モテない私が結婚できた理由
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記事:宮村柚衣(ライティング・ゼミNEO)
世の中にはモテない人間という人種が存在するのだが、じつは私もそのひとりだ。
とにかく、人生でモテた経験がない。
幼少期から肥満体型で、運動がまるでダメ女だったことが原因なのか、勉強が好きでカリカリと勉強ばかりしていたことが原因なのか、休み時間に本ばかり読んでいたことが原因なのかは判らないが、学生時代はサッパリとモテなかった。
男兄弟がいない事も原因の1つだろう。
3姉妹の長女として産まれた私にとって、男の子と気軽に喋るというスキルが備わっていなかった。というか、男の子に気軽に話しかけるなんて天地がひっくり返っても出来ない芸当だった。
きっと、生真面目な性格もダメだったに違いない。
「先生に言うからね」と、男子が悪ふざけをする度に注意していた。可愛い子に注意されたならば、男子も文句を言いつつまんざらではない感じでコミュニケーションが産まれそうなシチュエーションだ。
しかし、メガネを掛けた根暗なデブ女に言われた場合は違う。
「うっせー。黙れ、ブス」
直接言うか言わないかは別にして、男子にとってウザい行動以外の何物でもなかっただろう。
そうして、小学校・中学校・高校と誰からもラブレターをもらうこともなく、告白されることもなく地味で暗めな学生時代を過ごしたのだった。
「そんなんやったら、絶対、結婚できへん」
「あんたはずっと独身やろな」
「結婚とか無理やろ」
家族や親戚、近所のおっちゃんおばちゃんズにも結婚は無理だと言われ続けた。
それでも、人並みに彼氏が欲しかった私は大学2年生の春。新緑の頃に、一念発起し、友人の紹介で知り合った年下の男性に自分から告白しお付き合いを始めた。が、半年後。浮気をされ、あっさり別れたのだった。
どーだ、まいったか。全然、羨ましくないだろう。
ところが、こんなモテない人生まっしぐらの私と結婚しようと言った奇特な男性が出てきたのである。
時は2007年、藤原紀香と陣内智則が結婚した年。27歳の時の出来事である。
モテない人生まっしぐらの私と結婚しようというとは……正に、人生何があるかわからないものである。
では、なぜモテない私と結婚しようと思ったのか?
夫の答えは拍子抜けするくらい、大したことない理由だった。
「一緒にごはんを食べるのが楽しかったから」
えっ、そんなこと? と、思ったよね?
この人となら幸せになれると確信したとか、私の性格・人柄に惚れたとか、顔とスタイルが好みだったとかetc……
結婚を決める理由は山ほどあるだろうに、まさかの「一緒にごはんを食べるのが楽しかったから」とは。
そんなに重要か?
「重要やで。前の彼女とごはん食べてても楽しくなかったもん」
えっ、そうなん?
「旅行もイヤやった」
あっ、そうなん? 旅行も重要なのね。
「重要、重要。タイムスケジュールに沿った行動とか、俺全然楽しくなかったし」
……ふーん、なるほど。
一緒にごはんを食べるのが楽しくて、旅行に一緒に行っても苦痛じゃなかったから結婚した、と。
つまり、一緒にごはんを食べたいと思う相手で旅行に一緒に行きたいと思う相手。
えっ、それって友達じゃない?
「あっ、後は俺、細い人と美人がダメなんだよね。綺麗だねって思うだけで、グッと来ないんだよね」
……ほほう。ナチュラルに私をディスっていますね?
「うーん。後はハッキリ思ってることを言ってくれるから気楽なトコかなぁ」
へー。つまり、夫が私と結婚した理由は3つ。
① 一緒にごはんを食べたり、旅行するのが楽しかった。
② ふくよかな女性が好きだった。
③ ハッキリ意見を言うところが気楽だった。
箇条書きにすると、本当に大した理由ではなかった。
なるほどね、結婚に大した理由は必要ないのだ。
そういえば、昔。父だけが唯一私は絶対に結婚できると言っていた。
「お前は絶対に結婚出来る。世の中に、絶対に1人はお前のことが好きで好きでたまらん男が出てくる」
なんの占い師やねん! と、当時はあまり本気にしていなかったが今なら解る気がする。好きで好きでという表現は大げさだが、人として相性が良い相手と言うのが1人はいるという意味だったのだろう。
良くも悪くも私は昔から自分を偽ることがなかった。相手や環境が変わっても自分は自分のままで過ごす傾向があった。だから、父は言ったのだろう。
自分が無理せず、一緒にいられる相手。それが、結婚相手なのだと思う。だからこそ、本当の自分を常に意識しさらけ出すことが結婚への第一歩なのだとう思う。
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