メディアグランプリ

シンギュラリティが起きたとき、「彼を好き」と「私は」思えるのだろうか。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:草間咲穂(ライティングゼミNEO)

その日、ソファーに二人でくっつきながら座って、
「何を見ようかー」とアマゾンプライムをポチポチしていた。

「そう言えば、”サイコパス”っていうアニメ知ってる?」

そう聞かれて、「うーん、どうだったかな」
と答えたものの、実際はちらっと耳にしたことはあった。

「見てみようか」と軽い気持ちで見始めたそのアニメは、
私にとって相当なインパクトだった。

アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』は”シンギュラリティ”が起こると予測されている2045年よりもさらに未来の2112年が舞台だ。

”シンギュラリティ”とは、人工知能(AI)が人間を支配し、人間の生活に大きな変化がもたらされる概念のことを言うらしい。

サイコパスの世界、2112年には人間のあらゆる心理状態や性格を数値化する”シビュラシステム”というものが導入され、人々はそのシビュラシステムに従い生きている。

そして人々は、AIによってはじき出され、あらかじめ設定された「理想の人生」に忠実に従うようように生きていて、人間の心理状態はすべて数値化され常に管理されているのだ。

犯罪に関する数値は「犯罪係数」と呼ばれていて、
罪を犯しているかいないかに関わらず「犯罪係数」が高い人間は隔離される。
またセラピーに行くことを義務付けられる。

そして街中には監視カメラの様なスキャナーが至る所に設置されて、
日本中すべての人々は管理され、数値を計測され続けている。

そしてそのようなAIに頼りきった監視社会で、
犯罪係数が高い人が犯罪を犯さないよう未然に防ぐ為、公安局の刑事課の人たちは治安を維持している、という世界だ。

主人公は公安局に勤める”監視官”、常守朱(つねもりあかね)。
”監視官”は犯罪係数の高い者をこの世から排除する役割を持つ”執行官”を率いて事件を解決する、2112年の社会に置いて最も上位に属する役割を持つ。

アニメの大枠のストーリーは、
この主人公が、誰もが当たり前にAIに頼り切った監視社会を維持するシステムに疑問を持ち、
次第にその全貌を暴こうとシステムの根幹に迫りながら、自分自身の意志を感じる心、
それに反して意志を持たず、ただ決まった事を遂行して日々を過ごす大多数へ抱く葛藤する姿を描いている。

1話1話と見進めていた時、思わす飛び込んできた言葉があった。
思わす「あっ」と声を上げた。

”パノプティコン”

大学の時に教育の歴史の授業で聞いた言葉だった。

「パノプティコン」は、イギリスの功利主義者ジェレミ・ベンサムが打ち立てた、全展望囚人監視システムの事をいう。

パンプティコンは刑務所のことだ。
建物中央に監視用の塔があり、その塔を囲むように独房が並んでいる。

監視塔からは360度見渡せ、つねに囚人を監視することができる。独房は各部屋に仕切られているため互いの顔は見えない。監視塔で効率良く大勢を管理できるという仕組みだ。

パノプティコンは街中に監視カメラがある現在の私たちの生活ともよく比較される。
「監視の目」は、プライバシーの問題を含んでいるけれど、
実際に監視カメラが犯罪を未然に防いでいるという事実もある。

アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界では、街頭のスキャナーにより、顔認証が行われ、常に個人が特定される。

さらに精神状態の表層的な部分を視覚化した「色相」の色を判別し、
それが「犯罪係数」を割り出しに使われる。

2112年のこの世界で、なぜ完全な「監視の目」が可能かといえば、それは「シビュラシステム」が社会を完全に管理しているからだ。

つねに“誰か“に管理されていることを人々が受け入れ、
それが当たり前となるとプライバシーは問題にならない。

管理・管理されることに人々は幸福を感じているのだ。
一見秩序ある社会で、人々の意志は、どこにあるのだろうか。

「シビュラシステム」は社会インフラを管理するだけではなく、
人間一人ひとりを管理してしまうのだ。

人々は、シビュラシステムが編み出すスコアにより、適性の職業が推薦され、安定した生活を手に入れることができる。食べ物、洋服など、あらゆる選択に提案がある。

誰を好きになるか、
誰と一緒にいるか、
誰と結婚するか。

それさえも、提案があり、その提案に乗ることで人々は幸福を感じる世界。

“ひょっとしたら人工知能(AI)が人間を支配する日がくるのではないか”

薄々とそんな世界が来るかもしれないし、
「AIが人間の職業を奪う」というコピーもよく目にするようになった。

でも、そんな世界になった時に、単に「職業が奪われる」だけではない。
「私は今自分で考えている」と思っていることや、
「今こうやって自分の感情を自分で認識している」と思っていること、
はどう変わってしまうのだろうか?

今こうしてくっいている居心地の良さ、
隣にいてくれる事を幸せと思う気持ち、
それは「自分が選択しているから」と思っているのは、「今」だからなのか?

隣にいる彼の手を思わず握って、「彼を好き」と「私は」今確かに感じている。
それは何者でもない、自分の選択によるものだ、と言い聞かせた。

***

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2022-07-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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