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メディアグランプリ

画面の中の老犬から学んだこと


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記事:佐藤綾子(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
6月のはじめだっただろうか。お気に入りのチワワの動画チャンネルを見ていた。
それを見終わってから、ふと目についたのがカニンヘンダックスの兄弟のチャンネルだった。
 
我が家(実家)は、何か動物を飼うといったら、ダックスフンド(系)ばかりだった。
だから、半ばダックスに飽きていた。次に飼うのだったら、違う犬種がいいとチワワが可愛いなと思っていた。
 
コロナ以降、在宅勤務が多くなって、動物を飼う人が増えたらしい。
私はと言えば、コロナ真っ最中には、つゆほども思わなかったが、世情とは一歩遅れて(一人暮らしで寂しいからだろうか)、YouTubeで犬猫のチャンネルを見ていたら、無性に飼いたくなってきたのだ。
今年に入ってからは、別途ショップにも頻繁に赴いて、色々と探っていたけれど、なかなか踏み切れないでいた。
動物とはいえ、生き物。可愛いだけじゃ、飼うことは出来ない。
育て、愛しむ覚悟があるのか、自分の中で答えが出せないでいたが、徐々に、コロナも少し開けてきて、だんだん仕事が忙しくなってしまい、在宅勤務も減ってきてしまったため、やむなく飼うことは諦めたのだった。
 
それでは、YouTubeで楽しむことくらいはできる。
お気に入りのチワワを見つけて、動画がアップされるのが楽しみになっていった。
そんな中、たまたま見つけたカニンヘンダックスのチャンネル。
カニンヘンダックスは、ダックスフンドの中でも一番小ぶりの子(カニンヘン<ミニチュア<スタンダード)。
それも14歳と17歳という、かなりの老犬のチャンネルだった。
何気ない日常を撮ったものだったが、映像といい、音楽といいとてもステキなチャンネルで、心を惹かれたのだが、それに加えてもう一つ、心をわしづかみにされたことがあった。
 
2匹のうち、1匹(弟)が、余命宣告(3ヵ月)を受けていたことだった。
重複腫瘍だった。いわゆる癌……
老犬だったこともあり、手術など治療は厳しいとの診断があり、緩和治療をしていた。
動画で見ているだけでも、徐々に衰えていく姿。画面越しに何度も何度も「頑張れ!」 とエールを送った。
飼い主さんも、毎日のように動画をUPされていた。
コロナ以降、ペットを飼う人が増えた一方、経済的な理由などから飼育放棄が増えたことへのメッセージを意図されて毎日動画をUPされていたのだ。
飼い主さんは、この余命宣告を受けた犬のために、毎日、朝一で診察券を取りに往復15kmを病院まで走っていた。本当に、頭が下がる思いだ。
 
徐々に、体調が衰えていくことが、短い動画でも見て取れた。
ただ、画面の中の老犬は、食べ物を受け付けなくなって痩せ細ってはいても、目はしっかりとして、後ろ足の踏ん張りが効かなくなっても、前足で懸命に立とうとしている姿を見せていた。
 
そして……
いよいよ……、体調が急変し下顎呼吸の動画がアップされた。
涙なしには見られなかったが、画面の中の老犬は、目をしっかりと見開いて、賢明に生きようとしているように私には思えた。
生きたいと。
 
事実、お医者さまからは、重複腫瘍の子で、これほどに頑張っている子はほとんどいないと言われていたようだ。
余命はだいたい3ヵ月ほど、弟犬くんはすでに3ヵ月半ばにさしかかっていた。
後ろ足では立てなくなってはいたものの、それも寝たきりにはならずにいた。
後ろ足を引きずりながらも歩こうとしている意思がそこには見えた。
彼のそれまでの原動力は何だったのだろう。寄り添う飼い主さん、そして兄犬くんの存在だったのかも知れない。
 
私にそれほどの気力があるだろうか。
苦しいとき、辛いとき、どうしても楽な道を探してしまう。へこたれてしまう……
恥ずかしいな……
 
弟犬くんの動画を見て、いよいよかと思っていた。
しかしながら、その後の動画で私は目を疑った。復活した弟犬くんの画像が現れたのだ。
信じられない。あれほどの状態で、復活するなんて。
なんて強い子なんだろうと、心を打たれた。
犬に精神力があるのかはわからないけれど、今回は、その精神力とも思えるものに平伏するばかりだった。
 
言葉を話さない犬の、本当の意味での心内はわからない。
単なる私の希望なのかも知れないけれども、生きるために精一杯の姿を見せてくれたと思う。
人間の私が惚れ惚れするような。昔ながらの日本男児を彷彿とさせた。
 
この弟犬くんの姿は、今後の私の人生に必ず活きるだろう。
人生、誰にでも苦しいとき、辛いときがある。今までの私だったら、その状況からきっと逃げてしまったはず。
そんなときは、この弟犬くんが目に浮かぶだろう。
そして、賢明に生きたいと思う。
 
ふと、毎年恒例の24hテレビのZard 『負けないで』 が頭の中を駆け巡った。
 
彼は、7月1日、お空に行ってしまったが、寄せられていた視聴者からのコメントには、私と同じような思いの方もたくさんいた。
彼から、強い強い精神力を学ばせてもらった。老犬よ!ありがとう!!
 
 
 
 
***

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2022-07-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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