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メディアグランプリ

憧れの絨毯ギャベ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:添田咲子(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
〝国内最大級のスケールでお届けするグレースギャベ展〟
フェイスブックの画面をスクロールしていて目に飛び込んできた広告。
〝ギャベ〟というどうやら人気の絨毯の存在は知っていて、興味はあった。機会があればみてみたいなぁ、くらいの興味レベルだった。そんな時私のアンテナに引っかかってきた情報。
ちょうど夫と子供が実家にお泊まりで一人フリー時間を楽しめる今日、仕事帰りにすぐ立ち寄れる開催地。ふらっと行ってみるか、と来場予約(無料)ポチ!
 
ギャベ展は家具バザールと同時開催だった。会場に着いて受付を済ませると、わざわざスタッフの方が受付まで出迎えに来てくださり、名刺まで渡されてしまった。それだけ金額が張るものが売れるチャンスだということなんだろう。対して私はと言えば、仕事帰りのちょっとヨレたTシャツにスニーカー、長引くマスク生活ですっかりメイクをさぼっている全く気合のかけらもない姿でふらりと立ち寄った。どう見ても、お金になりそうな客には見えない。
まあ、別に良いのだ。どんな色柄の絨毯があるのかなーくらいの興味で私は来ていて、それが満たせれば十分なのだから。
 
会場に並んでいたのは、サイズは座布団くらいから広いリビングにゆったり敷けそうな大きなものまで多数の絨毯たち。何よりまず色柄の豊富さに驚く。ひとつひとつ、すべて違うデザイン。人型を模したもの、樹木、葉っぱ、風景も。どれも、温かみのある素敵な色……。
 
私「これはどこの国で作っている物ですか?」
 
スタッフさん(以下ス)「イランです。いわゆるペルシャ絨毯なんですけどね、ペルシャ絨毯は王宮に敷くものだから薄いんです。ギャベは遊牧生活のテントに敷くものだから厚みがあるんです。地面に敷くように作っているから丈夫だし、触ってみてください、手触りもいいでしょう!全然チクチクしない」
 
私「なるほど~。だからラクダとか馬とかデザインに入ってるんですね~。確かに気持ちいいです。たくさんありますけど違いはどの辺なんですか?」
 
ス「目の細かいものほど柄が繊細に出ます。それで、触り心地がなめらかです。一方目の粗いものはふっくらした感触になりますね。編む手順はすべて一緒ですが、目が細かい方が当然時間がかかりますからその分良いお値段になってきます」
 
すぐ買うつもりで来てないので値札に注目していなかったが、大きなサイズは5,60万を平気で越えている。なるほどこれは、絵画を買う感覚ですねと言うと、絨毯だけど観賞用に壁掛けにする人もいるのだとか。へぇ~! オッシャレー!
でも気持ちはわかる。赤、オレンジ、緑、青と鮮やかだけど、派手な感じはしないのだ。ずっと見ていられる落ち着き感と日常に馴染む素朴さがある。
 
ス「羊の毛を刈ってすべて草木染をしています。だから自然に馴染む色なんですよね。こちらなんかは羊の毛そのもの。斑の色そのままだから、白い部分も白じゃないでしょ、この混じりっけの色の味わいがいいんですよね」
 
イランで遊牧生活を文化とする人たちが、自分たちの生活に身近な動物や植物、目にする風景をデザインにして編み込んだ作品。私の居るこの場所とは違う、遠い異国の時間の流れがそこから感じられるような気がしてくる。これがもし日常に在るとしたらなんて豊かなんだろう。絨毯でありアートだ。でも、アートとは言え日常に入り込んでしまったらそうそう丁重に扱っていられない。日々、このアートの上で子供がジュースをこぼすし、黒くなった靴下で上がってくつろぐに違いない。
 
ス「そうそう汚れないですよ、良質な羊毛100%なので、天然の油分が汚れをつきにくくします。汚れたら拭いてあげればきれいになりますよ。クリーニングするのは10年に1度くらいですかね。それからすごく丈夫なのでワンちゃん猫ちゃんいるご家庭でもよく使ってらっしゃるし、子供部屋にも選ばれていますよ。ウールは湿度を吸収してくれますから、夏でも快適です。冬はもちろん暖かいですしね。素材がよいのでね、使えば使うほど油分のバランスの変化で色はさらにつややかに風合いが増していきます。一生ものですよ」
 
なんと、良質なアートは日常使いしてこそとは。
加賀の漆塗りの椀も、毎日使い毎日洗うことこそが漆器のメンテナンスになると聞いたことがある。年を重ねるにつれ、新しいピカピカの美しさよりも、古民家の磨き続けられてきた木目の床の艶のような深みのある美しさに魅力を感じるようになってきた。自分の命の年輪とともに年を重ねていける、愛着のあるものに囲まれて日常を送ることは幸福感が高いものだと思う。
 
何気なくふらりとヨレヨレTシャツで立ち寄った割には、期待した以上だったギャベの
魅力に気付いた私は、玄関マットくらいなら衝動買いしてもいいんじゃないか……とちょっと思った。が、どうせなら、そう遠くない(きっと待っているはずの!)将来にもっとイメージを広げた。
大きな窓の外に緑を望む開放的なリビングの真ん中に、その時の私と一番気の合った色でデザインのギャベを敷こう。そしてそこで悠々自適な豊かな時間を味わうことを未来の自分に託し、今日は見学の時間とすることとした。私の人生に、選びたい選択肢をまた一つ増やすことができた有意義な時間だった。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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