大人になるということ、それは案外しょうもないことだった
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記事:園田 夢実(ライティング・ゼミ6月コース)
大人ってなんだろう。
大人になるとはどういうことなんだろう。
小学生の私にとって、20歳の人はみんな立派な大人だった。
大学生もみんな大人だった。
年齢をある程度重ねた人は、見た目も中身もみんな立派な大人だと思っていた。
「私も年を取れば、立派な大人になれる」。そう思っていた。
20歳になった。
お酒が飲めるようになり、法的な大人になった。
成人式で袴を着て、久しぶりに会う友達がいて、時の流れを感じるとともに「私もついに大人の仲間入りだ」と思った。
でも、小学生の時に想像していた大人とは違った。
見た目は確かに大人に近づいている。
背も高くなったし、化粧もするようになった。
髪の毛を染めて、スキンケアにも気を遣うようになった。
それでも、自分は大人になったという実感はまったくない。
小学生の時と変わらず、友達と遊ぶことが好きだし、楽しいことをするのが好き。
面白いことをしたりみんなで笑い合ったりすることが好き。
私が思っていた大人は、もっとしっかりしていてもっと難しいことを考えたり行動したりするものだと思っていた。
私はあることに気が付いた。
「そうか、私はまだ学生だから、大人になれていないんだ。社会人になって働くようになれば、きっと想像していた大人になれるんだ」
そして今、私は24歳になった。
社会人3年目、社会の波にもまれながらもなんとか働いている。
「働いたら大人になるんだ」と思っていたまさにその状態に自分がなった。
さあ、ついに私は大人だ。
東京の会社で働く、れっきとした大人だ。
そう思いたかったが、なぜかそう思うことはなかった。
考えていることは小学生の時と大して変わらず、「次の休みはあの子と遊ぶんだ、楽しみだな」とか「あ、あのドラマ見逃しちゃった、最悪もう泣きそう」とか。
見た目は確かに大人になってきたけれど、中身は24歳になっても大人になった気がしない。
大人ってなんだろう。
そう改めて考えてみた。
子どもの頃と今の私は何が違うんだろう。
もちろん会社で働いていることだったり、一人暮らしをしていたり、変わったことはたくさんある。
でもそれは私の“中”ではなくて“外”の変化だ。
自分自身の考え方が変わったのではなく、周りの環境が変わるとともに私自身もそれに合わせて変化しているだけだ。
私の“中”はやはり大人になれていないのだろうか。
その答えを出せずにモヤモヤしていたある日、友達と旅行の話をすることがあった。
「今年の冬、どこか旅行に行こうよ」
「いいね、どこ行く?」
「温泉とか行ってゆっくりしたくない?」
「わかる、めっちゃ温泉行きたい」
そんな会話をしている時に、私はあることに気が付いた。
それは、温泉が好きになったという変化が私の中にあったということだ。
昔は、旅行と言えばディズニーランドに泊りで行くことや、ちょっと遠くのUSJに行くことが最高に楽しかった。
「温泉旅行なんてつまらない、旅館で食べるご飯なんてどうでもいい、お腹が満たされればなんでもいいしマックだっていい、そんなことより楽しいことして遊びたい」と思っていた。
家族旅行に行くときは、両親もそれに合わせて旅行先を考えてくれていたと思う。
しかし、24歳になった今の私にとっては、温泉のある旅館でおいしいご飯を食べてゆっくりすることが最高の旅行なのだ。
私の“中”に変化を見つけることができた。
このことに気付いた時、ああ、私は大人になったんだ、と感じた。
温泉やおいしいご飯で幸せを感じられること、それが大人なのだ。
またある日には、母と一緒にチューリップ畑に行った。
その時に気付いたのは、きれいなお花を見ると幸せを感じられるということだ。
昔はお花なんて少しその場を華やかにするためだけの飾りでしかなかったが、今はお花を見ると心が穏やかになる。
そういえば、一人暮らしを始めてから部屋にはお花を飾っている。
昔はぬいぐるみを大量に置いていたり、旅行先で買ったご当地のまりもっこりやハローキティをいっぱい飾ったりしていた。
それが今はお花を飾って癒されている。
ああ、私は大人になったんだ。
それまで思っていたように、何か難しいことを考えたり、それを行動に移したりすることができるのが大人なのではない。
ただただ日常の小さなことに幸せを見つけられることができるのが大人だ。
温泉に入ること、おいしいご飯を食べること、お花を見て癒されること、そんなことを好きになっていた時点で、私はすでに大人になれていたのかもしれない。
そう気づいたとき、なんとなく肩の力が抜けた気がした。
大人になるということは、こんなにもしょうもないことだった。
***
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