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あなたの好きな色は、本当にあなたが選んだ色ですか?


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記事:よしかたよしこ(ライティングゼミ4月コース)
 
 
好きな色は何ですか?
 
私は、緑。
 
何か色の選択をしなければならない時、つい選んでしまう色。
成人式の振袖も、婚礼フォトに選んだ色打掛も、緑だった。
 
ではどうしていつもその色を選んでしまうのか、考えたことがあるだろうか。
今はパーソナルカラー診断も流行っているから、自分に合う色を理解して選択する人も多いだろうけど、そうではなくつい惹かれてしまう色。
 
高校時代はとにかくいろんな色が好きだった。
通っていた高校には制服がなく、今と違いファストファッションもなかったため、お金のない私は原宿の古着屋で安い服を買い漁っていた。その影響だ。
だが、大学生の頃からだんだんと緑を選ぶことが多くなっていた。
 
大学で色彩学を学んだこともあり、色彩に関するいろんな本を読む中で、「色彩セラピー」というものがあることを知った。塗り絵をすることで癒しを得る、選ぶ色によって心理状態がわかりストレス軽減の力になる、というものだ。
ワークショップが開催されていることを知り、参加してみることにした。
 
10人ほどが集まって、渡された絵に色鉛筆で色を塗る。卵のような楕円形の絵だったと思う。
私はいろんな色を使いたくて、虹のように順番に色を付けた。真ん中が赤、ピンク、オレンジ、というように。一番外側は緑にした。
 
その後、自分が塗った絵、色について周りの人と話してみてくださいと言われた。
周りは知らない人だらけ。皆ちょっと緊張しつつ、隣の人と「あ、青色がお好きなんですね」など取り留めもない会話から始めていると、一人の女が大きな声で話しだした。
「私って、この色が好きなんです! というのは昔っからこうでー、よく周りにもこう言われててー! というのもこんな経験があって!」
その女は一気に注目を集めた。皆話を止め、彼女の1人語りを聞く格好になった。
彼女は3人組でワークショップに参加していた。だから話しやすいのもあったのだろう。友達もいつものことだ、というように話を聞いている。講師の先生も彼女の話を聞きながら、それはこういった意味合いですね、などとコメントしている。
その屈託のなさ、一瞬で場の中心となる華やかさが羨ましいと思った。一方で、みんなで参加しているワークショップなのに、自己中心的だ、とイライラした。
 
その後、各自が塗った絵について、先生はひとりずつコメントしてくれた。
私の塗った絵について先生から言われたのはこうだ。
「中心が赤い。これは心の中に情熱や、パワーがあるということ。だけど一番を外を緑色でカバーしている。これはそんなパワーも中立、調和で覆いたいということ」
 
納得した。
先ほどの女に対してイライラしたのも、このワークショップのグループの調和を乱したように感じたからだ。でも心の底で、そのパワーが羨ましいという気持ちがあった。
私はいつも、バランスを取ること、ニュートラルでいることを大事にしている。
これがいつも緑を選んでしまう理由のひとつなのかもしれない。
 
だが昔はどうだったか。
子どもの頃一番好きだった色は青だった。
その理由はハッキリ覚えている。ピンクに反発していたからだ。
 
子どもの頃、女の子向けの可愛いものは全部ピンクだった。
キャラクターグッズやフリルがついたような服。
だが私は母親にそういったピンク系の服を着させてもらえなかった。幼稚園の先生がお遊戯会に選ぶ衣裳もピンク以外だった。ピンクが似合う子どもではなかったのだろう。今思うとそれは正しかったと思う。だが当時は少なからず「私はピンクに選ばれない」といじけた気持ちがあった。でもそれを隠し、「ピンクなんて好きじゃない」そんな姿勢をとるようになった。七五三に自分で選んだ着物も青だった。
 
小学生になり、学校で絵の具セットを注文することになった。種類はふたつ。男の子の絵が描かれた青のセット。女の子の絵が描かれたピンクのセット。
女の子は皆ピンクを選ぶ中、私は青を選んだ。そのせいで「なんで男の方使ってるんだよ!」とクラスのガキ大将にからかわれたが、それでもよかった。そんな自分がかっこいいと思った。そこから選ぶ服は青ばかりになった。
 
でも今思うのだ。女の子が選ぶ「ピンク」
それは本当に自分でその色が好きだと思っているのか。選ばされているのではないのか。
「女の子はピンクが可愛い」そうやって大人が価値観を押し付けているのではないのか。
「女の子はピンクが好きだから」メーカーはフリフリの服や、女の子向けのキャラクターグッズをピンクばかりで作る。本当に惹かれているのは色ではなく、世間が作りあげたピンクに象徴される「女の子らしさ」ではないのか。そして、その「ピンク」への反発からくる「青」も、結果選ばされていたのではなかったか。
 
だから、私は大人になって好きになった緑が、本当に自分で選んだ好きな色なんだと思う。
 
あなたの好きな色は何ですか?
その理由をちょっと掘り下げて考えると、また新しいことに気づくかもしれません。
 
 
 
 
***

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2022-07-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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