メディアグランプリ

黒猫から白猫が生まれる不思議を調べたら、脳が裏返る経験をした


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記事:西條みね子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
黒猫から白猫が生まれた。
 
そう聞いたら、あなたはどんな感想を抱くだろうか。
ちなみにコレは事実で、本当に黒猫から白猫が生まれたのである。
 
 
我が家には2匹の猫がいる。お母さん猫と息子猫の親子で、昨年7月に保護猫団体から引き取り、私の家族になった。
お母さん猫は頭から尻尾の先まで真っ黒の、黒猫である。ヒゲも肉球も全て真っ黒で、猫を飼った経験はあるが、黒猫というものが初めて身近な存在になった私は「ホントに黒猫って、全部真っ黒なんだなァ」としみじみと呟いた。それくらい黒い。
対する息子猫の方は、白とグレーのキジ模様である。猫柄の表現ではサバというらしい。
 
 
「猫、飼ったんだって?? 写して写して」
 
会議の参加者が1名遅れており、雑談をしているうちに猫の話になった。
コロナが始まってから完全在宅勤務になり、仕事の会議は全て、音声のみのリモート会議だ。写したいものがある時のみ、カメラをオンにする。
私は、カゴの中で、団子になって爆睡している猫たちにカメラを向けた。
 
「わー、かわいい」
「寝てる!」
 
ちょうど良いアイスブレイクに使えるなぁ、と思いながら、
 
「この子達、親子なんですよー。黒い方がお母さんなんです」
 
などと説明していると、上司が意外そうに口にした。
 
「へー、お母さん黒いのに、子猫が白っぽいんだ!」
 
 
またある時は、写真を見た友人の言葉。
 
「え、黒猫って、遺伝的に優性じゃないの??」
 
親子でワクチンに連れて行った際、獣医さんすらこう言った。
 
「あら、お母さん、黒いんだ」
 
 
 
「そうなんですよー。なんか、不思議ですよね」
 
私はその度に、不思議! って思うのは、私だけじゃないんだなぁ、と、うんうんと心で頷いた。会う人の6、7割が、多かれ少なかれ、ちょっと意外そうな反応をするのである。
お父さん猫が白っぽかったのかなぁ、とぼんやり考えて、納得したような気持ちになりながらも、やっぱり不思議だなぁ、と思っていた。
 
 
ところがある日、なんとなく不思議、と思うだけではいられないようなものを見てしまった。例によって猫を飼い始めてから始めた、SNSの猫アカウントに流れてきた画像をみて、思わず二度見、いや、三度見した。
黒猫の母猫の横に、真っ白な子猫が並んでいたのである。
うちの猫のような、白っぽい、どころではない。完全に真っ白の、まごうかたなき白猫だった。
飼い主と思われる人も、黒猫から白猫が生まれるなんてあるんですね、と驚きのコメントである。
 
そんなことってあるのかな??
どういう理屈で、そんなことになるんだろ。
 
どうでも良いっちゃどうでも良いが、不思議で気になり、調べてみたくなったのである。
 
「なんということだ……」
 
調べてみて驚いた。
猫の柄を決める遺伝子には「白」「茶」「黒」の三色と、「キジ模様にする」「ブチ模様にする」などなどの模様の出方を決める遺伝子が組み合わさって柄になるらしいのだが、「黒」は何よりも劣勢だったのだ。
 
遺伝子の「優性」「劣性」にピンとこない方に補足すると、血液型がわかりやすい。AとBは、Oに対して優性である。私たちは父親と母親から1つずつ、2つの遺伝子を持っているが、AとAを持つ人は疑いもなくA型になるが、AとOを持つ人は、AがOより優性のため、A型になる。AもBも持っていない場合にのみ、O型の出現が許されるのだ。
 
話を猫に戻すと、まさに黒猫はO型的ポジションだった。つまり、「白」も持たず「茶」も持たず「キジ模様」も「ブチ模様」も持たず、何も持たない場合にのみ、黒猫の出現が許されるのである。
 
「お前!! 貴重品じゃないか……!」
 
思わず、我が家の黒猫に声をかける。黒猫は無言で、パタパタとしっぽをふった。
 
では逆に、最も強い、最も優性なものは何か。
ナント、「白」なのである。
「白」の遺伝子があれば、「茶」があろうと「黒」があろうと「キジ模様」があろうと「ブチ模様」があろうと、全てをなぎ倒して猫を白猫にするらしいのだ。
 
「へー、へーー!!」
 
イメージとのあまりの違いに思わず声が出た。
白の方が、黒より強いなんて!
 
しかも、よく知らないのに、無条件で、黒>白と思っていたのは私だけではなかった。そこそこの割合の人が、黒猫から白猫が生まれるなんて、と感じていたのである。
 
色のイメージの影響だろうか。
ほとんどの人が、明るい色に黒い絵の具を混ぜた時の「もうこの色はリカバリできない」感や、墨汁が服についた時の「致命的にどうしようも無い」感を、これまでの経験から知っているはずだ。
動物や植物が好きな人なら、ホワイトタイガーや白い葉っぱが、突然変異でレアな存在だ、という前提知識があったかもしれない。
 
が、猫の毛色界の事情は違ったのだ。
黒は劣性で、最強は、白だったのである……。
 
 
我々は思ったより、色のイメージで物事を捉えていることが多いのかもしれない。
 
「あ、あれだな、白いカレー」
 
少し前に話題になった有名ホテルの白いカレーは、何も言われなければ「ご飯にクリームシチューをかけた、ちょっとお行儀悪いけど、美味いやつ」だと信じて疑わないだろう自信がある。
 
「そう言えば、ホワイトチョコも、子供の頃、『チョコじゃないのにチョコって言って、変だよね』とか言ってた記憶あるなぁ」
 
大人になった今では、ホワイトチョコレートは、カカオ豆の油脂分で作っており、れっきとしたチョコの仲間であることを知っている。チョコのまがいもんだと思っていた子供時代を、お菓子業界の方に謝りたい。
 
 
色から生まれるイメージは面白いが、時には真実は全く逆だったりするのだ。
何事も先入観に囚われすぎるのは良くない。が、イメージを裏切られることにより、脳が裏返るような驚きや楽しみが生まれることも事実だ。
 
 
猫の毛色界では白>黒。
 
今度の会議のアイスブレイクはこれで行こう。
皆、きっと、もう一度「へー!」と言ってくれるはずだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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