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騙すか騙されるか

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いのくち聖子(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「今後ネットで買えなくなるですって! 何ですってーっ!」
 
ここで火がついた、私の心に!
 
「お待たせしましたお客様、確認したところ定期購入でお申し込みされたのは間違いありません、コンビニ決済を選択されていますのでお支払いについては我が社とは無関係です。決済会社とお客様との問題です。お支払いをされませんと今後のネットショッピングができなくなる恐れもありますよ」
 
「はぁ??? 販売しといて何よ! 決済会社と私との問題で、販売会社は関係ないっていうの? それも変な話やろうが!」と言いたいのを堪えて、「そもそも定期購入してないって言っているのにどういう事ですか」
もう腹が立って若干声は大きくなっていたと思うが、こんな時こそ冷静に、博多のおばちゃんとして品良く行かねば! と頑張った。
 
「お客様、定期購入の方にしかこのお値段での請求にはなりませんよ、もう一度内容を確認して頂けますか、納得いただけるかと思います」
「納得いただけない場合は、消費生活センターなどに聞いていただいても構いませんよ」
 
電話の向こうのコールセンターの女性が勝ってる感じ、自信満々だった。
私はもしかしたら見落とした事があったのかもしれないっていう気になっていた。
いったん電話を切って、もう一度確認することにした。 だいたいおっちょこちょいな所があるし、前にも失敗しているからこそ尚更慎重にポチったつもりだったけど。
 
その広告には毛穴が小さくなって透明肌になるだの、リピート率97%だの、リピーターの使用感コメントが本当っぽいし、何よりの安心材料は、全額返金保証だ、肌に合わなかったらお金を返すって、良心的じゃないの。 マイページから24時間変更も解約も出来るって、良いじゃん良いじゃん簡単じゃん。 初回半額。 送料無料よ! 買うしかないじゃん。
洗顔フォームを牛乳石鹸で済ませてきたアラ還の私を誘惑して夢を見させたのだ。
1650円なら失敗しても文句は無いわ!
こうして博多のおばちゃんは「いつでも解約OK!今すぐ試してみる」ボタンをポチッとやってしまったのだ。
で、目を皿のようにしてもう一度広告をよーく読み返してみたら、なんとなんと! 小さくうすーいグレーの文字で「定期購入のお申し込みで」って買いてあるのでした。
やってしまったーっ! 引っかかっとる読んでないぞ、あほちゃうか私!
 
はたと困った、どうしたものか。 最初の1本は1650円だ、普通に支払済みだ。
定期購入してないと思っていたから2回目が届いてびっくりしたのだ。 2本で7000円近くの請求書が付いてきた。
洗顔フォームに使う金額では無い、私には。 1か月ほど使って効果ゼロだ。
個人差はあるだろうが、費用対効果が悪すぎるじゃ無いのっ!
ただ、普通なら自分のミスだから仕方ないな、と泣く泣く引き下がる所だった。
だがこの時の私は、一度ついた火がなかなか消えずにいた。
 
ネットショッピングできなくなるかもとか言うし、読めば読むほど言葉は悪いけど騙しにかかってるじゃないですか!
だいたい大切なことを書いているのに、字が小さすぎる、しかも薄いグレーだ、悪意を感じた。 しかも申し込みフォームの最後に「利用規約に同意します」のチェックする四角いボックスにすでにチェックが付いているから、飛ばしてすぐに申し込むボタンをタップするようになっている。 こんなところは確信犯じゃないの、定期購入ですけど大丈夫ですか? って確認を避けるためのような悪意を感じる。
 
とにかく坊主憎けりゃ袈裟まで憎い!
全てに悪意を感じた私は久しぶりに気持ちが穏やかではなかった。
あのコールセンターの女性が消費生活センターに電話してもいいですよと言ったので、それもムカついたのかもしれない。
自分のところが売っておいて、支払い会社とは無関係とか言うのも気に入らなかったし。
久しぶりの正義感発令スイッチオンだ、ファイティングポーズだ。
自分のミスは棚の向こうに追いやっていた。
 
とにかく、ダメ元でやるだけやろう、と消費生活センターに問い合わせてみた。
販売会社の広告内容について聞いてもらった、初めて電話したのだけど職員の方がとても感じが良い、最初から同情している感たっぷりの優しい声だった。
「わかりました、その広告を私も見てみますから少しお待ちください」
そして、その職員さんが一つ一つ、私が言った事を反復しながら細かく注意点を教えてくれた。 「確かに見落としてはいるものの、販売会社の落ち度が全くないわけではありませんから、ダメ元でもう一度掛け合ってはいかがですか?
どうぞ私の名前を出してもらって構いませんよ。 」
 
「要点は三つです。
 
一つ目は、この6月に法改正がありました「広告はよりわかりやすくすること」に反して誤解するようなところがある事。
 
二つ目は、定期購入と言う大切な内容なのに字が小さく薄く書かれている。
 
三つ目は、利用規約に同意するというチェックボックスに最初からチェックされている事。
 
この三点を話して交渉してみて下さい。 いのくちさん、頑張って!」
 
と、なんて心強いお言葉でしょうか! 私はやる気満々で交渉の電話をかけたのです!
ですが、何度かけても繋がりません。 時間をおいて再チャレンジしましたがやはり繋がりません。 まさか、電話番号で避けてるとかないよね。 疑心暗鬼です。
で、一か八かだ、商品とともに文書で返品しようと。
丁寧に梱包して、かくかくしかじかと要点を書き、返品を受け付けて頂けるのならば、初回の割引価格を定価で買いますので差額を請求して下さいとも書きました。
私もミスしたんだから誠意は示さないと、と思ったのです。
 
発送して1週間くらい経った頃に、メールが来た。
勝訴です! やったーっ! 正義は勝つ!
今回は特別に返品を受け付けるという内容でした。
嬉しくて嬉しくて、すぐに消費生活センターの職員さんに電話しました。 一緒に喜んで頂きました。 「次からはじっくり読むようにね」と釘も刺されましたが。
 
あの日、泣き寝入りしていたらこんなに爽快な気分は味わえなかっただろう。 久しぶりに気持ち良かった。 こうした誤解しやすい広告に泣き寝入りしてる人は多いと思う。
販売する側は商品に自信があるのなら、もっとわかりやすい広告を心がけてほしい。
 
数週間後、またインスタで見かけた、変わってる! 定期購入の字が大きくなってピンク色になってる! 全額返金保証に2週間って追記までしてあるわ。 やったね!
騙すより騙される方がいいんだけど、騙されない注意深さがもっと大事だな。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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