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メディアグランプリ

15年続けていたのに、できなかったこと

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:草間咲穂(ライティング・ゼミNEO)
 
 
誰にも言ったことはないのだけれど、
ここ15年間ほど、続けていることがある。
 
それは、頭の中でいつか「住んでみたいと思う家」を詳細に想像し、
地道に好みに変えていくことだ。
 
中学生の頃だったと思う。
夢を見た。
 
何でもない日だった。
でも目覚めた瞬間に夢の中に出てきた家に、
「住みたい!」と思った。
 
そこから、なぜか定期的にその家に住んでいる夢を見るようになったのだ。
他の夢は大体見たら忘れてしまうことも多いのに、なぜかその家の夢だけは鮮明に記憶に残る。
 
そこから15年ほど、現実の世界でふと思い出した時に、その家の詳細を想像する様になった。
まだ開けていない部屋を開けて、一つずつ創りながら歩いて行く様に。
 
 
ふとした時に想像する。
 
階段を上がっている姿、そしてその階段の手触りを。
 
階段を登った先のフロアには部屋が3つある。
2階はテラスの様になっていて、
階段を上がってくるりと後ろを向いて下を向くと、1階と庭が見渡せる。
1階には友達がキッチンカウンターで笑っている姿が見える。
 
 
窓側の右端には半円型のくぼみがあって、段差がある。
1段ぐらい下がった半円型のフロアには、テレビとソファーがある。
ソファーにはゆっくり寛ぐ家族の姿が見える……。
 
 
15年ほどその不定期に見る不思議な夢と現実での想像を繰り返しているうちに、
詳細は、どんどん頭の中では設計されていった。
夢の中では、現実の思考とリンクしているのかアップデートされているから、またこれも不思議だ。
 
 
玄関の広さ、壁紙の手触りまで、目を閉じればそこにいるかの様だ。
15年を経て、一つ一つ創り上げてきた「頭の中」のイメージはどんどん具体的になって行った。
 
 
ところがだ。
「頭の中」にはこんなに詳細のイメージがあるのに、
現実の世界で実際に描き起こしてみようとすると……
できないのだ。
 
 
少し前に、主人と「将来どんな家に住みたいか?」
という話をしたことがある。
きっかけは、今住んでいるマンションの目の前に新しいマンションが造られた事だ。
 
 
もともとは目の前には公園があって、窓を開ければ自然があった。
春には綺麗な桜が見えて、天気の良い日には光が差し込んで、気持ちよかった。
 
 
ところが、数ヶ月前に骨組みが組み立てられたと思ったら、
あっという間に窓を開けたら5メートルほ先には、壁がそり立つ様になってしまったのだ。
 
 
「将来は自分たちの家を持ちたい」という事が主人の夢の一つだった事もあって、
そろそろ考えてもいいかもね、という話になったのだ。
 
 
それまで私の「頭の中」で創り上げてきた家の出番だ!と思った。
 
 
もちろん、想像する家は現実的には身の丈に合わないところが沢山ある。
でも一部でも取り入れられたら、嬉しいと思った。
 
 
「どんな家に住みたいとかある?」
 
 
と聞かれて、「あるんだよー!」と答え、
勢い良くペンと紙を持ってきていざ描こうとした瞬間、止まった。
 
 
描き起こそうと思ったのに、全く手が動かなかったのだ。
 
 
それは、図面を書く知識がある/ない、という話や、
絵心のある/ない、の話ではない様に思った。
 
「頭の中」の想像を形にしようと思った時に、そこには明らかに「断絶」があった。
 
勢いよく「あるよー!」と言った手前、今度は言葉にして伝えようと思った。
 
ところが今度も「頭の中」に詳細にあるイメージを言葉にしようと思いながら、
何と言っていいのかが、わからない。
言葉に詰まってしまった。
 
そこにも明らかに「断絶」があった。
 
 
思えば、誰にもこの話をしたことがなかったし、描いてみようと思ったこともなかった。
頭の中で描いていたことは、結局一つも伝わらずに終わった。
 
 
その時強烈に感じたことは、15年間、私の「頭の中」という限られた世界の中だけで、
ぐるぐると想像を巡らしていただけにすぎなかった、ということだ。
 
 
私自身の中で、ここまで具体的に想像できている、と思い込んでいた事でさえも、
誰かに伝えたいと思った時には、伝えられない。
 
そこには別の大事なことが必要になるのだと思った。
 
「私」がという主体を一度置いて、私以外の「相手」のことを考えるということ。
 
自己満の世界の中で、想像する訓練を繰り返していたが、
そこに誰か私以外の視点を入れて考えたことが今まで一度もなかった。
 
天狼院の中では「お客様が何を求めているのか常に考える、徹底して考える、それだけだ」と
よく言われる。
 
15年間続けてきたことも、相手に伝えられなかった。
それは、全てにおいて、相手、という視点がなかったからなのではなかったか?
 
そう、強く感じた。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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