メディアグランプリ

ウン●マーケティング


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:島田 弘(ライティング・ゼミNEO)
 
 
神社をお参りするのが好きな私。毎月、朔日参り(ついたちまいり)をしている。
そして、毎年のように、お伊勢参りもしている。それも、特別な回り方を教えていただき、レンタカーを借りて1泊2日で。
さらに、出張や旅行でいろいろなところへ行くと、出来る限り近くの神社にお参りをしている私。
 
神社といえば、階段を上って本殿があるというのが普通だと思う。ところが、私がこれまでにお参りした神社の中で唯一、階段を降りたところに本殿があった神社がある。「下り宮」なのだ。全国的にも珍しい。
 
しかも、海に面した洞窟の中にある。そこを初めて訪れたのは、13年前、2009年のことだ。妻の実家のある宮崎県に、ご挨拶に行ったときのこと。ご実家に寄る前に神社に立ち寄ったのだが、その神社がこの下り宮で、洞窟の中にある鵜戸神宮(うどじんぐう)である。
 
この鵜戸神宮は、「運玉」というもので、とても有名な神社である。「運玉」とは、粘土に「運」と刻印をし、それを素焼きにしたもので、直径2センチ位。
お参りをして洞窟を出てきた目の前の海を見下ろしたところに「亀石」というものがあり、この亀石のくぼみに向けて、この「運玉」を投げ入れる。くぼみは50センチ四方の大きさ。そのくぼみに見ごと入れば、願いが叶うという言い伝えがある。
 
この運玉、昭和20年代後半までは、参拝者が「お金」を投げ入れる風習だったそうである。なぜ運玉に変わったのか。それは、近くにある小学校の生徒が、決まって月曜日に遅刻をしたことがキッカケとなったそうだ。前日の日曜日に、参拝した人たちが投げたお賽銭を、月曜日の早朝に子どもたちが取りに行ったことによって遅刻。当時の宮司さんと、小学校の関係者が話し合った結果、「運玉」を作ったそうである。そしてこの運玉を、小学生が作り、神社に収め、神社は、子供のための修学旅行の費用などとして支払いをしたそうだ。
 
この運玉。男は左手で、女は右手で投げる。私はこれまでに2度訪れ、2度とも成功している。
 
先日、妻のおばあちゃんの100歳の誕生日祝いのために帰省した際に、妻と息子の3人で鵜戸神宮を訪れた。
 
お参りをした後、3人で運玉を購入した。
6歳の息子は、左手で投げるにはちょっと距離があったので右手で。なんと、5個のうち2つがくぼみの中に吸い込まれていった。
次に妻が投げた。
なんと妻も、5個のうち2つがくぼみの中に入った。息子と妻の視線が私に向けられている。なんだろう、この嫌な感じは。
 
最後の私。ルール通りに左手で。一投目は大きく左にそれてしまった。二投目、くぼみに近いところではずんで、海の中へ消えた。三投目もくぼみの近くでバウンドして海の中へ。
4投目も5投目も、くぼみの近くだったけれど……
 
結局私は1つも入らなかった。
 
50人が投げるのを観察してみたのだが、入った人は妻と息子以外に2人だけ。そして、入ったのは、それぞれ1個ずつであった。
 
ビジネス的な視点でいろんなことを見るのが好きな私。前回訪れたときにはここで100円だったものが、ここで200円なっていたのが気になったのと共に、
運玉ってどのくらい作られているのか、その場で調べてみた。
 
地元の新聞によると、1回に7万5000個。それを年間に5回くらい。つまり、37万5000個だ。売上を考えると、たかが粘土、されど粘土。
 
その運玉をどのぐらいの割合の人が購入するのかを見ていると、少なくとも私が観測をしていた30分の間に訪れた大人は、ほぼ全員が運玉を購入していた。
お守りやおみくじの購入割合と比較すると、驚異的な数字だ。すごい売れ行きである。マーケティング的には大成功。
大成功の理由は、「入れば願いが叶う」というストーリーと、運玉が入るか、入らないかを自分で試すことができること、そのゲーム性だと思った。
入ったか、入らなかったかは明らかで、しかもそれは自分が投げた結果。因果関係がハッキリしている。
さらに驚いたことには、誰かが投げて、くぼみの中に入った運玉を、1個300円で、お守りとして販売しているのだ。
売られている運玉は、投げ入れるときにも売上をつくり、さらにお守りとして売上を作る。1粒で2度美味しい、なんとも素晴らしいビジネスモデルではないか。
ウン玉マーケティング、恐るべし。
 
ただ、もし私が鵜戸神宮のコンサルタントだったとしたら、1つ提案してみたいことがある。それは、誰か知らない人が投げ入れた運玉をお守りとして300円で買うよりも、自分が投げ入れることができたその運玉を、1000円や2000円で購入したい人の方がはるかに多いのではないかなと思うのだ。私は、自分が投げ入れた運玉が欲しい。今回は入らなかったけど。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:10:00~20:00
TEL:029-897-3325



2022-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事