メディアグランプリ

本棚の、その先の世界へ


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記事:横山裕子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
午前9時、いつもは静かな図書館の朝、今日は何やらにぎやかだ。
そうだ、今日から夏休み! 子供たちの活気が伝わってくる。
図書館は、世界の入口だ。いろんな世界をのぞいて行ってほしい。
 
私は、公共図書館に勤めている。夏休みは、一年間のうち最も図書館がにぎわう時季だ。
子どもたち、親御さんの探しているのは、主に夏休みの宿題に役立つ本、自由研究や課題図書、人気のある本は、どんどん貸出されていく。
やりたいことや、読みたい本が決まっている子はほんの少数で、たいていは親御さんの熱心な様子が伺える。差し出された本をチラッと横目で見て、「いいよ、それで」と本を手に取っている子もいる。
 
「うんうん、そうだよね~。夏休みになったばかりで、気が乗らないよね」と子どもの頃の私が呟く。なにせ、押し花の宿題を8月30日まで手をつけず、押し花ならぬ生花の標本を提出した小学生だった。
「今のうちに本を読んで読書感想文を書いたり、自由研究の題材を決めちゃいなさい! 夏休みはあっという間だよ~」親になって、子どもに言ったセリフ。
「自分の子供の頃を棚に上げて、ごめん!」今なら素直に謝れる。
 
それでも、宿題の取り組みは、スタートダッシュが功を奏する場合もある。
図書館に関して言えば、貸出できる本が多く、選びやすい。貸出期間は2週間なので、一度貸出されると、戻ってくるのは夏休み半ば近くになってしまう。その本に予約が入らなければ、さらに2週間、図書館のホームページから貸出の延長ができるため、出合えない本も多い。
毎年、8月を過ぎると、児童書の書棚、特に自由研究の題材向きの棚はスカスカになってしまう。
8月下旬に近くなると、いよいよ切羽詰まった子供たちや親御さん、お孫さんのために、おじいちゃんおばあちゃんもやって来る。少ない本の中から、何とか気に入った本を見つけられるように、お話を聞きながら書棚を一緒に見て歩き、実際に本を手に取ってもらう。
 
そこで、よくお話しするのが、書棚の場所、本の並び方だ。
少し専門的な話になってしまうが、図書館の本は「日本十進分類法」に基づき、10のテーマに分けて、分類している。並んでいる本の下の方に貼られているラベルを見たことがある方もいらっしゃると思う。そのラベルに書かれている3桁の頭の数字、0~9が主なテーマになっている。
0(総記)本や情報について、コンピューター関係も。
1(哲学)心理学、占い、神話、宗教など。
2(歴史)日本や世界の歴史や地理、伝記や旅行もこちら。
3(社会科学)政治、法律、経済、教育、民族学、戦争など。
4(自然科学)科学、数学、医学、植物、動物など。
5(技術)工業、環境問題、暮らしについての本、料理はこちら。
6(産業)農業、商業、交通など。ペットの飼い方も。
7(芸術)美術、音楽、スポーツや遊び。
8(言語)日本語や外国語、ことばに関する本
9(文学)日本や海外の小説、エッセイなど。
というふうに分類されている。またその先に細分化され、3桁の数字になり、それを基に本が書棚に収められる。
さまざまなジャンルの本が、いろんな世界を示してくれる。
 
宿題にしても、読書にしても、どんな本を選んだらいいか迷っている時には、まず、その人の好きなものや好きなことを聞いてみる。
食べることが好きなら、料理の本はもちろん、食材や調理器具、食器、それらを作る職人さんの話や、食生活の歴史、未来の食事(最近は、昆虫食の本も見かける!)いろんな切り口の本がある。
動物が好きなら、特徴を紹介している本や、飼育方法、獣医さんの体験記など、興味のある分野があれば、その本を探して手渡す。
小説を読んで、疑似体験したり、時間が経つのも忘れて没頭するのも素敵だ。
 
好きなことが書いてある本なら、内容に入っていきやすいし、興味も広がる。
利用者の方と会話をしながら、おさがしの本を手渡せた時、とても嬉しいし、私自身も勉強になる。またひとつ、世界が広がったような気がするのだ。
 
図書館の書棚の間を歩くと、いろんな世界が見えてくる。
ひとつひとつの本は、さながらそれぞれの世界につながる扉だ。
手に取って、扉を開けてみてほしい。そして、興味があったなら、その世界に飛び込んでいってほしいと思う。
旅行に出かけたり、料理を作ってみたり、釣りしてみたり、スポーツしたり……。
どんどん世界は広がっていく。
そして、気に入った本は、手元におくと、嬉しいときも辛いときも、きっとあなたに寄り添ってくれるはずだ。
 
おさがしの本は何ですか?
その本の先に、きっと、新しい世界が広がっています。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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