『モナ・リザ』を観てがっかりしたド素人が気づいた、アートの楽しみ方
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記事:Motoko(ライティング・ゼミ10月コース)
「ちっちゃっ!」
思わずつぶやいたのは、ルーブル美術館で『モナ・リザ』を観たときのこと。
フランスに行ったら、絶対に観たい! 観なければもったいない!
妙な使命感にかられてだだっ広いルーブル美術館を歩きまわった。
『サモトラケのニケ』の彫像を通り過ぎること数回、ようやく出逢えた感想がコレとは、我ながら情けない。
描かれた背景やモデルなど、未だに謎が多い『モナ・リザ』は、美術の授業でだれもが一度は目にする名作のひとつだ。
気のせいかとサイズを調べてみたら、縦77センチ、横53センチ。
それほど小さくないのに、なぜこう感じたのだろう。
調べてみると、この疑問はネットでもよく取り上げられていた。
旅行サイトの口コミにも
「実際に観たら、『モナ・リザ』の小ささにがっかりした」
なんて意見が結構ある。
広告やCMなどで目にする機会が多いせいか、勝手に大きいものと勘違いしてしまうのが原因らしい。
ただ、大きさにはがっかりしたけれど、ガラスケースの中に収められた『モナ・リザ』は、観れば観るほど気品が漂い、なんだか目が離せなかった。
ただならぬパワーを感じ、しばしその場に佇んだことを思い出す。
アートに関して、自分はまったくのド素人である。
それゆえに美術展の帰り道に、若干の後ろめたさを感じることがある。
作品を正しく理解できているのかな。
ぼぅっと作品をながめるだけじゃ入場料がもったいないかな。
時代背景や作者について知っていたらもっと深く作品を理解できるだろうに。
ずっと知識のなさをコンプレックスに感じてきた。
でも、そんな自分でもごくたまに、理由なく惹きつけられる作品に出逢う瞬間がある。その瞬間のためだけに、めげずに美術展へ足を運んでいるのだ。
面白いもので、回数を重ねていくと
「これ、好きかも」
「こっちは良さが分からないなぁ」
いろんな作品を観て好き、嫌いを感じるだけでも、充分に楽しくなってくる。
専門家じゃないし、ド素人だから、これでいい。
そう思えるようになってきたのだ。
先日、ある作品が観たくて都内の美術館へと向かった。
ひと刷毛の白い雲が青空に浮かんでいるさまが、すでにアートに見える。
平日のわりに、人が多かったけれど、作品と作品の間を広くとっているおかげで、ゴミゴミした感じはしない。
入場してすぐに音声ガイドを借りた。
音声ガイドは、時代背景や作者の人柄、作品に込めた思いなどを分かりやすく教えてくれるスグレモノだ。
ただ、聴いた後で作品を見返すと、はじめに抱いた思いや感覚が失われ、にわか仕込みの知識に誘導されてしまうことも多い。
なので、まず作品を観てから音声ガイドのスイッチを入れる。
展示はかなり大規模で、絵画に陶器、立体アートなど多岐にわたっていた。
どの作品も、赤・青・黄・緑・黒など原色が目立つ。
あまりのエネルギッシュさに、こちらのエネルギーが吸い取られそうだ。
地下から1階、2階と展示室を移動していると、じーんと足が疲れてきた。
休憩しようかな、けれど、早くあの作品に会いたい! 観たい!
その気持ちが、重たい足を一歩、また一歩と進ませていく。
目当ての作品は、最後の展示室にあった。
他の作品とともにこぢんまりと飾られたさまに、懐かしさが込み上げる。
「ひさしぶりだね」
こころの中で、そっと話しかける。
そこにあったのは、近鉄バッファローズの帽子だった。
近鉄のファンだったワケじゃない。
けれど、課外授業の登山で帽子が必要になり、スポーツ用品店でひとめ見て
「わっ!カッコいい!」
背中がぞわぞわっとした。
デザイン、配色などすべてがどの帽子よりも好きだと思った。
帽子をデザインしたのは、
『芸術は、爆発だ!』
で有名な、岡本太郎氏である。
大阪万博で太陽の塔をデザインした芸術家としても有名だ。
暇つぶしにインスタグラムをながめていたとき、流れてきた岡本太郎展の紹介で、この帽子の画像を見つけた。
かつて、カッコいいと思って選んだ帽子が、まさか、岡本太郎氏のデザインだったなんて! こころの底から驚いた。
なんの知識がなくても、身体で、こころで、良いものは良いと感じるんだよ。
懐かしい帽子がそう教えてくれたようで、とてつもなくうれしかった。
アートを観て好きと感じるのは、ひとめ惚れと同じで、理屈じゃない。
背中がぞわっとしたり、目が無性に惹きつけられたり、どきどきしたり。
好きの理由を並べたてても、それらは、後づけでしかない。
単純に好きという気持ちが一番大切なのだ。
実は、岡本太郎氏は、生前ほとんどの作品を売ることを拒んだという。
理由は、『買った人しか見られなくなってしまうから』だとか。
いろんなヒトが観て、それぞれに違う思いを抱く。
好き、嫌い、なんでもいい。
自分が感じること、思うことが、すべてなのだから。
これからも、こうやってハードルを下げながら、アートを楽しんでいきたい。
***
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