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もしかしたら、寺や神社は超現代的なビジネスなのかも


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記事:山田THX将治(天狼院ライティング・ゼミNEO)
 
 
そのニュースは、思ったより衝撃的だった様だ。
日本が世界に誇る文化遺産、奈良・斑鳩(いかるが)の地に在る法隆寺が、寺院維持の為、クラウドファンディングを立ち上げたというのだ。
 
さらに驚いたのは、目標とする寄付額2千万円のところを、告知から僅か24時間で2倍以上が集まったというのだ。
流石に法隆寺は、日本が誇る歴史的寺院として別格といったところだ。
 
ただ、幾らこの2年間、新型肺炎の蔓延で拝観者が減少したとはいえ、天下の法隆寺がクラウドファンディングで資金繰りが逼迫する等、聖徳太子様でも気付くまいといったところだ。
それ程迄にこの2年間というもの、文化や芸術系の施設は外出自粛の影響を多大に被っていたということに為る。
 
私は、ふと目にしたニュースから、そんなことを考えていた。
もう少し時間が有ったので、更に……。
 
 
古来より日本のお寺や神社では、営利目的の事業を営むことなく、檀家さんや氏子さん達からの心付けで維持されているものだ。心付けはそれぞれ、『御布施』『祈祷料』と呼ばれている。
どちらも心付けなので定価等が無く、法要をして頂いたり祈祷して頂いた際に、受けた我々の気持ちを表すものなのだ。それは丁度、初詣に出向いた際の御賽銭に定価が無いのと同じだ。
 
中には、有名な大手神社の様に諸々の祈祷に、『初穂料』と支払う金額を定めているものも有るには有る。しかし、戒名を付けて頂く際の『御礼』や、葬儀をして頂く際の『御布施』を指定されることは無い。
私も昨年、母の葬儀を出した際にお寺さんから、
「えー、では、戒名を授ける代金として100万円頂戴します」
といった請求を受けなかった。
勿論、戒名代や『御布施』に関して見積もりを取ることも無かった。ただ、これ迄の慣習に習い、父の葬儀の時と同額を包み僧侶に渡した。
その際も、支払う側の私が、
「本日は有難う御座います」
と、通常の商習慣とは真逆な挨拶をしながら。
 
これは、どこかおかしいと感じた。
おかしいと言うと語弊が有るなら、普段事業を営んでいる私には多少なりとも違和感が残った。
何といっても、お金を支払う側が、金額の指定を受けても居ないのに、気を使った上に更に、遜っているからだ。
 
しかし、考え方を変えるなら、元々日本で習慣化されていて定価が無い『御布施』や『祈祷料』といった物は、現代で言うところのクラウドファンディングと同じなのかも知れない。
現に、定められた金額が有る訳ではなく、人々が“自主的”に金員を収めている。そこには、請求も見積もりも無い。在るのは、人々の善意だけだ。
しかも、『御布施』や『祈禱料』を収めたり、御賽銭を払ったり御守りを持つ為にお金を収めることも、全て自主的にしているのだ。
 
しかも、これが肝心と思うのだが、誰もが見返りを期待して行ったりはしていないのだ。
 
これ総て、現代のクラウドファンディングを、お寺や神社は、遥か昔から習慣付けていたに他ならないのだ。
だから、お寺や神社といった宗教法人は、原則、法人所得税が掛からず、無税扱いなのだ。『御布施』『祈禱料』と称した、名称を変えた寄付で成り立っている訳なのだ。
だから、通常の事業体と同じく経営経費が掛かり、所有物件の維持管理にも同じく費用が掛かるにもかかわらず、存続することが出来ているのだ。
 
しかも伝統在る神社仏閣とも為ると、所蔵されている像や宝物は、文化的な価値も有ったりするのだ。実際、必要と為る維持管理経費は、我々の様な一般営利事業を営んでいる者には、想像出来ない程掛かっているのかも知れない。
なので、無税扱いの事業体であっても、誰からも文句が出ずにこれ迄続いて来たし、これからも存在し続けるのだろう。
 
 
ただ今回の、日本代表ともいうべき法隆寺のクラウドファンディングは、お寺や神社が、これまでの『御布施』や『祈禱料』といった寄付で賄い切れなくなっていることの証明なのかも知れない。
だとすると、私達一般人の感覚が、現代の経済状況から乖離し始めているのかも知れない。
もしくは、超現代的なクラウドファンディングという寄付が、既に遅れ始めていることに為るのかも知れない。
 
これは、忌々しき問題だ。
 
 
何といっても日本のお寺や神社といった宗教法人はこれまでも、知らず知らずの内に、時代の先端を走り続けていたのだから。
 
寄付という、人々の善意によって。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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