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メディアグランプリ

足し算の国の少年と王様の話。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:細井 岳(ライティング・ゼミ東京会場)
 
 
がったい【合体】
①起源・由来の違うものが新しい理念の下に一体となって何かを運営すること。
②(有性生殖で)雄性・雌性の生殖細胞が融合して一個の細胞になること。[「性交」の、婉曲表現としても用いられる](新明解国語辞典 第八版より)
 
合体である。
 
物心がついたころから、合体に魅入られている。とにかく気がついたら合体の虜だった。何でこんなに合体が好きなんだろう。
 
例えば、戦隊ヒーローものの超合金的合体メカに。
例えば、キン肉マンのマッスルドッキングに。
例えば、ドラクエのキングスライム(スライムたちが合体するのだ)に。
ときめいてきた。心を躍らせてきた。興奮してきた。
 
なにしろ合体するとデカくなるし、派手になるし、カッコよくなるし、何よりも強ぇーのである。合体のまえに全ての敵はひれ伏すのである。
さらに合体とは、新明解国語辞典がほのめかしているように根源的にエロス的な行為である。それに「ガッタイ/gattai」という響きもあいまって、本能に訴えてくるのだろう。
 
つまり「強くて、どことなくエロい」。
 
だから少年にとって、合体とは、最強にして最高であり、最善であり、正義なのである。
一に合体、二に合体、三四も合体、五も合体。足して、足して、足して、そして……足すのだ。引き算なんて知らねー、少年とは足し算の国の住人なのである。
 
が、大人の階段をあがるにつれ、合体の価値はどんどん下がっていった。どうやら大人の国とは引き算の国らしい。そこに時代の潮流としてミニマリズムやら断捨離などの興隆が加わってきたのである。そのような訳で、現代という時代において合体の旗色はとても悪い。
 
今と言う時代は合体にとって冬の時代なのだ、なんと嘆かわしいことだろうか。
 
ある日、そんな鬱屈した気持ちを抱えながら、ニンテンドースイッチでドラクエ11をプレイしていたら、
「な……なんと、スライムたちが……!?……」
どんどん合体していく!
なんとキングスライムになってしまった!
 
スライムが8匹集まって合体したのだった。キングスライムとの衝撃的再会である。雑魚モンスターでおなじみの、あのスライムが合体すると王様になるのだ。忘れていた、この感動。
 
「合体すると王様になる」という、この素晴らしく単純で少年的なコンセプトに私はすっかり魅了されてしまい、ただちに何かを合体させたくなってしまった。
 
そんな時に目についたのが、実家からのふるさと便に入っていた「フルーチェ(イチゴ)」だった。大人になってから、とんとご無沙汰であったフルーチェ。そう言えばフルーチェって他にどんな味があるんだろうと販売元のハウス食品のフルーチェのサイトを見てみた。
 
すると通常のフルーチェの他に「夏のフルーチェ」「乳酸菌フルーチェ」「フルーチェ濃厚シリーズ」「プチフルーチェ」、未知のフルーチェがたくさんあることが知れた。
数えてみたら全部で14種類あった。(※2019年当時のラインナップ)
 
この14種類をすべて合わせれば、究極フルーチェ合体「キングフルーチェ」になるではないか。とても血沸き肉躍った。思い立ったが吉日、私は勇躍してフルーチェ集めにとりかかった。
 
が、フルーチェ集めは難航を極めた。フルーチェ全ラインナップを揃えている店などなかったのである。大抵の場合3,4種類置いてあるのみで通常版のイチゴだのメロンだのといった定番の味しかなかったりする。「プチフルーチェ」に至っては100円ショップにしか置いていないのだ。散々探し回った挙句に、フルーチェ公式サイトで私はこの事を知った。
 
結局、スーパーやドラッグストア、100円ショップを5,6軒はしごして、ようやくフルーチェ14種類をコンプリートすることができた。さぁ、楽しい合体の時間だ。
 
「よぉーし! みんな!! 合体だぁー-!!!」と独りキッチンで叫んで作業にとりかかる。
 
まず全フルーチェををボウルにあける。イチゴに、メロンに、マンゴー、ブルーベリーなどのフルーチェ液が全て合わさる。なんとも言えない色の液体になる。これだけで2リットルを超えてくる。ちょっと不安になる。
 
さらにフルーチェ液と同量の牛乳、つまり2リットル超を加える……ボ、ボウルに納まりきらない……急遽、パスタを茹でる用の深い鍋に入れ替える。公式サイトの正しい作り方通りの1秒間に2回の速さでスプーンでかき混ぜる。どんどん固まりだして、スプーンを持つ指先の抵抗が増える。
 
なんとも言えなかった色は牛乳の白に中和され、見慣れたフルーチェの色になった。少しホッとする。いろんなフルーツのカケラが色とりどりでなかなかキレイだ。見た目もさることながら、王の名にふさわしく4リットル強の大量さだ。傍らで固唾をのんで見守っていた、妻と娘が引いている。一度にこんな量のフルーチェをみたことがない。
 
量が量なので、丼に盛ってみた。フルーチェ大盛だ。カレー用のでっかいスプーンでキングフルーチェをかきこむ。
 
「虹の味がする」
 
いや、虹食べたことないけどね。思わず、そんな言葉がでた。これぞ、合体の味。一口食べれば、忘れていた童心を取り戻すことができるはず。
キングフルーチェ、ぜひ作ってみて欲しい。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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