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メディアグランプリ

漠然とした30代の焦りへの処方箋


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記事:服部真子(はっとりなおこ)(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「急がば回れですよ」占い師に言われた。
 
30代後半に差し掛かった私は、漠然とした不安を感じている。同世代の有名人が、自分のことを「おばさん」や「おじさん」と表現しだすからだ。しかし、それを否定することもできないのは、サザエさんは24歳、マスオさんは28歳、同い年は眉毛のつながったあの人、こち亀の両津勘吉35歳だからだ。
 
35歳というのは若くも年寄りでもない絶妙な年齢だ。私が向かっている方向はこっちであっているのだろうか? そんな不明瞭な不安がいつも付きまとう。占い師には、仕事や恋愛、家族のことなどを聞いたのだ。全て順調に進んでいますよ、と言ってくれているのに疑ってしまう自分がいた。そんな私に対して「急がば回れですよ」って言うのだ。お題をもらったような気持ちで数日過ごしていると、不意に身近な同年代の女性がとても魅力的に見えきたのだ。
 
まずは、友人のTに誕生日プレゼントを渡した時のこと。
「わぁぁぁ!! ありがとう!!」
大喜びするT。そんなに大きなリアクションで喜んでくれるの? あふれる笑顔にズキュンとやれた。Tは有名雑誌の編集者。いつも仕事に全力投球、ピリ辛トークもお手のものだ。
 
次に、会社の先輩Yさんが油淋鶏定食を食べた時のセリフ。
「ん〜〜〜ん! 美味しい〜〜〜!!!」
1000円くらいの普通の定食だ。私もその美味しさは知っている。しかし、目を瞑って「ん〜〜〜ん」という感嘆の声をあげる彼女は目眩がするほど可愛かった。Yさんは好き嫌いのはっきりした、自分のスタイルを貫く媚びない人だ。
 
最後に、海外在住の親友Nと一緒に食事をしていた言葉。
「あの時、本当に楽しかったよね!!!」
お互いに好きなバンドがある。そのバンドたちがコラボしたライブ配信を時差9時間を乗り越えて一緒に観戦したことを言ってくれたのだ。確かに楽しかったが、改めて真剣に言ってもらえるとムズムズする嬉しさがあった。彼女は、もう何年も単身海外で日本語を教えている。己を貫く行動力がとてもかっこいい。
どのセリフも決して媚びを売ったセリフではない。女同士の日常を切り取ったワンシーンだった。私はこれこそが「急がば回れ」なのではないかと思ったのだ。
 
彼女たちは、既婚、フリー、彼氏持ち、と交際ステータスは様々だ。共通点は、経験を重ねたカッコイイ女性だということ。自分の人生を一生懸命前向きに生きている人たちだ。そのカッコイイ姿とのギャップで、余計に可愛く見えたのだ。確かにもう20代の女の子ではない。頼りなさが可愛げだった時代はもう終わった。小皺だって、白髪だってある年齢になってきた。でも私には10年前よりよっぽど、魅力的に見えた。それは人間の歴史と可愛らしさが同居していたからだ。
そう見えた瞬間にも秘密があると思った。その瞬間の彼女たちは、気張っているわけでも、媚びているわけでもなく、気取らずに自然体でいたのだ。よく知っている女友達だからこそ目撃できた姿なのかもしれない。「年齢を重ねるって本当に素敵なことだな。」と心から思ったのだ。穏やかな表情がなかなかでない頃も知っていたから余計そう思うのかもしれない。私もそうだったが、20代は人前でこんなにリラックスできなかった。人にどう見られるかということを意識しすぎていたのだと思う。
 
「急がば回れ」とは、琵琶湖のことだそうだ。琵琶湖の向こう岸に行きたい時、真ん中を突っ切って船を漕いで行くよりも、遠そうに見える外周を行った方が早くつけるということからできた諺だそうだ。何かと結果主義の現代は、最短ルートは何かと考えてしまうが、焦りは禁物だということを教えてくれる。
 
「一歩一歩着実に進んでいけば、自ずと結果は出ますよ。」と占い師は言った。
 
「20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績。」というココ・シャネルの言葉がある。私はその片鱗を友人たちに、いや戦友たちに見せてもらった。私たちはもっともっと魅力的になれる余地があるのだ。到達点にショートカットしていけるわけじゃない。生きている限り悩みは尽きないけれども、誠実に自分のやりたいことに取り組み、リラックスできる余裕を少し持ち進んでいけばいいのだ。まだまだ先に感じる50代もきっと思ったより早くやってくるだろう。じっくり自分の魅力を高めていこうと思った。
 
 
 
 
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2022-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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