メディアグランプリ

学ぶことはまだ見ぬ自分を知ることだ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:深谷百合子(ライティング・ゼミNEO)
 
 
6月に入って朗読ゼミが始まった。このゼミを受けるのは今回で3回目だ。もともと私は、録音された自分の声を聞くのは好きではなかった。何だか小っ恥ずかしくて、いたたまれない気持ちになる。けれども、その自分の声や話し方に対して、プロの先生から客観的なフィードバックを頂けるというのは、ちょっと興味があった。そして、やってみたら自分でも気づかなかった発見があった。
 
私は地声が低い方だから、「男性の声色を出す方が向いている」と思って、前回のゼミでは太宰治の『徒党について』を朗読したら、「声と題材がマッチしていない」とフィードバックを受けた。太宰治のちょっと面倒くさい感じの主張を演説するような題材なのに、私の声の雰囲気が「女性っぽくて、やわらかすぎる」と言う。そう言われて聞いてみると、私の読み方はフワッと丸い感じなのだが、『徒党について』はもっとキレよくシャープな感じの読み方の方が断然合いそうだった。
 
そこから悪戦苦闘して、最後には少しだけキレのいい感じに朗読できるようになったけれど、私の声が「女性っぽい」というのは自分にとって意外な発見だった。
 
そんなことがあって、色々な題材を試してみたくなり、今月からまた朗読ゼミを受講している。そして、今回もまた違う発見があった。
 
提出した課題に対して、改善すべき点として先生から
「口が若干横に開く癖があるから、もっと縦に大きく開けた方がいいですね」
とフィードバックがあった。
 
それを聞いて、「私、中国語でも同じようなことを言われているな」と気がついた。
 
2年ほど受けている中国語の発音矯正のレッスンでも、先生からたびたび言われるのは「もっと口を縦に開けて」ということだった。
 
中国語の「オ」を発音するときの口の形は、日本語の「オ」よりも縦長なのだ。ところが私は口がなかなか動かない。口先だけで音を出しているようなのだ。
 
「中国語だけじゃなく、日本語でもそうだったのか」
言語が違っても指摘されることが同じというのは、面白い発見だった。
 
逆に、中国語の発音矯正レッスンで身につけたことを、日本語の朗読に生かすこともできていた。
 
「ここでちょっと間をとるといいかな」
「ここは言葉を目立たせるために、テンポを少し変えてみよう」
そんな風に自動的に意識が働く。文末に向けてなだらかに音の高さを下げていくのも、中国語の音読で教わったことだけど、それは日本語でも同じだった。
 
自分の中ではそれぞれの学びはバラバラに感じていたけれど、実は共通することがあり、しかも双方に相乗効果があるのが嬉しかった。
 
もともと私は学ぶことが好きだ。色んなことを学んで、色んなことができるようになりたいと思っていた。一方で、「あれこれと学び散らかしているだけなのではないか」、「自分に足りないものを埋めようとしているだけなのではないか」ということが気になっていた。
 
でも、何かピンと心が動いて「学んでみたい」と思って始めたことは、一見バラバラなのだけれど、実は根っこが繋がっていた。その根っことは「伝える」ということだ。
 
中国語の発音も朗読もライティングも。
 
どの学びも、「この学びが別の学びに役立つ」とか、「これが今の仕事に役立つ」などと意識して選んだわけじゃない。いつもそこにあったのは、「あ、それ面白そう」、「やってみたい」、「上手くなりたい」という思いだけだ。でも、そうして選んでいることは、その共通点を探していくと自分のテーマに結びついているのかもしれない。私の場合は、そのテーマが「伝える」ということであり、それを通じて「自分を発見すること」だったのだ。
 
さて、3回目となる朗読ゼミは、滑舌練習の課題を終えて文学作品の朗読練習に入った。与えられた5つの作品から課題を選ぶのだが、今回私は新美南吉の『二ひきの蛙』に挑戦してみることにした。これまた私の得意とする分野ではない作品だ。私が初めて朗読ゼミを受講した時、課題の中に新美南吉の『手袋を買いに』があった。「これにしようかな」と朗読してみたが、どうやっても子ギツネの可愛らしさや母ギツネの優しさを表現することができなかった。結局、「自分には、こういう作品は向かない」と諦め、その時は別の作品を選んだ。
 
でも、今回は敢えて童話に挑戦してみた。二ひきの蛙のキャラクターをどう設定するのか、子ども向けに読み聞かせる感じはどう出すのか、私にとっては「未知の領域」だ。でも、そこに分け入っていくことで、「まだ見ぬ自分」に出会えるかもしれない。あれこれ考えて自分なりに工夫して課題を提出した。そして、その提出した課題に対して、第1回目のフィードバックがあった。
 
「もっとユーモアたっぷりにできるはずだから、ストッパー外してやってみて」
先生からのフィードバックが、「未知の領域」へ私を連れ出した。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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