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メディアグランプリ

人間をダメにする魔性の家電「こたつ」は世界平和に貢献するか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:青梅博子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
「こたつ」の足が折れた。
足の爪を切ろうとして、何の気なしにこたつの天板に腰をかけたら「バキイイイイッ」とすさまじい音とともに、こたつの足が付け根のあたりから砕けたのだ。
ショックだった。
冬のお友達がご臨終になっただけでなく、自分の体重の急激な増加という真実を目の前につきつけられたので、二重に悲しかった。
しかして、奴がくたばったという事実に心のどこかでは「ほっ」としていた。
 
こたつ、この魔性の家電のために毎年私の冬は台無しだった。
ひとたびそのあたたかな布団の中に身体を突っ込んでしまったが最後。尿意が限界に達するなどの緊急案件が生じない限り、そこからの脱出はまずもって不可能である。
 
私はおそらく、前世は赤道直下で生息していたか、もしくは冬眠をする生き物だったのだろうと思われる。なぜなら暖かいと元気なのだが、寒くなると途端に活動限界がきて、動きが鈍くなり、しまいにはピクリとも動かなくなってしまうからだ。
そんな私が、冬を生き延びるためには「暖」が必要だ。
しかし、エアコンだと電気代が高くつくし、室内全部が暖かいので、サウナのごとく思考が鈍くなる。そのうえ乾燥するので加湿器までつけなくてはいけなくなり、大変に面倒である。
しかして「こたつ」は下半身ぬくぬく、頭はクールと大変すばらしい状態に身を置くことができる。状態としては最高じゃないか、と、この文を書くまでは思っていた。
 
そもそも寒いのがダメだと、朝、布団からの離脱だけで、多大なる苦痛と決断をせまられる。外気が冷たすぎて、布団の外に指一本たりとも身体を露出できないのだ。おなかが空いて朝ごはんが食べたいという、生命の三大欲求の1つを心の火種にして、なんとか布団から出ずに着替えを布団の中に引きずり込んで、防寒をすませてから、やっと布団を脱し、食事をすませるのだが、そこに「こたつ」があり入ってしまえば、再びとらわれてしまい抜けだせない、こたつと一体化したカメかカタツムリのような、微妙な半機械化生物へと進化、いや退化してしまうのだ。
何故、こたつに入ると人は眠ってしまうのか、今回これを書くにあたって調査したところ、人は人である限り、こたつに入ると寝てしまうことが判明した。
人は、頭を冷やし、足を温かくすると眠くなる。
足を温めると、体内の血液が足の方へ集まり脳の血液量が少なくなるため、脳へ行く酸素が減少し脳の働きが低下する、さらに頭を冷やすことによって、眠気を誘発するメラトニンの分泌が増加、どんどん眠くなる。そうこたつに入っている人の状態がまさにコレ。
人を眠くするためのメカニズムを完全に体現している魔性の家電「こたつ」。恐るべきことに、これはこたつの「仕様」だったのだ。
こうして「仕様」により、こたつで仕事をしていたはずが「やむなく」徐々に眠くなり、そのまま朝まで寝入ってしまい、脱水や低温やけどになってしまうという地獄が待っているのだ。
そこに、みかんと猫という、ときめきオプションが付属したが最後。完全に外界と遮断された「極楽結界」が生まれ、春まで「こたつ合体」は分離不可能となる。
まさしく地獄の罠である。
こんな人をダメにすることに特化した機械(からくり)は、なんと室町時代から日本にあった。こちらは囲炉裏にやぐらを置いてふとんを掛け、暖を取るスタイルだったという。
その後、江戸中期以降に火鉢をやぐらで囲いふとんを掛けた移動が可能なこたつが発明された。火鉢のこたつの登場によって、それまでの囲炉裏のコタツを「掘りごたつ」、火鉢のコタツを「置きごたつ」と区別するようになった。
今様の電気こたつは1957年に東芝が発売して、全国のご家庭にすみやかに普及したという。人は約700年もの間、この魔性から離れられず今日に至るのだ。
 
先に友達と酒を飲みながら、戦争を終結する方法として、猫とみかんをオプションにつけて、寒い国に「こたつ」を輸出するという方法を考案したことがある。
 
我々の想定では、軍人が疲労による休息で「こたつ」に足を突っ込んだ瞬間、精神は緩み、攻撃力は萎え、皆、休憩時間が終わっても離脱不能になり、戦闘力は低下。戦線に人員不在となり自然に戦闘が終結する。
これを忌避した首脳陣は「こたつ」力を恐れて「こたつ禁止令」を発令し、それに抗う「こたつ守護派」が台頭、国内でのデモ活動を止められずに、他国への出兵どころではなくなり、これもまた戦争は終結というビジョンが描かれた。
酔っ払いの妄想であるが、戦争すら終結させてしまう「こたつ」の恐ろしい魔性に、我知らず震えが止まらなくなったものである。
 
しかして、こたつ文化が海外で何故流行らないかをヨーロピアンに尋ねたところ、靴を脱がない文化なのでシャワー等で足の臭いを取らなければ臭くて使えないのだそう。ならば、上記の恐るべき作戦が成立しないのもやむなきと思ったのだった。
 
まあ長い枕であったが、そんな恐るべき家電兵器と、今の冬は強制的に別離できたのだ。
考えようによっては、こんなに喜ばしいことはない。
もう、あの魔性家電との合体生活とはおさらばして、今年は元気に動き回り、仕事の効率を爆裂にあげる冬にするのだと、意気揚々としていたのだが、ちよっとDIYができる友人に話したら「すぐ直るよ」と言われてしまった。
今、私は、友人を呼んで修理してもらうか、聞かなかったことにして粗大ごみに出すかの岐路に立たされている。
 
恐るべき冬は、始まったばかりだった。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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