メディアグランプリ

猫にサプリ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木 千弥(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「足が、変な方向に曲がっている!!」
朝一番、部屋中に私の悲鳴が響き渡った。
 
曲がっているのは私の足ではない。猫のパン君の右の後ろ足である。彼は不自然な方向に向いた足を引きずって、ひょこひょこ歩いていた。
おかしいな、昨夜見た時は何でもなかったのに。今朝見たら曲がっているとうことは、夜中にどこかから落ちて怪我をしたのだろうか。
猫なのに高いところから落ちて、怪我をする……。一般の常識から考えたらありえないことだと思うが、ありえるのだ。
私の実家は1階の玄関から2階に吹き抜けになっているため、2階の手すりから玄関床まで約5mの空間があるのだが、実家の猫全てが2階の手すりから落ちている。そして4匹中2匹が後ろ足を骨折しているのだ。
我が家にはそのような吹き抜けはない。ただ懸念点としては、パン君が高齢だということだ。現在15歳。人間の年齢に換算すると、76歳になる。
低い場所から降りた時でも場合によっては足に怪我をすることもあるかもしれない。少し様子を見ていると、パン君の足の向きは朝一番の状態から正常な向きに戻りつつあり、歩き方もだいぶ良くなってきたが、やはり心配だったため、病院に連れていくことにした。
在宅勤務なので、昼休みの時間に接続する時間有給休暇を取得し、動物病院へ向かう。パン君は猫用の移動バッグに入ってもらい、バッグをベビーカーに装着。出発した。
パン君は体重5㎏を超えている。彼を背負って少し遠くの掛かり付け動物病院に行くのは大変なため、最近子供が使わなくなったベビーカーが大活躍する。安易に捨てなくてよかった、ベビーカー。
 
動物病院に着くと、空いていたのですぐに呼ばれる。
先生は私からパン君の状況を聞くと、まずパン君の体重を計った。そして一言。
「太ったねぇ」
カルテを覗くと、5.4㎏と記載があった。2年程前の記録では4.6㎏となっていたが、間に何度か行った健診でも順調に体重が増えてきている記録が残っている。
次に先生はパン君の両後ろ足をギュッとつかみ、伸ばして縮めてを繰り返した。そして床に降ろして、歩かせてみる。
パン君はそろそろと歩き始めたが、びっこは引いていない。
先生の前で気合を見せてしまったのか。
「いや、朝は足を引きずって歩いていたのですが。嘘ではないです」
そんな私に先生は苦笑しながら言った。
「関節の動きが悪いねぇ。関節炎かもしれない。だから痛くてびっこを引いていたのかもしれないね」
 
関節炎!
 
私の頭の中に、某CMソングが流れる。初老の男女が膝に手を当ててグルグル回している、関節に効くと言うサプリのものだ。
 
猫も歳を取ると関節にくるのか。
「体重も、もう少し軽くしないと、関節に負担がかかるよね。この4.6㎏くらいの時には体調が良かったみたいだから、この体重を目指した方がいいかもね」
帰りたくて情けなそうな鳴き声を上げるパン君に、私は宣言した。
「はい、パン君、ダイエット決定です」
 
その後先生は、小さい箱とチラシを出してきた。
「これ、猫用の関節に効くサプリです。このチラシにあるように、関節に効いたり、毛並みが良くなったりするので、飲んで見たらどうかと」
私の頭の中に、再度、某CMの曲が流れた。
サプリは貝から抽出された100%天然の原料で作られており、EPA
やDHAなどのオメガ-3脂肪酸を含む91種類にも及ぶ脂肪酸の集合体で出来ているとのことで、関節、皮膚、被毛、心血管、腎臓、などに効くらしい。
オレンジ色の5㎜くらいの大きさのカプセルを1日2回、症状が落ち着いてきたら1日1回飲ませるとのことだった。
うーん、成分が人間のサプリでよく聞くものだ。同じ哺乳類だしなあ。
少し考えたが、病院で出されるものだし、購入を決めた。猫は痛くても、人間語で訴えては来てくれない。せいぜいうずくまって動かなくなる位だと言う。体重を減らして関節への負担を減らしつつ、このサプリで円滑な関節の動きを補助できるのであれば、何よりだ。
 
その後、前回受けたパン君の血液検査の結果を聞く。膵臓の値だけが基準をオーバーしているらしく、他の数値は正常とのことだった。
膵臓ねぇ……。ここ3年程、血液検査を年1回するようになったが、数値が引っかかったのは今回が初めてだった。
猫に多い腎臓病ではないのでホッとしたが、食欲不振や吐き戻しが多くなければ、年1回の血液検査で経過観察すればよいらしい。今ところ、パン君は食欲があるし、毛玉を吐く以外はあまり吐かない。そのため年1回の血液検査と日々の観察を続けることを、私は改めて決意した。
 
パン君が関節炎になったように、他に高齢の猫によく見られる病気としては、腎臓や内分泌(ホルモン)の病気、腫瘍などがある。いっぱしに人間と同じ病気のリスクがあるのだ。
犬も高齢になると心臓、肝臓、腎臓の病気などが出てくる。
また実家の犬がそうだったのだが、痴呆症状が出て夜中に鳴くようになり、最後は寝たきりになって介護状態になることもある。
病気は動物が長生きするようになった結果なのかもしれないが、だからこそ私達人間が、しゃべれない彼らの為にも、日々観察し、予防できることがあればできる範囲で行い、定期的に健診をしていくべきなのではないだろうか。
 
私は今回の事で、実は目を背けていたパン君の年齢に向き合う事になった。当たり前に側にいる存在の老いというのは寂しいものだが、サプリでも何でも、できる限り対策をして、少しでも長く元気な時間を一緒に過ごしていきたいと思った。
 
会計時、パン君のサプリが15日分で3,000円ということで驚きつつ、クレジットカードで支払い、私は動物病院を出た。
大事なパン君のためにも、しっかり稼がねばならない。
ベビーカーにパン君を乗せ、私は仕事に戻っていった。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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