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親子成長のワンダーランド、その名は「スポーツ少年団」


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記事:タイガーたいぞー(ライティング・ゼミ8月コース)
 
 
「友だちに少年野球チームに入らないかと誘われた。僕も野球をやってみたい!」
 
小学5年になったばかりの双子の息子の1人から告げらたとき、私の初期感情は「休みが無くなるかも……」であった。練習が毎週土曜と日曜日に行われることを、以前知り合いから聞いていた。確実に自分の時間が無くなってしまう、そんなネガティブな感情が脳内を充満した。
 
しかし、息子の「やりたい!」を尊重できないなんて、父親失格である。
曇りそうになった表情をかき消して、「そうか! 野球か! いいじゃないかぁ~!」と返答。間一髪、ダメ親父にならずに済んだ。危ない、危ない。
 
本来なら4月から合流したかったのだが、コロナの影響で練習が中止の状況。当時は、あの「流行り病」に対して為す術がなく、とにかく「ステイホーム」するしか無かったっけ。
 
恐る恐る練習が再開したので、ついにスポーツ少年団の門を叩く。
結局、息子2人ともお世話になることに。2020年6月21日(日)のことである。
 
野球経験がまったくない彼ら。満足にボールも投げることができず、私がゆっくり投げたボールにもビビって腰がひけてしまう始末……。
この先、試合に出れたとしても、怪我をしてしまうのではないかと心配になった。
 
初めての試合は2020年7月。隣町まで遠征しての練習試合。
息子たちの緊張が伝わってきた。うちの息子のときは「5ストライク」にしてほしい! 親バカ思考になっていたのもこの頃だった。
試合では三振、エラーは当たり前。怪我なく帰宅できただけで儲けもの。
 
しかし、しかしである。
 
日を追うごとに、少しずつ成長していく彼ら。秋にはキャッチボールも様になってきて、眼つきも変わってきた。子どもの成長は「こだま」のように速く、「ひばり」のように高く上昇していく。それが世界中の親の「のぞみ」でもある。
 
父親になったばかりの頃に、息子とキャッチボールをすることを「やりたいことリスト」に書いていたことをふと思い出す。しかし当時は、その想いにふける余裕は無く、チームの迷惑にならないようにと、私も必死にゲキを飛ばしていた。
 
5年生の冬。ひと山越えると成長すると言われる3歳の競走馬のように、彼らの成長も加速していった。「プロ野球」にも興味が出てきて、巨人と広島を応援するように。贔屓の選手は、坂本選手と菊池選手。冬休みには、YouTube動画を何度も一緒に観た。一流の考え方に触れたのは、彼らにも刺激になったはず。
 
学年が1UPし、いよいよ最後の野球シーズンが始まった。
 
その時、息子の1人は常時試合に使ってもらえていたが、もう1人は出れたり出れなかったり……。時々試合に出れても、なかなか結果が出ずに歯痒い想いをしていた。
 
6月の試合。決定的な出来事が起こる。
レギュラーではない息子が高めのボール球に手を出して三振をした。監督からは厳しい言葉をいただき、今にも泣き出しそうな表情でベンチに戻ってきたのだ。その様子をスコアラーとしてベンチで見ていた私。何も声をかけてやることができなかった……。
 
家に帰ったとき、突然「魂」のスイッチが入る音を感じた。
 
「最後まで本気で息子たちと関わっていこう!」
 
これまでも本気ではあったが、最後に「後悔」はしたくない。とことん向き合っていくことを決心した。
 
それから毎日、なるべく仕事を早く切り上げて、10分でもいいから室内キャッチボールや室内バッティング練習を継続。
 
土日は実践練習。チーム練習の前には、1人30分間ずつの個人練習を追加してやり続けた。
 
精神面の強化のために、一流選手の言葉(名言)をノートに書くことを日課にもした。
 
またメンタル面でのサポートも重要と考え、オンラインで知り合ったお父さん仲間から教えてもらった「コーチング」を学ぶために、コーチング・スクールにも通うことにした。
 
努力の甲斐があったのか、補欠となっていた息子も少しずつ自信を取り戻せたのか、夏以降は試合に出れるようになる!
 
しかし、コロナの猛威(第5波)もあり、試合数は激減……。
外部からのブレーキは、もどかし過ぎる。
 
11月のチームの記念大会には、2人そろって試合出場。
一生懸命に歯を食いしばってプレーする彼らの姿をみていた私に、もう親バカ思考は皆無。そこには、息子に対して1人の人間としての「尊敬」の気持ち、それだけがあった気がする。
 
最後の試合は12月11日。
最後にもかかわらず、残念ながら私はコーチングの認定試験と被ってしまい、肉眼で観ることはできなかった。
息子たちのために始めたコーチングだったのに、何という皮肉か。今思えば、柔軟に日程変更してもらえば良かっただけのこと。忙しくしすぎて、心に余裕が無かったのかもしれない。
 
その試合は、後日ビデオ録画を鑑賞。もう感動しかなかった。
貧打で快音が出なかった息子から、ついに痛烈な会心の一撃が飛び出し、もう1人もすべての外野フライをノーエラーで守りきっていた!
 
6月から「家族」というチームで頑張ってきたことが報われた気がした。
本気で取り組んできたからこそ、やりきった感があふれた。
 
約2年間、野球に情熱を注いだ我が家のストーリーは、こうして幕を下ろした。
 
「スポーツ少年団」は、まさに親子成長のためのワンダーランドである。
 
スポーツ少年団とはどんな場所だったのか?
 
第1に「家族で共有できる時間の大切さ」を学べる場所。
 
毎週毎週、家族でグラウンドに行くという「家族習慣」の時間が作れた。
特に貴重だったのは、練習が終わってから息子たちと話をすること。
「今日の練習、どうだった?」と聞くだけで、彼らの感情の機微を感じることができた。
 
第2に「成長する手段」を学べる場所。
目的は、野球が上達し、チームの勝利に貢献すること。そのための手段は、無限にある。個性と個人の特質に合わせてどんなやり方を選ぶかは自由。我が家は、コツコツと習慣を変えることでレベルアップを図ることを選択した。自分に合ったやり方を実践していけば、子どもの成長を邪魔することなく、むしろ後押しができる。目的を提供する場所があるからこそ、試行錯誤できるのだ。
 
最後は「チームワーク(絆づくり)」の大切さを学べる場所。
野球にかかわるのは子ども達だけは無い。監督、コーチ、子どもたちのお父さん・お母さん。全員の連携が取れてこそのチームである。団体競技を通してチームづくりの難しさを学ぶことができる。
 
こうした環境に身を置くことは、かけがえのない時間であった。
あの日、息子が「野球をやりたい!」と言っていなければ、ワンダーランドを知らずに平々凡々と過ごしていたに違いない。
 
さあ次は、我々家族の前にはどんな場所が待ち受けているのだろうか?
ワンダーランドの存在を知っている今、そこには「ワクワク」しかない。
 
 
 
 
***
 
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2022-10-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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