メディアグランプリ

F1レースに軽トラが出場していた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小川大輔(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「うーん」
「うーーーーん……」
 
僕は今トイレにいるわけではない。考えているのだ。
周りは流線型のフォルムに力強い前進力、高性能エンジンを搭載したF1マシンばかり。その中に1台だけ、ボロボロの軽トラが混じっている。他のF1マシンには「TOYOT○」とか「HON○A」とか、かっこいいロゴが入っているのに、その軽トラにはかすれた文字で「OGAWA」と書いてある。ドライバーはフルフェイスヘルメットの代わりに「安全第一」と書かれた工事用ヘルメットを装着し、手には軍手をしたおっさんだ。
ここは天狼院書店メディアグランプリ。猛者たちがひしめくレース会場である。
 
天狼院書店のライティング・ゼミに今年の4月から参加させてもらい、つい先日、最後の講義を終えた。
ライティング・ゼミに参加すると自分の記事を投稿することができ、スタッフの方の審査(予選)を通ったものはホームページへ掲載される。予選を通過した記事はホームページ上でアクセス数を競い、毎週順位が発表される。これが天狼院書店メディアグランプリだ。一言で言えば、記事のF1レースである。根性のない僕だが、毎週月曜締切の課題は毎回提出し続け、幸運にも何度か予選を通過することができた。ホームページに掲載されるだけでも十分嬉しいし満足感がある。なぜならコンテンツ(読み手が時間やお金を費やしてもいいと思えるもの)として成立していなければ掲載はされないからだ。
 
しかしである。
人間とは欲深いものなのか、向上心の表れなのかわからないが、最初は思いもしなかったのに今度は「できれば順位に入りたい」と無謀極まりないことを思うようになってきた。このメディアグランプリのシステムとして、1位~10位までは題名付きで発表される。神々しささえ感じてしまう。
毎週順位は25位~40位くらいまで計測されるのだが、僕は40位にすら入ったことがない。そう、僕の記事の順位は計測不能なほど低いのである。全然アクセスされていないのである。もっと突き詰めれば興味を持たれていないのだ。自分の記事が運よく掲載されるたびに「仕方ないよな」と諦観する一方でちょっと落胆している自分がいる。宝くじを1枚だけ買って、外れるとわかっているのにもかかわらず「もしかしたら3億円あたるかも」とどこかで思ってしまうような感覚だ。「今回はトップ10に……」と淡い期待を抱いてしまう。上位に入る記事は強烈なスポットライトが当たっているかのように眩しい。
「なんでかなあ……」
もちろん自分の文章が稚拙なのは自分が一番よくわかっている。
でも、ある時は僕の記事の隣に掲載されていた記事が4位になっていたり、同じ4月にライティング・ゼミを始めた人が1位をとっていたり、僕と同じ店舗で一緒に受講している人が2位や5位に入っていたり。こんな出来事が起こるたびに「おれって一体……。ポワーン」という、ちびまる子ちゃんに出てくるセリフと効果音が頭の中に響くのだ。
 
参考に上位の記事を読んでみる。当たり前だが面白い。上手い。どうやったらこんな文章が書けるんだ? と疑問すらわくほどのものも存在する。
「これはまさに最高水準のF1マシンだな」
グランプリの名のとおり、天狼院書店メディアグランプリのレベルってすごいなと感じる。
僕の操縦する軽トラでは上位になんて食い込めない。嗚呼、インターネットという広大な
サーキット場の中でF1マシンたちに次々と周回遅れにされていく軽トラが目に浮かぶ……。
僕が必死で書いた「魂の軽トラ」に救いはないのだろうか?
そんなことを思っていた時、講師の川代先生の言葉が胸に刺さった。
 
「掲載になっても順位に入らなくて悩んでいる人もいると思います。でも、バズを出すことも大事だけれど、毎回掲載レベルのコンテンツを安定して書き続けられることの方が大切かもしれません」
 
こんな内容の言葉だった。僕はこの言葉を聞いた時、ものすごく腑に落ちたし、スッと胸のあたりが軽くなったような気がした。
そうか、そう考えたらいいのか。
僕は野球をやっていたのだが、確かに野球でも剛速球を投げれるピッチャーは魅力的だ。しかし剛速球は投げれなくてもコントロールがよく、安定して相手打線を打ち取ってくれるピッチャーがエースになることも多い。だったら僕も順位とかは気にせずに安定してメディアグランプリに出場できる軽トラを書こう。
 
もともと文章の「ぶ」の字も習ったことのない人間が何を大それたことを考えていたのだろうか。
「F1レースなのにあの軽トラ、いつも出場してるな」
そんな風になれれば、いずれは軽トラのくせに車体が変化して、エンジンも最新鋭になって、最後には翼までついて空を飛んでF1マシンを追い抜けるかもしれない。操縦している僕も「安全第一」のヘルメットに軍手ではなくなっているかもしれない。
 
4月から始まったライティング・ゼミは早いものでもう全講義を終了してしまった。でも僕はとりあえず今年1年は文章と向き合ってみようと思っている。今はこれまで習ったことをノートを見返して復習し、出した課題のフィードバックを文章に少しでも反映できるように意識している。その先に何があるのかはわからない。でも何もしないよりは絶対にいい。先生の言葉にあった「安定してコンテンツを書ける力」まずはそこが目標。
 
今はボロボロでエンジンすらついているのかどうか疑わしい僕の文章。この軽トラが今年の年末にどう変化しているのか。自分自身にはどんな変化が起こっているのか。
「人生を変える」と銘打たれたこのゼミは僕の中で、まだ現在進行形だ。
 
……とりあえずこの文章がコンテンツとして成り立っているといいのだが。

 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-07-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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