作業用BGMになる曲がないし、「作業用」が嫌い
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記事:村人F (ライティング実践教室)
作業用BGMもずいぶん一般的な言葉になったと思う。
今やカフェでイヤホンを付けながら作業する風景は日常だ。
きっとみんな思い思いの曲を聞きながらやっているのだろう。
でも僕は、この作業用BGMを使うことが苦手だ。
高校時代から勉強の時に試しているけど、全然集中できない。
だから結局、イヤホンをしても何も流さず耳栓代わりという状態になる。
この理由を考えたことがある。
おそらく、僕の中で作業用BGMの定義に当てはまる曲が無いからだ。
よく言われる条件は「気にならない」ことである。
例えば日本語の曲だと歌詞に気を取られて作業に集中できない。
だから洋楽が適しているといった話だ。
ただ僕の場合だと、外国の曲でも気になってしまう。
カラオケ教室に数年通っていたからだ。
そのためK-POP等を聞いていても「この発声はどう喉を開けているんだろう」と技術的な部分に気がいってしまい作業どころじゃなくなる。
では歌の入っていない「インスト曲」ならどうかと言われても、これはこれで難しい。
小学生のころ『太鼓の達人』をやり込んでいたからだ。
そのため聞く時についついドラムなどの打楽器を意識してしまうクセがついてしまっている。
そして世の中にある99%の楽曲には必ず打楽器が入っている。
よってその時点で気になり作業用BGMにならない。
こんな感じで、そもそも向いている曲が僕にはないのである。
ここまでは実用的な理由だが、もう一つ心情的にやりたくないという思いもある。
「作業用」という言葉が嫌だからだ。
なぜならこの言葉を付けた瞬間「そのBGMを意識する気はない」と宣言することになるからである。
これが僕にとって抵抗がある行為なのだ。
全てのBGMは、歌手など大勢の人たちが丹精込めて作り出した作品である。
音の1つひとつに細かい工夫を入れていることだろう。
しかし作業用BGMと見なした瞬間、この努力の結晶を集中して聞く気の無い物にしてしまうのである。
これがとても嫌なのだ。
だからこそ曲をかけずに作業をしたい僕がいる。
だけど「作業用BGM」が必要になる背景もわかる。
曲があまりにも多すぎるからだ。
いや曲だけじゃない。
動画もマンガもゲームも本も、あらゆる娯楽が多すぎる。
これらを可能な限り味わおうとすると、どうしても複数を同時に処理する必要性が出てくるだろう。
それは理解できるんだけど、そのせいで1つの作品にじっくり向き合うことができないというのは辛いなあと思う。
もしかしたら、この「マルチタスク」も現代病の仲間かもしれない。
仕事でもプライベート問わず、やらなければならないこと、やりたいことが多すぎてパンクしてしまう。
そうやって心を壊してしまう人を大勢見てきている。
彼らが病んでしまう理由もいろいろなことを同時に行おうとしようとして、どっちも手がつかなくなった所にあるのかもしれない。
よってあまりにも多すぎる今だからこそ、むしろ1つに対してしっかり向き合うことが必要だと言えるだろう。
その練習として、曲はとても効果的だ。
なぜなら作業をせずに聞けば、すぐに実践できるからである。
歌詞がある場合はスマホ等で見ながら聞くとなおよい。
そうするだけで、これまでスルーしてきた多くの情報が頭の中に入ってくるだろう。
「この曲はこんなメッセージを伝えていたのか」
「ドラムのドコドコ、気持ちいい」
「ベースって意外と聞こえるんだ」
おそらく発見だらけになる。
しかも1曲にかかる時間も短い。
せいぜい長くて5分くらいだ。
これなら集中力もキープできるはずである。
そうやって慣れてきたらマンガや動画など、他のことにも適用していくのだ。
するとマルチタスクを強要されて忘れていた1つのことに向き合う力を取り戻すことができる。
その過程の中で、忙しさによって見落としていた美しさに気づくこともあるかもしれない。
こうなれば作品が本来持っていた心を癒やす力も十分発揮されることだろう。
今、世界にはあらゆる物があふれている。
食べ物、遊び、仕事。
とてもじゃないが100年程度の人生では処理できない量だ。
そのせいか、街中にも何らかの音が常に流れ続けている。
多すぎるためこういう場面で使わないと消化しきれないからだ。
これらを打ち消すためにBGMが欠かせないというのも、仕方がないことだろう。
だからこそ自分が聞く時は、できるだけ作業感をなくしていきたい。
全ての音楽は、本来それだけで楽しめるようにできている。
しかも人生を変えることすら可能な力を秘めている。
こんな素晴らしい作品をクリエイターの皆さんが作ってくれたのだ。
その敬意を忘れずに、日々を過ごしていきたい。
***
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