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人生は死んだ後も続くとしたら、私は彼を好きと思えるだろうか。

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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:草間咲穂(ライティング・ゼミNEO)
 
 
今日も私たちはまたいつもの様にソファーに座って、
「何を見ようかね」と物色しながらアマプラをポチポチとしていた。
 
 
私はこの時間が好きだ。
それは一人で選ぶと絶対に選ばない作品に出会い、
そして大抵、彼の意図せず、色々なことを感じるきっかけになるからだ。
 
今回たまたま「おっ、これ面白うそうじゃない?」と言われて見始めたドラマは、
 
隣にいる彼を「愛している」という気持ちは、
それが永遠ではないと思うからこそ感じることなのだろうか、
 
そんな事を思わず考えてしまった作品だった。
 
『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』は
Amazonプライムオリジナル海外ドラマとして2020年5月に公開された作品で、
今シーズン2が公開中だ。
 
 
2033年の近未来、仮想空間へ魂を「アップロード」することで永遠の命を手に入れることが可能になったアメリカが舞台だ。
 
「アップロード」とは本体(身体)から意識(魂)を引き離し、意識だけを仮想空間に飛ばすこと。
 
仮想空間では意識はアバターの中に入りこむことができ、
現実世界で生きている人間となんの遜色ない見た目で生活することが可能になる、という世界だ。
 
アップロードは生きている時にのみ行うことが可能で、
アップロードが始まった時代にはすでに死んでいた人、突然死んでしまった人などはアップロードはできない。
だから生きている時に「アップロードをするかしないか」の選択が迫られ、「する」と選択した人のみがアップロードすることができるようになっている。
 
 
 
死後、アップロードされた後は仮想空間で意識がそのまま継続され、アバターとして永遠に生き続けることができる。
 
 
仮想空間は提供する会社が数多に存在し、
その中からサービスや金額を考慮して自分のアップロード先を決定する。
 
同じ仮想空間にアップロードされた者同士であれば一緒に暮らして会話することができ、
本作で描かれる仮想空間“レイクビュー”は、その中でもサービス・金額共にトップクラスに位置するホライズン社が提供する人気の高級仮想空間。
 
レイクビューのアップローダーたちは高級ホテルのような住まいで絶景に囲まれて暮らし、レイクビューにはこの世のすべての娯楽が揃っている世界で、今度は二度と訪れることのない「死」のない世界で永遠に生き続けるのだ。
 
 
日々の生活にはひとりひとりに“エンジェル”と呼ばれる現実世界のコンシェルジュがつき、
現実世界の「Hey,Siri!」のように「エンジェル!」と呼べば、「何か御用ですか?」と、
アバターでレイクビューの世界に現れ、生活に不備や不満がないかを常に気にしてくれる。
 
また現実世界との電話でのやり取りも自由にでき、
だから愛する家族や友人といつでも好きな時に会うことができてしまう。
 
自由に好きなことをして永遠に暮らせるのです。
永遠に。
永遠にだ……
 
 
将来デジタル技術によって命の定義が変わる可能性もある。
もし人生は死んだ後も続くとしたら、私はどのように今を生きるだろうか。
 
 
以前、自殺幇助の記事を読んだことがある。
一番最初に国が正式に医療機関が自殺幇助をすることを認めた国はスイス。
 
まだ意識あるうちに、痛みで苦し差を感じる前に、自ら穏やかな死を選びたい。
そう思う人たちが、医療の力を借りる事をスイスが認めたのは、40年前の1982年。
そこから様々な議論を繰り返しながらも、今もその制度は消えることなく継続され、
専門機関が今も増え続けている。
そして、自殺幇助を認めていない海外からも受け入れているという。
 
ただ病気になった人だけを受け入れているのではない。
要望として増えていること、それは、
「夫婦ともに、お互いを愛していいると思う意識のあるうちに、共に死にたい」
ということだという。
 
 
私はこの記事を読んだときに、要望の増えている気持ちが少し分かったように思った。
 
 
なんとなく、私たちには分かっていることがある。
それは、いつかは死ぬと言うこと、
そしてその時を多分自分ではコントロールできないということ。
 
 
だからこそ、死の恐怖と私たち人類はこれまでずっと向き合い、
克服しようとしてきた歴史があることもなんとなく知っている。
 
 
ただその代替として、
今生きていることを大切に思う気持ちや、
今誰かが一緒にいてくれる事への感謝の気持ち、
誰かを好きになり、愛するという感情を得たのではないか。
 
そう思っていた。
 
 
将来デジタル技術によって命の定義が変わる可能性がある、
『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』は
そんな事を常に深遠な問いを私たちに投げかけながら、
それでもポップに進んでいくストーリー。
 
 
隣で「面白いね!」と笑う彼。
その隣で考える私。
 
そんな私たちの「違い」こそ「面白い」。
 
「だから好きなのだ」と感じているのは、
この今が「永遠ではないからだ」とどこかで思っているからなのか?
 
そんなぐるぐるとした事を巡らせながら、
同時にこんな時間が幸せだと思えることが、とてつもなく贅沢に思えた。
 
 
 
 
***
 
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2022-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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