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メディアグランプリ

「好きになりかける」っていう気持ちは、思い出すだけでドキドキする。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松下広美(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「今日は絶不調なんで、あんまり飲まない方がいいかもしれない」
「ええっ! 大丈夫ですか? 無理しなくてもよかったのに」
一緒に連れてきた後輩に心配される。
「みんなに予定合わせてもらったのに、なんか悪いし。早めに帰るからさ」
 
昨日から熱っぽくて、だるい。
休みだったからゆっくりして、なんとか回復したけど飲み会はきつかった。
 
「松下さん、おかわりは?」
「烏龍茶でいいよ」
「マジですか? 帰った方がいいんじゃないですか?」
 
後輩にすごく心配される。確かにビールが美味しくないというのは重症だ。
普通に話している分には大丈夫だけど、お酒を飲みたくないのにこの場にいなきゃいけないのは苦行でしかない。
つくり笑顔も続けられる自信がない。
 
「そろそろ帰るわ」
小声で後輩に伝えてから、正面にいる彼に、絶不調な体調はそっとしまってから、
「イチノセさん、ちょっと先に帰りますね。あんまり体調よろしくなくて」
「ええっ、そうなんですか? 無理しなくてもよかったのに」
「いや、たいしたことはないんですけど、せっかくイチノセさんに集めてもらったんで」
「また、飲み直しましょう」
ちょっとほろ酔いの彼の笑顔は、すっと心のスキマに入りこんだ。
もう一度、会いたい。
この笑顔を見たいな、と思った。
 
帰宅途中に、彼にメールを送る。
送信を確認したあと、そういえば連絡先を交換するときに
「こういうの、慣れてないんだよね」
って言っていたのを思い出す。
ちょっと不器用そうに携帯を差し出す感じは嫌いじゃなかった。
 
『そういえば、あれからどうだった? 気になる人いた?』
 
早めに帰ったおかげで体調が回復するのも早かった。回復して、やっぱり気になるのは飲み会のことだった。
後輩に、メールを送る。
 
その飲み会が、ただの友達との飲み会だったら、行っていなかった。
でも、コンパだった。
 
しかも、ちょっと気になる彼をコンパに誘った。
もう一度、飲みに行きたいと思ったけれど、一対一で誘う勇気はなかった。
「また、飲み会をやりませんか?」
という、当たり障りのない感じで誘ったのだ。
OKをもらえたので、幹事という名目で、彼に会う理由ができた。友達を誘い、人数を揃えるのに、その後輩も誘った。
張り切って準備をしたのに、体調不良で帰ることになってしまうという失態。
運動会で張り切って、当日に熱を出してしまう小学生じゃないか。
でも、大丈夫。2回目があるなら3回目もある。
 
そう信じていた。
 
『イチノセさんです! ごはん誘って、今度の休みにいくことになりました!』
 
え? ちょっと待って。ごはん?
どういうこと? あれ、それって……。
 
ガラガラガラと、目の前のシャッターが下りていくようだった。
目の前が暗い。
明かりが閉ざされた気がした。
 
それからしばらくして、彼と後輩は付き合うことになったと聞いた。
またしばらくして、結婚することになった、と聞いた。
 
2人が結婚する、となったときに、彼がバツイチだったということも聞いた。
だから、あの落ち着き感があったのか、とひとり納得した。
不器用さも、落ち着き感も、なんだか心地よさそうだなと思ったんだ。
 
そりゃ、後輩の方がカワイイし、気が利くし。
バツイチだって聞いたら、私は躊躇したかもしれないな、と自分に言い聞かせた。
 
2人が結婚する前だったか、した後だったか、細かいことは覚えていないけれど、会社の飲み会でその後輩と一緒になることがあった。
 
「あの、松下さんが誘ってくれた飲み会で、松下さんが帰ってなかったら、私たち付き合ってなかったかもしれません」
どういうことだろう、と思った。
「イッチーがね、松下さんとは話が合うし、気が合いそうだって思った、って」
「えー、そんな、何いってんの」
仮面の笑顔で反射的に返したけれど、心拍数はかなり上がっていた。
まさか、好意の矢印は、こっちを向いていただなんて。
だからといって、時を戻すことはできないし、私も気になってたんだよね、なんて口が裂けても言うことはできない。
 
もう、10年以上も前の話で、彼の顔もうろ覚えだし、ほとんど覚えていない。
その後輩とも何年も会っていない。
 
なのに、急に記憶が蘇った。
 
「世話役」の話があったからだ。
『出会い系書店』になる、なんてことを、うちの社長が言っている。
私たちスタッフは、世話役になるらしい。
 
確かに、何度か「恋のキューピット」をしたことはある。
 
コンパと呼ばれる飲み会の幹事もいくつかして、その中で「付き合う」こともあった。
更に、私がお酒を飲みたくないと思うほど体調が悪く、早めに帰ってしまう会でのカップル成立の割合は、100%だ。
 
この2人はうまくいかないな、と思った2人はたいてい別れる。
あの2人はうまくいくなと思って、ガンガン押していっちゃえよー、って励ました男子は、見事、意中の子を仕留めた。今でも幸せにしている。
 
自分自身の恋愛レベルは上がっていなくて、全くわからないことだらけなのに、人のことはよくわかるらしい。
 
 
今、もしもイチノセさんに会ったら「好きになりかけてたよ」って、言えるだろうか。
 
彼のことを思い出したら、今でもちょっと、ドキドキする。
 
 
 
***
 

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2022-06-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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