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人生の〇〇ガチャを楽しめたら、無敵になれる気がする


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田盛稚佳子(ライティング・ゼミNEO)
 
 
「先生ガチャ」という言葉をご存知だろうか。
最近、中学生の間で使われていることを、先日ある新聞で目にした。
生徒は学校の先生を選べないことを、ゲームセンターなどにある、百円玉を何枚か入れてガチャガチャとレバーを回してカプセルトイが出てくる、あの遊具に例えた言葉だそうだ。
6種類あるものの中で、どれが出てくるのかわからない。
「これが欲しい!」と思っても、違うものが出てきてしまい「あぁ、これじゃないんだよ!」と悔しがった経験があるのは、私だけではないはずである。
 
その先生がアタリなのかハズレなのか、運次第と言われるようだが、個人的にはなかなか辛辣な言葉だと思っている。
というのも、私たちがまだ中学生だった頃は、学校の先生というのはまだ「怖い」とか「尊敬」の対象である方が多かった。もちろん、担任の先生は選ぶことは今も昔もできないのだが、それは当たり前のことだと思っていたし、ハズレを理由に勉強しないとかいう選択肢は考えたこともなかったのである。
人や周りのせいにするのは簡単だ。しかしそれは、残念ながら根本的な解決方法にはならない。
 
当時は今のようにインターネットやスマホが発達していなかったからこそ、先入観や余計な情報を耳に入れることなく、その先生と対峙することができた。宿題を忘れた時には叩かれたりすることもあったが、誰のせいでもなく自分が悪いのだから仕方ないと思い知らされるという意味では、いい時代だった。
部活の顧問の先生も楽しんでいるように見えた。疲弊した姿も見たことはなく、部活の帰りに自宅近くまで皆が車で送ってもらったことも数えきれないほどある。その日嫌なことがあっても帰りは笑顔でサヨナラする、そんな先生だった。
ハズレだと思っても、楽しめる術を先生からダイレクトに教えてもらったと私は思っている。
 
「先生ガチャ」で右往左往しているようでは、大人になってからは大変だろう。
なぜなら、仮に大学に入ったとして就職活動を始めると、「採用担当ガチャ」にぶち当たる。
会社としては、できるだけ採用を失敗したくない、入社して数年で辞められてはそれまでに一人採用するのに数百万かかった費用のモトを取れないうえ、採用担当としての評価が下がる。
だから、そこそこ会社を上手いこと語り、多少の圧迫面接をしてもストレス耐性のありそうな学生を採用する。
「採用担当ガチャ」でハズレを引いた新入社員は、入社してみてから「こんなはずじゃなかった」とか「まずい、この会社では自分の未来を描けない」と落胆してしまうのである。
もし、アタリのガチャを引いたとしても、所属する部署によって変わることもあるだろう。
一般的に「大手企業」と言われている会社でもその内情は様々である。
いまだに学歴による「学閥」なるものは存在するし、毎年のようにハラスメント教育をやっても、改善しない企業も多いと聞く。
だから正社員であろうと、派遣社員であろうと社内の人間は選べないのが実情である。
なぜなら、「上司ガチャ」、「同僚ガチャ」、「部下ガチャ」など中学時代に比べて、社会人のほうがはるかに多くのガチャが存在するのである。しかも、その種類はカプセルトイのように6種類とかなんてもんじゃない。一機種に全種類違うトイが入っているとも考えられる。
百円玉数枚で「はい、アタリ!」と解決できるような問題だったらどんなにいいか。全部、ハズレと言う可能性もゼロではないということだ。
それでは、その「ガチャ」に右往左往されないためには、一体どうしたらいいのか。
まず、「うん、私にはこれか。このトイもありだな」とその状況を受け入れてみることだ。
次に、このカプセルトイを使って自分がどうやって楽しめるかを考えてみるのだ。
あまり乗り気でなかったものでも、与えられた中に何かしらの面白さを見出し、とことん掘り下げて、楽しみを見つけてみてはどうだろう? 人間、本気で探すと意外と身近なところから面白さが見つかるかもしれない。
 
私自身、ある派遣先で「上司ガチャ」でハズレだと思うトイを手にしたことがある。
当時の直属の上司は常に仏頂面で、出勤時に挨拶しても、聞こえていないのか不明だがパソコンの画面を睨むように見つめ、顔も見てくれない人だった。
話しかけるなオーラ全開である。こ、こわい……。
しかし、この上司の決裁をもらわないと、支店の経費処理を本社に進めることができない。
さらに一週間の半分は出張で不在するのが多い上司だった。
初めは「うそやん、どうしよう? この人に面白いところとか見つけられると思う!?」
と暗澹なる気持ちになったものだ。
しかし、何度か失敗を繰り返す中で、自分の気持ちに徐々に変化が現れた。
「仏頂面ということは、ヒステリックな人と違い、気分の波が乱高下しない人ということだ。では、早めの段取りをして上司がポンッと印鑑だけ押す状態までに持って行っておけば、上手くいくのでは?」
早速、次の日から上司のスケジュールをチェックして、空き時間をメモし、その1日前倒しで経理書類が仕上がるよう、早めに協力してほしい旨を支店関係者に依頼した。しかし、初めは面倒だと批判の声も上がった。でも私は怯まなかった。
「お客さんとの信用問題でもあり、皆さんの経費処理にも関係しています!」
自分の経費となると、皆がにわかに協力してくれるようになった。
そして、上司が帰社する前にすべての書類をきっちり揃えて、チェックが必要な箇所にはブルーの矢印付箋を、押印が必要な箇所にはピンクの付箋を付けて、決裁箱に置いた。
すると……、外出から帰ってきた上司がさらっとその書類に目を通し、少しだけ表情を緩めてポンッと印鑑を押してくれたのだ。
「ありがとうございます!」と礼を述べると、「よろしくね」と言ってくれたではないか。
うわわ、ちゃんと話せたよ! しかも、ちょっと口元笑ってなかった? ね、ね、絶対笑ってたよね? と私の頭の中で二人の私がきゃあきゃあと学生のようにはしゃいでいた。
 
「ガチャ」にハズレなんてない。そう思うのは一時的な感情であり、そこから広げて楽しめていける人が、次に引いたガチャ(それが上司か同僚か、部下であっても)も、上手く遊びこなせるのではないかと思っている。
たしかに、運次第かもしれないが、出会うべくして出会った人同士が仕事をする。それが会社なんだもの。せっかく働くなら楽しいことを探す術は身につけたい。こんな時代だからこそ。
 
 
 
 
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2022-07-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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