メディアグランプリ

千里の道も一歩から~0.1%の成長を重ねた青年の話~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小田恵理香 (ライティングゼミ4月コース)
 
 
「僕、彼女みたいにさくさくとできる気がしません」
 
彼女とは誰か?
新年度がスタートした4月に2人の新人が配属された。
部署に分け、3カ月の研修期間を半分ずつこなすことになった。
まず1カ月半、私の部署での研修を終えた新人が彼女だ。
いったん別の部署の仕事を覚えるべく、それは晴れやかな顔で旅立っていった。
彼女と交替でやってきた新人2号、それが今回の主役である青年だ。
そんな彼がまず指導担当である私に向かって言ったのだった。
 
「そう?でもあの子だって最初から完璧にできたわけじゃないよ」
「この1カ月半でこんなバリバリにできるようになるなんて。僕とはベースが違うんだろうな」
「いやいや、実習生の時、君めちゃくちゃ優秀だったよ?」
「またまた、そんなお世辞を……」
 
私は彼を学生の頃から知っている。
実習生として、彼は私の勤める病院に実習をしに来ていた。
実習に臨む態度や提出される課題もとても優秀だったし、何より同じ働く同僚たちも
 
「あの子うちの職場に来てくれたら嬉しいよね」
 
と口を揃えて言っていたほどだ。
在学中の成績もかなり優秀だったそうで、人柄も問題ない。
彼にいったい何があったのか。
話を聞いてみると、どうやらすっかり自信を無くしてしまったとのことだった。
社会人として働きだしてみたものの、学校で学んできたことが活かし切れず、何もできない自分の周りであくせく働く人たちを見て自分の無力さを実感してしまったそうだ。
かといって、自分も何かできればと動いたものの失敗に繋がり、先輩たちの仕事を増やしてしまったと負い目も感じていた。
“これは完全に自信を失ってしまっているな”と私は社会人1年目の時の自分と重ねた。
そこで彼に私は提案することにした。
 
「0.1%の成長……実施してみない?」
 
と。
突然の私の言葉に彼は目が点になっていた。
これは私が愛読しているメールマガジンのサブタイトルにもなっている。
私も最初目が点になった。
ただこの0.1%を侮ることなかれ。
昨日の自分と比べて毎日0.1%でも行動する。
たとえ小さな数字でも昨日の自分よりは確実に成長しているのだ。
昨日の自分よりも毎日0.1%成長を続けると1か月後にはそれが3%になる。
積み重ねていくと1年後には38倍になっている。
これを自信がないからと言って、何もしなければその成長すら得ることが出来ない。
この話をすると、彼は少し納得してくれた。
ただ、
 
「ちょっとでも行動しないと成長しないというのはわかっています。ただやはり失敗が怖いんです」
「うーん……」
 
確かに失敗はしたくない。
この業界がだから特にということはないだろうが、今働いている医療の現場はあまり失敗が許されない世界だ。
だか失敗したからこそ得られるものもある。
かくいう私もたくさんの失敗を重ねてきた。
それをうまく伝えるにはどうしたらいいものか。
そう思考をぐるぐる巡らせているとある一つの答えにたどり着いた。
 
“リフレーミング”
 
である。
これは物事の視点を変えて見ることで変化を生み出すコーチングのスキルだ。
よくたとえで使われるのはコップに入った半分の水。
それを半分しか入っていないと捉えるのか、半分も入っていると捉えるのか。
コインの表と裏、太陽と月、陰と陽のように物事は対になっているが視点を変えると捉え方が変わってくることはたくさんある。
そこで私はリフレーミングの技術を使ってこんな質問を投げかけてみた。
 
「その失敗から、何を学んだ?」
 
と。
最初は不思議そうな顔をしていたがしばらく考え込んでいた。
そして口を開いた。
 
「みんな忙しそうにしていて、自分にも何かできることはないかなと思って。
それで1回聞いたし、できるかなと思ってやってみました。でも実際は気を付けないといけないポイントがあって……」
「そこに気が付けた?」
「そうですね。」
「ちゃんと学んでるね。次はそこ注意できそう?」
「はい、もうしないと思います」
 
失敗は誰だってしたくない。
だが大事なのはそこから学んで次に活かすこと。
私は彼に失敗したらとりあえず落ち着いてから、起こってしまった背景やその失敗で学んで気づきを大切にするようにアドバイスした。
そのことに気づいただけでも着実に0.1%は成長しているのだから。
 
電球を発明したエジソンだってすぐに出来たわけではなく、1000回失敗したというので有名だ。
その失敗もただ失敗に終わったと嘆いたのではなく、そこから学んだこと気づいたことを活かして試行錯誤したからこそ電球を開発することが出来たのだ。
 
さて、配属されてから1カ月半。
新人にはどんな変化が起きたのだろうか?
最初の頃の自信がない表情とは打って変わり、見た目にも自信が溢れるようになっていた。
また、失敗をするとこの世の終わりかというぐらいに落ち込んでいたのだが確実にその回数は減った。
物事はトライ&エラーだとよく言う。
ただ失敗した。
それだけでは何の気づきもない。
だがその失敗を活かして少しでも行動すること。
これが最終的に大きな成功に繋がるのだ。
頼もしくなった新人の背中を見て私は改めて学んだのだった。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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