メディアグランプリ

魅惑のガラスペン‐膨らむ鼻の穴と伸びる背筋‐


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:pon(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「あぁ、やっぱりきれい。素敵。」
なんの話かというと、ガラスペンを眺めては声が漏れちゃうんですよ。
 
こじゃれた文具店の片隅や、色とりどりのインクの沢山並んだ大型文具店に少し置かれている、静かに輝くショーケースに吸い寄せられて、何度か足を止め眺めていたんです。ガラスペンのことは。
 
なんで気になっていたかというと、ずばり見た目。ガラスペンにほどこされた細工や、ガラス特有の透明感のある色やグラデーション。またガラスの中に入った気泡と細工に反射する光を見ると、とってもうっとりした気持ちになるのです。まるで幼いころ買ってもらったピカピカの宝石のついたキラキラのアクセサリーセットを見た時のような気持ちです。いつ使うかわからないけど、見てるだけで嬉しくなる!! 鼻の穴を膨らませてアクセサリーボックスを開けてはニヤニヤしていた。そんな気持ちです。
 
何度も足を止めて見ていたのに、なぜ今まで手にしなかったかというと、私の頭で「割れるんちゃう? 」「いつ使う? 」と、ちっとも情緒のないささやきが、ガラスペンの前に立ってしばらくすると聞こえてきたからです。だけど何度も見たガラスペンはペン先の繊細な細さも丁寧な仕事ぶりが感じられて、きっと手にすると愛おしくなるだろう予感はしていました。それは、もともとガラスが好きで北欧のフィンランド「iittala」というガラス製品ブランドの食器を発祥の地、イッタラ村のガラス工場まで買いに行くほど好きだから。ガラスの小物入れやキャンドルホルダーですが小さなそれを手にとって色んな角度で光を透けさせてみたりするだけでも、うっとりするほどに。
  
そんなガラス好きとしては、ガラスペンへの鼻の穴の膨らむ高揚感は静かに絶やさず持ち続けていたのです。またボールペンなどやインクペンで、イラストを書くのも好きなので、見つめるだけでなく実際にガラスペンを使ってみたい気持ちもあり、値段や形は調べていました。価格は1000円以下のものから10000円近いものまで幅広くデザインもさまざまあります。そしてペン先から持ち手まで全てガラスで作られたガラス細工のデザインが美しい一体型と、ペン先だけガラスタイプの持ち運び便利な分離型とあり、外でも使いたい人は分離型が便利そうです。私はうっとり見つめたいので一体型派!!
 
そんなリアルな妄想までしていた私のもとに、ついにガラスペンが舞い降りたのです。少し前にプレゼントでいただき念願のデビューを果たしました。
 
いただいたガラスペンは蝋で封をした小さな瓶と何本もの細いラインが緩いらせん状に持ち手の始まりから終わりまで伸びる無色透明のガラスペン。小さな瓶は群青色のインク。ペンは無色透明だからこそ、持ち手をのぞくと向こう側のらせん状のラインの輝きも透けて、四方八方に品よく光を反射させてました。もちろん鼻の穴も膨らんでたでしょう。もう手にとったら、やっぱり予想通り、愛おしいです。
 
毛筆の筆のようなしずく型のペン先の先端は0.3mm~0.5mmほどに細くなっています。毛筆の毛の役割をする細い溝が毛の流れのように刻まれています。この溝もまたよく見て欲しい!! 均等に刻まれとても美しいので。この溝数が10本以上のものがインクの持ちがよいとされています。実際に初めてガラスペンで試し書きをした時に1度つけたインクでハガキ1枚分(100字ちょっと)の文字を書けたことに驚きました。
 
インクの小瓶にペン先1/3程インクがつくようにペン先が瓶底に当たらないよう、そっとつける。ガラスペンにインクがついた姿も、またおすすめです。ガラスペンが無色透明だったのもよかったのか、インクが透けてガラスの輝きに奥行きがでて、美しさに磨きがかかります。そしていよいよインクをつけたペンをそっと紙におろしました。ペン先を少し寝かせたらインクがペン先の行く方向に滑らかに流れ出るようで、さらさらと書くことができます。ペン先を立たせると、とても細い線が書けますが滑らかな動きはなくなり、紙にカリカリと引っかかる印象でした。寝かせたり立たせ気味にしたりと、ペン先の角度で線の太さをコントロールできます。慣れれば文字だけでなくイラストを描くときに繊細な表現もできます。
線の細さ的には髪の毛よりも細い線も描けました!
 
インクやメンテナンスですが、インクは万年筆用のインクを使います。水彩画のような味わいが出て、全体がとても穏やかな優しい印象になります。1つのガラスペンで色を替えたい場合は、ペン先を水で洗い違う色のインクをつけて使います。ペンについたインクは水で洗えばきれいにとれます。とれにくいところは未使用の絵筆などで溝のインクを掻き出すようにすればとれました。ティッシュでささっとふいてもとれます。使ってみてメンテナンスも思ってたより簡単な印象です。
 
ガラスペンに限らず、インクにつけて使うペンは手間がかかる。
すぐ壊れちゃいそうで乱暴に扱えないな。
なんて、実用感の面では使用前は少しデメリットが目立っていました。
 
実際に使ってみた感想は、もちろん日常のサッと書くメモ書きには適していません。
ただ手紙やイラストなどには普通使いのボールペンよりガラスペンを私は使いたいと思いました。ガラスのペン先を瓶に当てないようにそっとインクをつける。インクの流れ出るスピードに合わせて、線の太さやインクの濃さを見ながら丁寧に書く。使い終わったら割らないように優しく洗って大切にしまう。
 
この一連の流れは、まるで茶道のような凛とした気持ちにさせてくれるのです。お茶を飲むだけではなく所作や器の美しさも愛で、全てに心づくしのおもてなしにアンテナを張るような。そんな心地よい緊張感。誰かに向けた文字は手書きが減っているからこそ、手書きを選んだ相手を思う文章やイラストは、丁寧に書きたくなるガラスペンをあえて使いたい。そういう時間を大切にして過ごしたいと思います。ガラスペンは私に丁寧に向き合うことの味わい深さも教えてくれました。
 
 
 
 
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2022-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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