メディアグランプリ

膝に笑われてもいい。続けるかどうか決めるのは私だ。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:pon(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「今日もや。また今日も無理やった」
 
私はよろよろとした足取りで、文句を垂れ始めた。こちらの文句をニヤニヤしながら聞いた後の彼の一言で目から鱗がゴロリと落ちた。まるでテニスのラリーで、ゆるーく打った球を、豪速球で返されたような衝撃。しかも顔面直撃ぐらいの恥ずかしさと痛さ。だけど、この痛みと引き換えに私は気づきをもらった。それはあなたが何かを始めたり、続けても上手くいかず落ち込んだり諦めそうになっているなら、今後続けるかどうかの新しい判断材料になるかもしれない。
 
■あきらめる前に数字で冷静に■
 
彼からの豪速球が返ってきたのは、2人で自転車で向かった最寄駅の駐輪場についた時だった。都心部から、郊外に引っ越しして1か月。通勤用に自転車を買い10年ぶりの自転車生活を始めた。最寄り駅までは、なだらかな上り坂。駅近くの駐輪場の前だけ体感45度ぐらいの坂がある。その坂を登ると残り2〜3メートルで太ももが悲鳴を上げる。
その日も残り2メートルで、ペダルを踏み込めなくなった。よろよろと自転車を降りて、震える太もも、爆笑の膝。はぁはぁしながら私は言った。
 
「今日もや。また今日も無理やった」
「1ヶ月毎日毎日、サボらずに乗ってるのになんでなん!」
「毎日コツコツ努力したらできるようになる言うたん誰?!」
 
グニャグニャの足で自転車を押し、急にキレ始めた私をみて彼はニヤニヤして言った。
 
「いや、それ毎日1時間やった人のセリフや」
スパンっと返された豪速球は、私の額のど真ん中に命中した。
「……ほんまやーーー!」
膝はさらに笑い、はぁはぁ上がった息が止まるかと思うぐらい私も笑った。
 
私が毎日自転車に乗ってるのは、わずか5、6分。往復で10分ちょっと。
1ヶ月にすると30日×10分=300分
自転車に乗り始めて漕いだ実績は、たったのまだ5時間分だ。
毎日1時間乗ってる人なら、1ヶ月で30時間。
何を偉そうに文句を垂れていたのか。私の太ももと膝はまだ笑って当然だった。
 
言いたいことは、「自分の能力をあきらめないで! 諦めるのはまだ早いかもしれない。」ということ。
 
ぜひ、やったことへの投資時間を計算してみてほしい。例えば習い事でもアルバイトでも、何か習得することが上手くいかず、落ち込んだり諦めそうになったのなら、まずは「自分がそれに今何時間分費やしたのかを計算する。」数字は冷静さをもたらしてくれるはず。その数字を見てから諦めるか決めてもいいと思う。単純に投資時間不足かも。
 
私も、今まさに実践中。最近始まった文章を書く講座も、ちっともうまくならない。周りのみんなはあんなに上手なのに……
いやいや落ち着け。まだ文章を書くことに集中し始めて、たったの1ヶ月とちょっと。課題提出があり1週間に1つ2000字前後の文章を提出する。まだ課題はたったの6回しか出していない。
毎日通勤の電車内でちょっとずつ文章を積み上げる15分。
休日の3〜4時間。提出前の1時間。
9月中旬に講座が始まってから投資時間は36時間。
合計すると課題に向き合った時間は1日半分やん!
まだうまくいかなくて当たり前。よし落ち着いた。練習をつづけよう。
 
■続けても上達しない理由を排除する■
 
改めて続けることで力がつくかを疑ってみたら、気づいたことがある。何年も毎日続けても、ちっとも上達しないことに共通点を見つけた。私の例でいうと遠くから洗濯カゴに向けて靴下を投げて命中させること。毎日毎日、アホなことをよく続けるなと自分でも思う。習い事では過去12年やったピアノ。ちっとも上達しなかった。
 
この2つの共通点は、ただやっていただけだったということ。ただ無心で続けていても、そこに停滞することになる。
 
靴下をどの角度に投げたらうまく行くのか、分析せずに次に挑むので、毎日洗濯カゴ近くに落ちた靴下を拾うはめになる。ピアノも毎週習いに行く前にチラと弾く程度だった。なんとなく続けていた。靴下入れ世界大会には出ないし、ピアニストも目指していない。
 
ピアノに熱が入らなかったのは、知らない曲はつまらなかったから。練習曲をJ-POPに変えてから驚くほど上達した。知っている曲だとうまくできていない所も明確で、弾けるようになるのが急に楽しくなった。弾きたい曲にするだけで、こんなにも楽しさが変わるのか! と体感した。継続していることでも『つまらない』を排除すると練習も楽しくなり上達スピードは上がるといえる。
 
■他者からの反応を得る■
 
事情がありピアノを手放すことに。2週間で別れの曲を弾けるまでひたすら練習した。ピアノと高いピアノを買ってくれた両親にありがとうの気持ちを込めて。最後に弾いた別れの曲。母は初めて私のピアノを聴いて涙していた。『目的』は他者の反応を得て初めてやりがいを感じ、見つかることもある。成功体験はやりがいを見出してくれるかもしれない。
 
■継続は力なり?力にならなくてもよいのでは■
 
靴下をなぜ洗濯カゴに毎日せっせと投げ入れるのか? それは、そんなアホなことを毎日続けているアホな自分が好きだから。靴下入れ世界チャンピオンにはならない。ただ続けている自分が好きでもよいと思う。幸せなのだから。
 
ぜひ、考えてみてほしい。今、どれぐらい上手くいかないことと自分が向き合ったのか。上達したくて始めたことの目的やゴールは何なのか。やらざるを得なくて始めたことがなぜつまらないのか。誰かのために披露する機会があるか。続けられることは当たり前ではないということも頭の片隅に。そして、それを続けている自分が好きかどうか。
 
継続することは『人生』、『生きること』そのものだと思う。1日は24時間だが1年は8760時間もある。24時間は1年のたったの0.27%だ。短くても長くても、今そこの時間をどう過ごし、どうとらえるかで得られることや、楽しさや充実感はまるで変わる。
 
そして、そこにいる自分は好きか? が何よりも大切な問いだと思う。
 
私は何を目指しているのかわからないけど、毎週文章の課題提出に必死になっている自分が好きだ。よし練習を続けよう。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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