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家族旅行で一人旅


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記事:油井貴代子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「家族旅行」と聞くと何を想像するだろう?
一般的には家族で旅行をすることを意味すると思う。それは家族全員で同じ場所を巡り、同じ行動をとる。出発から家に帰りつくまで、すべての行動を共にすることがほとんどであろう。
では「一人旅」は?
もちろん文字通り一人で旅行をすることだ。
わが家の旅行はいつの頃からか、家族旅行に一人旅をミックスするような形になった。
友人にこの話をすると怪訝な顔をされるのだが、これはこれでとても楽しいのである。「家族旅行+一人旅」は足し算ではなく掛け算になっていくような気分だ。
 
もちろんこれは子供が一人で行動でき、親としても安心して子供を一人で行動させられる年齢になってからだと思う。我が家では娘が小学生の時に日帰りプチ旅行を経験し、高校に入学後は一人で夜行バスに乗り、京都から東京まで出かけるほどになっていた。中学に入学してからはスマートフォンを持っていたこともあり、旅先でも安否確認が簡単に行えることも、一人旅をさせることができる安心材料であった。その日に行った先での写真をLINEアプリで家族グループに共有し感想を送ってくるそのやり取りで、心配が安心に変わり、旅のおすそ分けをしてもらっているような気分になっていた。
 
娘と二人で熊本に行った時のことだ。
私自身は旅行というより被災地活動としての熊本訪問であり、娘はそれに便乗してついてきた形であった。むろん娘は私の活動に全く興味はなく、一人で温泉に行きたいと言ってきた。初日の宿は熊本市内でとっていたこともあり、夕食を一緒にとる約束をした後、熊本駅で二人は別れた。
約束の時間にはかなり遅れたものの無事に宿にたどり着いた娘と一緒に、その日の旅のハプニングを聞きながら遅い夕食をとった。
熊本は車社会のため行きも帰りもバスが渋滞に巻き込まれたこと。海沿いの夕日がとてもきれいだったこと。ようやくたどり着いた目的地は帰りのバスの出発まで時間がほとんどなく、目的の温泉に猛ダッシュで入ったこと。帰りのバスも大渋滞に巻き込まれたこと。今ここでバスを降りたら、うまく熊本行きの電車に乗ることができると判断したこと。その電車に乗れなかったらあと一時間くらい帰りが遅くなりそうだったこと。
「もうドキドキしながら、駅まで走ってん」
と笑いながら話す娘に、私までドキドキしたものだ。まるで私も娘の旅に同行したような気分になった。
そして次の日も、娘と私は別行動をとり、夜にまた食事をしながらその日の出来事を話して旅の共有をした。
もちろん別行動だけではない。二日目は阿蘇の温泉宿で宿泊していたのだが、大観峰という絶景のスポットで日の出を二人で拝んだ。夕食の時に次の日の行動を相談し、娘が調べていた絶景スポットに一緒に行くことにしたのだ。寒さにガタガタ震えながら美しい燃えるような朝日を眺めた。足元には広大な阿蘇のカルデラが広がり、雲海も少し見ることができた。感動的なその場面にたどり着くまでに、少し寝坊をし間に合わないかもしれないと諦めつつも、それでもやっぱり行ってみようと必死に車を走らせるちょっとしたハプニングもあった。一人旅も二人での行動も、すべてのことが旅の楽しい思い出である。
これはなかなか楽しい旅の仕方じゃない?
娘と私はすっかりこの旅の仕組みが気に入ってしまった。
 
新しい旅の仕組みを、主人と娘と私の三人で旅行をした時にも当てはめてみた。
この提案に主人は「それでは家族旅行とは言わないだろ?」と渋い顔をしたが、夕飯に顔をそろえた時にはとても生き生きと話をしていた。私たちに気遣うこともなく、存分に自分の好きなものを満喫してきたようである。
三人三様、それぞれが自分のペースがあり、興味もそれぞれである。それを人に合わせることで生まれる楽しさもあるとは思うが、一人一人が楽しむことで生まれる楽しさもあるはずだ。
 
私たちの夕食の場はその日の出来事をお披露目する場所でもあったが、同時に次の日の行動をプレゼンテーションする場所でもあった。この場所に行って何を見て何をしたいのか、それぞれが話をすることで、自分で調べていなかった新たな観光スポットを知り、自分も行ってみたくなったら一緒に行動する。興味がわかなければ一人で行動する。家族という枠の中で、それぞれの個性を大切にしながら、同じ旅先をそれぞれが違う角度から楽しみ共有する。
家族旅行に一人旅を加えることで、私は違う場所に行きたかったのにとか、もっとこれがしたかったとか、家族間のちょっとしたトラブルを避けることができることもおすすめポイントである。
 
少しずつ、旅行に行くことを許される世の中になりつつある。
次の家族旅行に少し、一人旅を混ぜ込むことを検討してみてははいかがだろうか?
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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