左脳を殺せ!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:佐藤 透(ライティング・ライブ東京会場)
30年くらい前に油絵の教室に通い始めた。
当時の自宅近く、駅前の書店には何故か絵画技法の書籍がたくさん並んでいて、教室で絵を描きながら、本で技法を学び、知ることがとてもおもしろかった。既に社会人になって10年が経過していて美大を受験するわけでもない。教室では似通った年齢から会社をリタイアしたような方々まで多彩だった。技法よりもただ絵を描くことを楽しむ雰囲気が強かったが上手に描きたかった。それは、他の参加者の皆さんも同じだったと思う。
本を見て、いろいろ試しながら自分流にいい加減に絵を描いていたのだが、読んだ本の中に面白いものがあった。
右脳で考えるというものだ。
後年、その書籍がビジネス書としても紹介されていたのをみたので、定評のあるものだったと思うが、そのときに読んだことが、左脳は、物事を「考えて」しまいありのままを見ることができない。そして、右脳は左脳に対して遠慮するので、普通にしていると左脳でものを考えてしまい上手に絵が描けないというのだ。だから、あえて右脳で考えることができる状態にしなければいけないというものだった。
例えとして、背もたれのある椅子を描いたもの、子供が描いた絵がいくつか紹介されていたと思うが、普通に描いた椅子は、丁寧であり、細部が上手に描かれているものもあったが、どれもどう見ても座ることができないのだ。座面がこちらに向かって立ち上がっていて、すべり台のように滑り落ちてしまいそうだ。理由として、座面が四角い正方形状のものだと「知っている」ので、どのように見えるかとは関係なく「知っている」形に描いてしまうのだという。
次に、椅子を逆さまにして、それを見て描かせたものが紹介されている。逆さに描いたものを上下回転させて通常の向きに直した絵がいくつか載っていた。絵としては全くへたなものもあったが、どれも座面から滑り落ちることはない。れっきとした座れる椅子がそこに描かれている。むしろ、上手に描いたといえるものになっていた。
秘密はこうだ。奥ゆかしい右脳は左脳が自分ではだめだと思ったときに前に出てくることができるらしい。だから、椅子を逆さまにすると、左脳が知らないものがそこにあるわけで正方形に近い形であるはずの座面も想像できない。そこで、右脳が登場して見える通りに絵を描けるということになる。
右脳は意味ではなく形を捉えるのだ。
私は、簡単な足し算が苦手なところがある。まず、数字を間違う。例えば、4496という数字があったとする。これを4469と読んでしまう。同じようなクセを持っている人はいないだろうか。数字の読み間違いはとても不便な悪いクセだ。来月のクレジットカードの引き落とし額を電卓で計算しようとすると何回やっても同じ答えにたどり着かないのだ。これは致命的である。検算にすらならないからだ。
そこで、最近始めたことが、右脳を活用し、写真のように見たそのままを脳に保存し、それをノートや電卓に転記するという方法だ。なかなか完璧にできてはいないが少しずつできるようになってきた。このときに気づくのは、4496と写真のように頭に映すのと同時に口には出さなくても4469と黙読しているのだ。黙読とはいえ、数字を音で記憶している。写真でイメージしながら同時に違う数字がインプットされてしまう。
こうしたときは、写真の方が常に正しい。今の課題は、どうにかして黙読しないようにすることだ。
写真に写ったものは単なる形で意味がないため、右脳の出番であり、左脳のクセに影響されないのだろう。
右脳は、左脳が苦手なことができるだけでなない。
先日、右脳でリーディングするという速読法を教えているという人と話をする機会があった。私の自慢話の一つにボールが遅く見えるというのがあるが、その話をしたら、それは右脳の成果ではないかと指摘してくれたのだ。
こういうことだ。
既に50歳を過ぎたあるサッカーの試合でのことだ、シュートがゴールキーパーをしている私の左方向に飛んできた。だが、ボールがディフェンダーに当たって逆の右方向にとんだのを体を切り替えしてセービングし、彈き出したのだ。この試合はベンチで録画しており、その夜の飲み会で再生することになっていた。私は、この体験を自慢しようと映像を注視していた。
「ボールが左側に飛んできたでしょ。それが右側にはねたので、それに合わせて踏み込んだ体重をもどして、ギリギリ手を届かせたんだ!」そうメンバーに言いたかった。
だが、それはできなかった。
よく撮れていなかった訳では無い。むしろ、しっかりと映っていた。だが、それは、打つ、弾くくらいの時間、「パンパン」といったほんの一瞬の出来事だった。
自分が感じた時間とは全然違うスピードだった。説明のしようがなかった。
今でも同じようなことが起きている。そんな自慢話を、右脳のおかげではないかとそのリーディングの先生から指摘されたのだ。
右脳を使うともっと何かができそうな気がする。
このお陰で、もうすぐ60歳になろうとしている自分がまだまだ成長できると実感できる。人生100年時代だというが、単に長生きするということではなく、自分に可能性があると思えることは本当に幸せだと思う。
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