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大人になってサッカーが楽しくなってきたのに、誰も私にサッカーを教えてくれない問題

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:籔田聡(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
この文章は、子どもの頃にサッカーをプレイしていたが、大人になってサッカーをプレイしなくなった多くの人に読んでもらいたい。
 
まず、この文章を書くのか理由をお伝えする。子ども向けにはサッカーを教えるチームはたくさんあるが、大人向けにサッカーを教えるチームがないことが私の不満だ。
サッカーはサッカーをプレイすることでしか上手くならないし、深く理解するにもサッカーをプレイするのが一番のはずだ。しかし私のような、プロには到底なれないレベルではあるが、サッカーが大好きで、サッカーをもっと知りたい大人が、サッカーをプレイしながら学ぶ環境を見つけるのが極めて困難なことを変えたい。
 
サッカー経験者の皆さんはご存知の通り、サッカーはとても大人向けのスポーツなのだ。自分以外の21人を把握しながら、チームとして連動して動くのは、個人個人にかなり高度なサッカーというゲームを深く理解する力が必要になるからだ。さらに足でプレイするため、基本的にミスするのが当然のスポーツと言われている。ミスをするスポーツを、いかに上手くやるかにはメンタルの問題、チームとしての協力、未来を予測する力が必要となり、これは全て大人の方が得意な領域なのである。
実際に、私の感覚でも大人になってからの方が、サッカーというものを理解できるようになった。体力や技術は年齢とともに落ちているが、サッカーを知る楽しみ、プレーする楽しみは年々増している。しかし、サッカーを大人に教えているチームやサービスはほぼない。
 
もちろん、大人が参加できるサッカーチームはある。1つは地域リーグに参加する競技志向のチーム、もう一つは散発的に練習試合を行うチームだ。前者は競技レベルが一定以上求められるため、年齢も30歳を超えてくると厳しい。後者は比較的競技レベルは広いが、楽しくその場でプレーするだけで、サッカーを学ぶ環境とは言えない。サービスとしてよくあるのは、フットサル場が開催する個人フットサルやフットサル教室ぐらいだ。大人にサッカーを教えてくれるサービスは極めて少ない。
 
なぜ大人向けのサッカーを教えるサービスが少ないのか?
理由は簡単で、おそらくサッカーをプレイする大人が少ないからだ。
 
細かい計算過程は割愛するが、日本サッカー協会に選手登録している大人(第1種の大学生を除く、おおよそ39歳までの選手)は約10万人である。これはサッカー経験者全体の約5%になる。ここからは私の推計で恐縮だが、なんらかサッカーを経験している人を母数にすると、
・選手登録して競技志向が5%
・毎週定期的にサッカーではなく、ほとんどフットサルコートでプレイしてる人が15%
・半年から1年に数回、フットサルコートをプレイしてる人が50%
・全くサッカーをプレイしていない人が30%
つまり、約80%はほぼボールすら蹴っていない。さらに95%はフットサル(ミニコートのサッカー)はやっていても、フルコートのサッカーをプレイしていないのだ。
 
 
なぜ、大人はサッカーをプレイしないのか?
そこにはサッカーを過去にプレイした時の呪縛が起因しているというのが私の仮説だ。
仮説は要約すると、「ミスをすることは「罪」、下手な奴は「迷惑」」という空気感が原因でサッカーを二度とプレイしたいと思えなくなっている。この現象を、私はフットサルやサッカーをプレイする現場で、小さい頃から今まで度々目にしてきた。
ミスをすることは「罪」の意識は、「ミスを恐れる」あまり消極的なプレーになることだ。ミスは勝負に直結するが、そこまで勝負に拘っていないゲームでも変わらない。もちろんミスが続くとゲームの流れがなくなり、つまらなくなるのは事実だ。ただ、先程の述べた通りでサッカーは「ミスするスポーツ」だということは経験者なら知っている。それが、久々にプレイする大人であれば、ミスするのは当然と言えば当然だ。しかし、大人になってもあまり大胆にプレーする人は多くない。
下手な奴は「迷惑」は、ミスすること「罪」とつながるが、要は下手な人が肩身が狭くプレイすることになることだ。10分もプレイすればなんとなくお互いのレベルはわかる。そうすると上手い人は伸び伸びとプレイするが、下手の人は「上手い人の迷惑にならない」ようにプレーをするようになる。それは例えば、上手い人が、下手な人からパスが出てこないと、人によってはあからさまに苛立ったりするからだ。自然と、上手い人の方が立場が優位に立つのだ。
もちろん、大人の遊びであれば、空気が物凄く悪くなるようなことはないし、肩身が狭いは言い過ぎかもしれない。
 
この空気感がどこから来るかの正体が問題だ。おそらく部活に代表される学生時代のサッカー経験から来ていると推測している。サッカー経験者のほとんどが経験したであろう、その共通体験に近いものがこの空気感を作っていると考えられる。
 
その経験を凄く凝縮して言うと、ミスすると怒られる経験と、いわゆる上手い(ミスの少ない)プレーヤーが下手なプレーヤーに対して怒る体験だ。
私は学生時代に10年間サッカーをプレイしたが、ミスをすると監督やコーチに怒られる経験は当然だった。そして怒られたくないので、ミスのないプレーに終始する癖が知らず知らずに身についてしまった。なぜなら、ミスをするとレギュラーに選ばれなくなるという問題があるからだ。サッカーの公式戦に出れるのは11人、ベンチも含めて20人だ。サッカー部にいたのに、サッカーの公式な試合に出ずに引退するのはよくある話だ。まずは試合に出るためにミスをしてはならないのだ。
次に選手同士もそれを真似してミスはお互いに怒ることが当然になる。怒る方が上で、怒られるのが下になるのは人間関係としては自然な話で、そうなるといつの間にか上手い(ミスが少ない)プレーヤーが偉くなり、下手なプレーヤーは怒られるので肩身が狭くなってくる。
サッカー経験者は、皆が似たような経験をしているからか、歳を重ねても大人になっても、どこでプレイしていても、似たような状況が発生していることを目撃する。勝負に拘り始めるとより、この構図は色濃く出るのが特徴だと言える。
 
この体験を引きずることの問題点は、自分が相対的に下手なプレーヤーに位置付けられる環境では基本的に肩身が狭いのだ。つまり平均より下手な人は、どこに行っても肩身が狭いケースが多くなるのだ。そして、その環境を楽しむのは難しい。そのため、相当な上手い人でないとサッカーを楽しく続けることは難しいのだ。これがサッカーをプレイする大人が少ない理由に繋がっているのではというのが仮説だ。
 
サッカーは子どもが大人になった時に、プロに成れなければ終わりではない。生涯を通じて楽しめるゲームのはずだ。そして、先ほども述べたように実は大人の方がサッカーを楽しむのには向いていると私は考える。もっと、多くの大人がサッカーをプレイすれば、きっと大人にサッカーを教えるサービスができるはずだ。
 
だから私は、ミスすることは「罪」、下手な奴は「迷惑」という空気をサッカーの世界から失くしたいと思っている。サッカー経験者の皆さんはどう考えるだろうか?
 
 
 
 
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2022-06-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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