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女の顔も履歴書


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記事:美月優璃(みつきゆり)(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「男の顔は履歴書で、女の顔は請求書」という言葉がある。
誰の名言かは知らないが、「男の顔にはそれまで生きてきた人生の経歴が、女の顔には美容等で費やしてきた金額が反映される」という意味らしい。
確かにその通りではあると思う。
化粧や手入れをすれば女性は「化ける」ことも、ある程度はできるし、美しくみせることもできる。
しかし……  実は「女の顔も履歴書」なのだ。
そのことを実感したのは、私がかつて美容部員として働いていた時だった。
 
当時、私は百貨店で某化粧品メーカーの美容部員として、店頭で多くのお客様のカウンセリングやメイクを日々こなしていた。
百貨店なので客層や年齢層も幅広く、私がいたブランドは10代~70代のお客様がいた。
学生や会社員、富裕層のマダムなど、とにかく客層はバラエティに富んでいた。
美容部員になりたての頃はあらゆる客層のお客様のカウンセリングやメイクを、いかに
的確に素早くできるかが課題だったので、日々場数を踏むことをこなしていた。
 
数多くのカウンセリングやメイクを実践したが、今でも印象に残っているお客様が二人いる。
この二人のお客様を見て思ったのは「もって生まれた容姿は関係なく、美容も身なりも、
かけた金額に比例して、その分美しく綺麗になるわけではない」ということだ。
 
このお二人はいわゆる富裕層で、身に着けているものはブランド品ばかりだった。
当然、私がいた店舗で購入する化粧品もお高めのラインの化粧品を購入していた。
この二人の内、私が「真にエレガントな人」として印象に残っている女性をAさんとしよう。
年齢は30代で素人目でもわかるくらい、いつも仕立ての良い服を着て、さりげなくバーキンを
持っている方だった。
立ち居振る舞いも言葉遣いもとても上品で、正に「エレガント」を体現しているような方だった。
私はAさんを接客をする時は、良い意味で緊張感があった。
ある時、Aさんが限定品を購入を希望されたが、あいにく品切れでどこの店舗にも在庫がなく、
取り寄せができないことがあった。
そのことを伝え謝ると、一切怒りもせず「いいですよ。お気になさらないで」とにこやかに
微笑みながらそう仰って、帰っていかれた。
その時のAさんの振る舞いに、「本当にお育ちが良い方って、こういう人なんだな]と
とても感心したことを覚えている。
 
そしてもう一人のお客様、BさんのことはAさんとは真逆の存在として、印象に残っている。
Bさんの印象は「一人百貨店」みたいな方だった。
どういうことかというと、毎回あらゆるブランドのロゴで溢れたファッションで来店していたのだ。
例えばヴィトンのバックにエルメスのスカーフ、グッチの服にセリーヌの靴に、シャネルのアクセサリー等、とにかく毎回ブランドのてんこ盛りファッションで来店していた。
化粧品も色んなブランドを使用していてエステにも行ったりと、かなり美容にはこだわってお金を
かけている方でもあった。
実はBさんもAさんと同じく限定品を購入希望だったが、品切れ状態で他店にも在庫がなく、
取り寄せができないことを伝えたが、Bさんは全く引き下がらなかった。
「本社から取り寄せろ」から始まり、「用意しないなら外商員を通してクレームをいう」だの、
散々ごねてきたのだ。
最終的にエリアマネージャーが何とかみつくろい後日渡すことになったのだが、その時は店長や
百貨店のフロアマネージャーまで巻き込んで、ちょっとした騒ぎになった。
自分を美しく綺麗にすることに努力はしている方であったが……正直この方からはAさんとは真逆の印象しか持てなかった思い出でがある。
ブランド品や高級品で自分を飾ってもそれに見合う中身がないと、逆に至らない自分の中身が
際立ってしまうものだとも思った。
 
百貨店勤務も長くなると色んなお客様に遭遇したが、最終的に思ったのは「お金をかければある程度は自分を美しく綺麗にすることはできるが、最後は人の内面が、その人の外見をつくる」ということだった。
そして年齢を重ねてくると、「その人が今までどうやって生きてきたのか」が、顔に現れてくる。
それは化粧や服装ではごまかせないし、逆に化粧や服装で自分を必要以上に良く見せようとすると、
内面の無さや至らなさがより一層際立つし、周囲にバレてしまうということも気が付いた。
 
当時、私がある先輩から「女性が持って生まれた容姿だけで生きているのは20代半ばまで。その後はその人の内面が顔に出てくる。最後は人の中身が、もって生まれた顔の造形を超える」と言われたことがあったが、その通りだと最近は実感する。
年齢を重ねれば重ねるほど、その人が生きた歴史は「雰囲気」となって、身にまとうようになる。
また当然、顔にもその人の生きてきた歴史が刻まれる。
 
20代半ばまでは「女の顔は請求書」かもしれない。
だがそれ以降は「女の顔も履歴書」なのだと肝に銘じて(笑)日々生活をしないといけないなぁと
当時は思い、今に至る。
 
 
男性も女性も年齢を重ねると「顔は人生の履歴書」になると、最近はつくづく思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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