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アロマセラピーがピンチをチャンスに変えた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高橋 さやか(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
20代最後の一年は、仕事も恋愛も人生最悪だった。
 
職場で事故に遭ってしまったことによるショック症状が全く抜けないまま退職し、付き合っていた彼氏とも別れてしまった。
 
心の傷というのは体に出るもので、落ち込みから来る倦怠感と寂しさからの体の痛みというものは死にたくなるほど苦しかった。
 
泣いて過ごした日は比較的元気がある方だった。朝が来るのが何よりも怖く、本当に辛い日はベッドから起き上がれないほどだった。
 
心を癒すための様々な情報を集めたが、「アロマセラピー」という方法が気になった。
 
日本語に訳すと「芳香療法」で、植物の花びら・葉・樹脂・木部・果皮・種子などから抽出された100%天然の香り成分「精油(エッセンシャルオイル)」を用いて心身のトラブルを癒し、健康に導くという自然療法だ。
 
一般ではアロマオイルと呼ばれているものは100%天然の精油(エッセンシャルオイル)に合成香料、アルコール、植物オイルなどとブレンドされたオイルのことを言うため、この記事では正しい名称の精油と呼ぶことにする。
 
幼少の頃から香りのグッズを集めるのが趣味で、大人になってからは香水が好きだったので「いい香り」には人一倍興味があった。
 
別れてしまった彼氏とも、アロマコーナーに立ち寄ってラベンダー精油をお風呂に入れて楽しんだこともあった。
 
「香りで元気になれるかもしれない」
 
そう思って、バラエティショップのアロマコーナーに足を運んでみた。
 
たくさんある種類の中でペパーミント、オレンジ、グレープフルーツなど日常生活でも親しんでいる植物の香りをアロマショップで試香してみたら、実物の植物に触れているような臨場感を感じた。
 
選び方と使い方がわからなかったので初心者セットを購入してみた。初心者向けのパンフレットも合わせて持ち帰ってみて、気分に合う香りをティッシュに数的垂らして香りを嗅いだ。
 
体の力が抜けて心の痛みで浅くなった呼吸が深まった気がして、とても心地がよかった。
 
少しだけ元気になった頃に、アロマセラピーの初心者用の書籍を購入した。
 
色々な精油のプロフィールと安全な使い方・楽しみ方が紹介されていた。
 
特に興味を惹かれたのは、複数の精油を「ブレンド」をしながら入浴剤や化粧水や美容オイルなどを手作りするという使い方だった。
 
香水もスキンケアも大好きだった私にはぴったりの内容だ。暇さえあればアロマセラピーの専門ショップに通い、ショップ内の講習会に参加した。
 
ある日、「オリジナル香水教室」というイベントがあったので迷わずに参加した。
作った香水は店舗で人気投票を行い、1位になると全国から集まった香水のグランプリを決めるというものだった。
 
どんなコンセプトで香水を調香したいかを考えてから、香水作りに使う香りの種類を選んで行く。呉服コーナーを通ってからお店に着いたので、ふと頭に浮かんだイメージは和服姿の女性のうなじから匂い立つような色気だった。
 
白檀(サンダルウッド)紫檀(ローズウッド)の華やかな木々の香りにローズに似た女性に人気のゼラニウム、紅茶のアールグレイの香り付けで有名なベルガモット、中国が原産地のマンダリンオレンジを加えた。
 
名前は欧米の方から見た日本がある方面の「極東」から「ファーイースト」と名付けた。
 
数週間後にお店からお客様からの投票で店舗賞を獲得したという連絡があった。
 
小さな賞だったけど、とてもびっくりした。初めて挑戦したアロマセラピーのブレンドを「いい香り」だと感じてくださった方がいたのだ。
 
これを機に本格的に勉強して仕事にしたいと思った。
 
アロマセラピーで癒されたお陰か、その頃には心と体の辛さからは回復しつつあった。
 
本がボロボロになるくらいに熟読し、アロマセラピーの効能を自分の心・体・肌に叩き込むイメージで勉強した。
 
精油の分子は肌から毛細血管を通って全身をめぐるため、毎日のアロマの入浴剤と手作り化粧品のおかげか肌の調子も良くなり「30歳に見えないくらいお肌がきれいですね」と褒められるようにもなった。
 
さらに、スクールにも通いアロマセラピーインストラクターの資格を取ってショップの店員になった。
 
店頭にはかつての私のように心身の不調に悩む方、失恋したばかりの方、肌の悩みを持つ方など色々なお客様が来店された。お悩みをよく聞いて、私の経験からアロマセラピーの使い方を伝えた。
 
30歳からの販売職の挑戦だったので慣れないことも多かったが、凹んで自信がなくなるタイミングで、「高橋さんに出会えてよかった」などと涙が出てくるようなありがたいお言葉をかけてくださる方に出会えることができた。素敵なお客様のおかげで仕事を続けられたと言っても過言ではない。
 
自分に合う香りやお手入れ方法を見つけられた方はその人にしかない美しさを得て、別人のようなオーラを纏って来店される。改めてアロマセラピーのパワーというものを感じたのだ。
 
数年後に、最初にお世話になったお店の先輩がSNSでアロマセラピー講師の後任を探しているという記事を見つけた。
数日前に偶然友達申請をしたばかりで、運命のようなものを感じ、思い切って講師をやってみたいというメッセージを送った。
 
教室を見学後に正式に講師を担当することが決まり、次の年はレンタルスペースを借りて自分でワークショップを開催した。この記事を中央区主催の講座を企画する女性の方が見つけてくれて、月に一回の講座と中央区民カレッジという6回の連続講座の仕事を担当することになったのだ。
 
「教えることは教わること」で幸いにも多くのいい生徒さんにも恵まれ、講師としては未熟な私に様々なことを教えてくださった。
 
中央区という土地柄は講師陣もユニークで野菜ソムリエ、新聞の政治記者、歌舞伎役者など色々な方面で活躍する方とも交流することができてご縁が広がった。
 
新聞に講座の様子が記者のエッセイで掲載後に書籍化され、さらに講座の告知で中央区のエフエムラジオに出演することが出来た。
 
元のきっかけが事故のショック症状と失恋という暗い話だったのに、気がついたらたくさんのチャンスを得て優しく明るい人の輪が広がっていった。
 
事故も失恋も避けられれば違う幸せを得られたかもしれなかったが、私にとってはまさに「ピンチはチャンス」だった。
 
どん底だった頃に支えてくれた家族、友人、アロマセラピー初心者の私に親切に接してくださった店員さん、講座の先生、店員と講師時代にお世話になった全ての方に心からお礼を伝えたい。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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