは楽しそうに写真を撮っていた。
その中の1枚の写真を見て、実際に私も目の前で見ていた景色なのに、それ以上の世界が広がっていた。ただのスポンジケーキだったはずなのに、キレイにデコレーションされたケーキに変化していた、そんな写真だった。
満足していたはずのiPhoneやコンデジに限界を感じた瞬間だった。
それからしばらくして手に入れた一眼レフカメラは、どこに行くにも相棒として連れていった。とにかくシャッターを切ることが楽しくて、いいと思った瞬間を、写真の中に閉じ込めることに夢中になる。景色だったり、小物だったり、モデルさんだったり。
誰かに見せたり、SNSに投稿すると「いいね!」をもらえて、更に夢中になる。
もっと上達したい、いろいろなものを撮りたいと、撮影会や講座にも参加をした。
そうすると、自分でもわかるくらいに、いい写真に変化をする。モデルさんを観察して、どの角度から撮るとこの人はかわいく写るのだろうと考えて、表情も絶妙な瞬間を狙う。光がどちらから入ってくるのか、目線はこちらに向いてもらうのか外してもらうのか。
友達同士で写真を撮りにいくこともあった。
光を探してさまようときもある。
時には失敗も重ねながら、何百枚、何千枚とシャッターを押した。
写真の枚数を重ねることが楽しかった。「いい瞬間」を閉じ込めた写真たちは、見返しても「いいな」と思うし、記憶を呼び起こすアイテムにもなる。
それなのに。
SNSを見ていたスマホの画面を、写真に変える。
自分の写真を上へ上へとスクロールさせる。
今まで「いいな」と思っていた写真たちが、なんだか霞がかかったようになっている。写真を見ても、いいのか悪いのか、よくわからない。
私の感受性のセンサーが鈍ってしまっている。
それはたぶん、嫉妬が積み重なっているからだ。嫉妬が積み重なって、ヘドロになってしまっている。
なんで、嫉妬しているのか。何に、誰に嫉妬しているのか。
もう一度、SNSに画面を切り替える。
そして、天狼院フォト部のFacebookグループを開く。
ここには、羨ましいくらいに、いい写真が並んでいる。
写真を見るだけで、撮影した方の顔が浮かぶものも多い。
この光がいっぱいの写真は、あの人のものか。
ちょっと影がさす感じの写真は、あの人だ。
これは絶対あの人だ。
いいね、を押すのをためらう気持ちは、なんだろう。
ここのところずっと、写真が固まってしまっているなと感じていた。
構図だったり、光の方向だったり、寄り方だったり。
それが私らしいと言われることもあるのだけど、他の人の写真を見て、どうしたらこんな写真が撮れるのだろうと思ってしまう。素敵な写真であればあるほど、羨ましくなってしまう。
「写真とは、量が質を超える唯一の芸術である」
何を羨ましがっているんだと、ガツンと殴られた気がした。
先日の、パーフェクト・ポートレート講座で、プロカメラマンの榊先生が仰っていた。
頭で考えているだけで、シャッターを切っていなかった。
何度か榊先生の話は聞いていたので、知っていたし、わかっていたのに、できていなかった。圧倒的に数が足りないのだ。
いい、と思う方々は、とにかく数を重ねている。
知っているだけでも、相当な数を撮っているので、実際に撮っている数はその何倍にもなるんだろうと想像する。
これは写真の世界だけではない。
「プロ」と呼ばれる方々は、えげつないくらいの数を重ねている。
前に、ライターズ倶楽部の講義の中でも、どれくらいの数を、文字数を重ねればプロになれるのかという計算をしていたことがあった。
そのはじき出された数に会場は静かになった。実際、吐き気を感じるくらいの量だった。
それが自分にできるのか、と尋ねてみるけれど、それだけの量を重ねる自分が想像ができない。
だけど、嫉妬している暇があったら、写真も文章も数を重ねようと思う。
「数は正義」だと信じて進むしかない。
***
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