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人生初でした~会社でアンポンタンの私が少しだけ賢くなれた理由~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:むぅのすけ(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
最近になって、社内で私に与えられた時間は極端に減ってしまった。
だから徹底的に無駄を省き、動きは最小限にとどめるよう努める。
 
そのため
私は涼しい顔で自分の席につき仕事をしながら、さりげなく皆の様子を窺い、動きを読もうとする……
 
 
 
十日ほど前のことだった。
会社で二階から階段を降りていて、派手に踏み外してしまった。
 
一階にいた人から声をかけられ、その人と話して余所見をしながら降りている最中のことだった。
その瞬間
激痛とともに、右足の甲の上部辺りが 『ピキッ!』 といった気がした。
叫びながら階段の中ほどの踊り場に落ちた私は、あまりの痛さに座り込んでしまった。
 
下から私に声をかけた人は、その一部始終を見ており、とても心配して病院に行くように何度も言ってくれた。
しかし、特に大きな怪我をしたことなくこの歳まで過ごしてきていた私は、事の重大さがわかっていなかった。
 
全ては自分のどんくささが招いたことなのに、責任を感じさせてしまっているようで、ただただ申し訳ない思いでいっぱいだった。
しばらくして、なんとなく動けるようになった私は
『大丈夫大丈夫、歩けそうだから心配しないで~』 と言って、右足を引きずりながら仕事に戻ってしまったのだ。
 
 
たまたまその日は通常業務をする平日ではなく、年に数回ある全員出勤の土曜日だった。
普段の平日なら、私一人が離脱してもほとんど影響はなかったのだが、その日に限って違っていた。
総務であり、いわゆるナンデモ係の私の旗振りの下で、いくつもの事が計画されていたのである。
 
社内あちこちの整理整頓や、健康経営にまつわる転倒防止チェックなどなど、平日の業務のある日には進めにくいことを、この時ばかりと詰め込んで、ラストは社内の駐車場でのBBQまで控えていたのだ。
 
 
時刻はまだ午前9時を回ったばかり。
まだ何も始められていない。
今、私が一応は歩けるのに離脱して病院に行こうものなら、皆に事前にアナウンスしておいた今日一日の計画は、ほぼ体をなさなくなってしまうのは明白だった。
 
私一人のドジのために、今日のチャンスを無駄にすることはできない……
謎の責任感で、そう思い込んでしまったのだった。
 
 
日も暮れて、全ての予定がなんとか無事に終了した。
土曜日だから、その時間に病院は閉まっている。
週明けの月曜日、当然のように腫れて痛みを増す右足首を病院で診てもらうと、剥離骨折と言われた。
 
  
人生初の骨折という名の怪我、全治6週間である。
 
本来ならギブス案件だったところ、たまたま機能的サポーターを処方できる、装具屋さんが居合わせていたので、まさかのギブスを免れることができた。
これで会社を休まなくてもよさそうだ、と私はホッとしていた。
 
 
そして翌日、足を引きずり出勤し、やっとの思いで二階に上がった私は、何食わぬ顔で面食らっていた。
席についてしまったが最後、いつものように動けないのだ。
だから当然、いつものように仕事を進められない。
そのことをやっと理解した私は、一人静かに青ざめるしかなかった。
 
 
自分の仕事内容も、周囲の動きもいつも通りだ。
もちろん皆気遣ってはくれるのだが、私は基本的に事務仕事なので、特に体力を使っていたわけではない。
事務担当は私一人なので、もともとが誰かに代わってもらう仕事があるわけでもない。
だから怪我をしても、マイペースに少しずつやればできる、と思っていた。
 
だがしかし、である。
 
当たり前だが、事務職と言えども普段はかなり事務所内を歩き回っていたものだった。
 
たった一つの書類をとっても、作成する、整理する等、全てが自分の席に居続けたままではできないからだ。
決められた場所にあるファイルを取りに行く、複合機でコピーしたりスキャンしたり、
処分する書類はゴミ箱まで行かなければ捨てられない、ほかにもほかにも……
 
もちろん書類仕事の他にも、ナンデモ係の仕事は多岐にわたる。
なのに今の私は、立ち上がるにもかなりの労力を要する。
歩きまわるなんてもってのほかだ。
5歩先にある複合機に出力した書類を取りにいくことすら、簡単ではない。
 
そんな中、さらに致命的な事に気づいてしまった。
一階にある会社の和式トイレを、今の私は使えない……
 
 
そんなわけで
私の仕事時間は極端に短くなり、自分が動けないから周囲に協力を仰ぐ生活が始まったのだ。
 
席から離れたところにあるものは、できるだけ近くを通りそうな人に取ってもらえるように頼むことにした。
しかしこれが意外と難しい。
 
皆忙しいのだから、手当たり次第に頼むわけにはいかない。
もちろん、頼めば快く取ってきてくれるのはわかっているが、無策に続けばやはり迷惑をかけることになる。
だから、今どんな動きをするためにその人は席を立っているのかを、観察するようになった。
あくまでもさりげなく、でも必死にタイミングを探って、ここぞという時に頼むようにした。
 
そして、手を煩わせるからにはできるだけシンプルにまとめたことを頼める方がいい。
そのためには二度手間を避けるべく、物事を徹底的に自分の中で整理してから声をかけるのだ。
 
自分も、今までなら何も考えずに立ったり座ったりを繰り返してこなしていたことも、歩くと痛いから一度の立ち上がりで終わらせたい。
だからとことん無駄を省くために、最低限の動きで終わらせようと考えるようになった。
 
午前中だけと時間も限られているので、頭はもうフル回転だ。
 
すると、仕事時間が減っても仕事が減るわけではないから、先送りにする分をどうしようかと不安だったが、思いのほか仕事を進めることができていた。
 
 
こうして、気づけば怪我をした私は、社内で密かに少しだけ賢くなった。
……今までがどれだけアンポンタンだったかは、秘密だ。
 
  
今思えば、助言に従い、当日すぐに病院に行った方がよかったのだろう。
あの時、私がいなくてできないことがあったとしても、他にやりようはあっただろうし、その日の予定の全てが無駄になるわけではないのだから。
思い込みの独りよがりは、よくない。
十日前の自分に会えるなら、はっ倒してでも病院に連れて行くところだ。
 
 
治るまであと一ヶ月ちょっとある。
せっかく少し賢くなれたのだから、治る頃にはさらに賢くなれたりして~……
などと浮かれつつ、優しい皆に気遣ってもらいながら、患部を庇って、周囲に助けてもらうために頭を回転させる私の日々は、とりあえず完治の日まで続いていくのだった。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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