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おばあちゃんの健康長寿の秘訣


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記事:田原亜美(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
日本昔ばなし・舌切りすずめの大きなつづらを選んだおばあさん。物語では、「心優しいおばあさんの方が幸せに暮らせましたとさ」という感じでまとまっているが、きっと長生きしたのは強欲なおばあさんだったんじゃないかと思っている。
私の身近な長寿な方を見る限り、強欲というのは最強のサプリだと思うからだ。
身近な長寿な方とは、92歳になる祖母のことである。
 
女性への「えー! もっとお若いと思いました!」のほとんどは社交辞令だと理解している。しかし、祖母へのその言葉は100%本心からであると自信がある。
肌はその歳にしてはつやつやとしているし、腰もそんなに曲がっておらず杖なしで歩き回っている。
歩くどころか、近所のスーパーまで片道分自転車で買い物に出かけることは日常の運動だし、先日はリサイクルショップで紐付きテニスボースを購入してきて家の前でテニスの壁打ちを始めたそうだ。
 
そんな祖母の元気の良さは孫としても誇りだが、若々しいのが体力的な部分だけでなく、マインドや気持ちまでも若々しいところがすごい。
美容やファッションに対しても、いまだに自分を磨いていこうという姿勢を忘れないのだ。
 
例えばお洋服。
地元の伊勢丹へは特に用事がなくても遊びに行く(あまりにルーティーンなので「伊勢丹詣」と我が家では呼んでいる)祖母と違って、祖母、母、私が揃って出かけるとなると、ショッピングモールに行くことが多い。行きの車の中で、決まって祖母は「おばあちゃんは、もう服は買わないよ。もう死ぬまで困らないくらいあるからね」と、買わない宣言をする。
ここで「そんなこと言わないで、たまには自分の好きなお洋服を買おうよ!」と、祖母想いの孫らしい声がけを私はしない。なぜならば、絶対に買わないなんてことはないと知っているからだ。
案の定、モールに着くとウィンドウの前で「……あら? これ素敵ね」と立ち止まる祖母。「さっき、買わないって言ってたよね?」という私たちの声をよそに、すぅーっとショップに吸い込まれてしまった。
どうやら気になっているのは、チェックの薄手のブラウスのようだ。「たくさん洋服は持っているけれど、チェック柄でこの薄さのものだけは持ってない」とのこと。モンドセレクションさながら、洋服の中にもさまざまな細かな部門があって、タンスの中にその部門の洋服がなければ、購入してもOKというマイルールなんだそう。祖母は、買い物をする時の自分への言い訳も上手だ。
その後、「やっぱり絶対に欲しい! この素敵な服を着てお出かけしたい!」と母と私の猛反対を押し切ってブラウスを購入した祖母。
帰り道、「着たい洋服はたくさんあるのに身は一つ。また洋服が増えちゃったけど、着るのがおっつかないのがもどかしい! もっと生きないと!!」と嬉しそうだ。
 
そんな祖母の悩みごとは、顔の横にあるシミ。
「UVとかなんとか言い出してからは、日焼け止めは塗ってるけど、このキワのところまでちゃんと塗らなかったのよね……だからここにシミがあるのよ。後悔。」
と孫の私にありがたい先人の教え「日焼け止めクリームは顔の横まで塗る」ということを教えてくれる。そして大抵はその後「そのシミを治すには、このクリームは効くのかしら?」という話と最近気になる美容クリームの広告の話が続くのである。
ちなみに、もう一つのお悩みである顔の産毛に関しては、すでに目をつけているシェーバーがあるそうで、再三の祖母からのお願いを受けて今度ネット注文する予定だ。
尽きない美肌への想いは、洗顔せず寝落ちを繰り返す私は頭の下がる思いである。
「いまだに自分を磨いていこうという姿勢を忘れない」とかっこよく表現したが、祖母は「素敵な女性でいたい欲」にまみれているのだ。
 
この他にも、祖母の生活には「刺身が食べたい」や「骨董市行きたい」などの日常のことから「大きな丸いチーズを買ってかじってみたい」「京都に行きたい」といった大きなことまで「したい」に溢れている。
 
祖母を見ていると、そういう欲望によって生活に楽しみが生まれ、欲望を叶えるために頑張ろうという気持ちが生まれ、さらに欲望を叶えるまでは死ねないと生きる気持ちも生まれてきているように思える。欲望が、長生きに一役買っているように思えてならない。
嬉しそうに洋服を選ぶ祖母を見ながら、母とも「欲に生きることがあの人の長寿の秘訣だ」とよく話す。
 
これは、高齢者に限ったことではない。どの年代にも当てはまると思う。欲望があるから活力が生まれ、生きる原動力が生まれるのだ。
欲望というとネガティブな印象を持つかもしれない。あまり持たない方がいいというイメージだ。
そうではなく、私はどんどん強欲になるべきと思っている。
 
舌切りすずめの強欲おばあさん。彼女もきっと「あの柄の着物を着ぬまでは死ねぬ!」と長生きしたに違いない。
人生100年時代。強欲にイキイキと生きていきたい。
 
 
 
 
***

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2022-07-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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