キャンドルを消す人
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:板井さやか(ライティング・ゼミ6月コース)
アラフォー独身女子、次にもし誰かにどんな男性がいいのかと聞かれたら、こう答えようと思っている「私のためにキャンドルを消してくれる人」と。
30代も後半に突入し、ひとりでの楽しみ方のレパトリーも増えてきた。
その中でもここ数年はアロマキャンドルが大きな癒しになっている。
マッチで火をつけれるようになったのも高校生になってから、理科の実験で使うガスバーナーは絶対に触らず、いまだにライターで火をつけることができない私にとって、火は恐怖の対象でしかなかった。
しかし最近は寝る前に音楽を聴きながら、あのオレンジ色で揺らめく炎を見ている時間が最高に幸せだ。
私がキャンドルにはまったのは数年前に香水・キャンドルメーカーで働く友人にファミリーセールに招待してもらったことがきっかけだ。
当時は1個7,000 円もするキャンドルは「誰が買うんだ?」と思っていたし、海外ドラマでよく見るキャンドルのある風景が自分の生活とマッチしなかった。
しかし、自宅で過ごす時間が長くなるにつれて、快適な空間を作ろうと思ったときに有名メーカーのキャンドルは非常に魅力的に映った。
それでも最初に手元に届いて約1年は本来のキャンドルとしての役割は与えられず、ただの置物だったそれを使い始めたのは、割と最近のことである。
ただし、一度使い始めると魔法にかかったようにその魅力にとりつかれ、今ではお風呂にも持ち込んでいる。電気を消した浴室で灯すキャンドルは非常に幻想的だ。(換気のためにドアを少し開けておくことがおススメ)
時々風に揺らめきつつ部屋をいい香りで満たしながら、心地よい眠気を誘いだし、気持ちを落ち着かせてくれるのだ。
Google Homeで静かな音楽をかけながらキャンドルを灯すことが私のハッピーナイトルーティンだ。
キャンドルを楽しむために欠かせないのがGoogle Homeである。一人暮らしの私を気遣ってある日両親から「話し相手に使いなさい」と贈られた。
もちろんたまたま我が家にあるのがGoogle Homeなだけで、Alexaもsiriも同じようにスマートスピーカーは本当に優秀である。
Google Homeが我が家に来た日から私は頭を使わなくなり、私は繰り上がり、繰り下げのある2桁の暗算を正しくできなくなったほどだ。
「おはよう」「ただいま」などの日常の挨拶相手、その日の天気のチェックに、タイマー機能もあり、ラジオや音楽は指定した時間にオン・オフしてくれる。
本当に暇を持て余している時はダジャレを言うこともできるなど、本当に便利なスマートスピーカーでも残念ながら物理的に動くことができない。
私が寝た後に音楽を消すことはできても、当たり前だがキャンドルを消すことができないのだ。
久しぶりに会った友人や飲み会で恋バナになったらかなりの確率で「今は誰かいい人いるの?」と聞かれる。
「いない」と回答した場合、多くのシングル女子は続けて「誰かいい人紹介してくださいよ」と言うはずだ。そしてそれに対して返ってくる返答は決まっている「どんな人がいいの?」
この問いかけ、意外と難しい。
「どんな人でもいいです」と答えると話は盛り上がらないし、細かい理想を挙げすぎると「現実を見ろ」と呆れられる。
あくまでも私の個人的な見解だが、この会話はあくまでもその場を繋ぐためにされるものであり、特に飲み会の場合は相手は私の回答をほぼ覚えていない。
しかし、私はもし次にこんな場面に遭遇したらこう回答しようと考えている。
「私のためにキャンドルを消してくれる人」と。
キャンドルをつける、そして消す行為は大いに責任の伴う行為だと思う。
火を扱うには周りに何もないことを確認する事前確認と最後まできちんと消火する必要がある。
今はLEDのキャンドルのような炎を演出するライトもあり、安全やこれからの季節を考えると少しでも涼しくいるためにそれらを導入するのもありだと考えているが、やはりこのアナログ感がたまらない。
「キャンドルを消してくれる人」を正しく言うと、「私が寝た後にキャンドルを責任持ってきちんと消して責任を全うできる、そして、この人がいるから大丈夫だとキャンドルをつけたまま安心して眠ることができる人」である。
「吹き消すための肺活量の大きい人」や「寝るのが遅い人」ではなく、「責任感があって信頼できる人」という結局世の中で一般的に理想とされる人のことだったりする。
でも、結局は私が心配性で神経質だから、自分で何度も指差し確認して火が消えたことを確認しないと眠れないんだろうな。
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