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認めたくないが太ったらしい僕の、おっかなびっくりスポーツジム入会体験


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:神田 銀平(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
学生時代から10㎏以上体重が増えた。〇か×か。
 
健康診断を受ける前の問診票。縁がないと思っていたその項目に、僕は苦虫を嚙み潰したような顔で、生まれて初めてその丸を、ゆっくりと書いた。
 
みんな太りたくて太るわけではない。ただ運動の機会を失い、美味しいご飯を毎日のように食べていたら、人は太ってしまう。
 
学生時代はスポーツに打ち込み、走り込みや筋トレをしていたので、BMIで判定すると痩せすぎ。にあたるくらい僕の身体は細かった。30歳を機に、僕は食べても太らないという理論とさよならをしたつもりだったのだが、僕はいまだにその幻想を大事に抱きかかえていたらしい。
 
見て見ぬふりをしていたのだが、何年かかけて、事態は悪い方に転がっていた。
社会人になって、運動をしなくなった。(+1㎏)
フィールドワークからデスクワークへ仕事を切り替えた。(+2㎏)
コロナ禍になって、外を歩き回ることがなくなった。(+3㎏)
タバコをやめて、ご飯を美味しく感じるようになった。(+4㎏)
 
あっという間に、とは言いづらいが、いとも簡単に僕の体重は増加していた。痩せ過ぎからの+10㎏だから、標準やや太り気味。に分類された。
 
痩せなければならない。その使命感より僕はスポーツジムの扉を叩いた。
 
受付の前に来て、あのー、と声をかけると、入会ですか? と女性のスタッフが対応してくれた。偏見なのだが、ジムにはマッチョな男性しかいないと想像していたので少し驚いた。スポーツが得意そうな女性だが、男性よりも威圧感がないので、これなら女性が通っても安心できるだろうと感じた。
 
彼女は慣れた手つきでチラシを僕に渡し、説明を始めた。トレーニングジムだけでなく、ダイエットを目的としたフィットネススタジオやプール、エステもあるという。その他にも、ジムで汗を流した後には、お風呂やサウナを楽しむこともできるという。
 
ジムなので単純に筋トレをしに来るのでもいいけれど、スタジオでフィットネスを楽しんだり、仕事終わりにヨガをしに来たり、サウナだけを目的にして来てもいいなんて、テーマパークみたいだ。ジムと言っても楽しみ方は人それぞれのようだ。
 
あらかた説明を終えると、料金の話になった。
月会費なんですけど、ノーマルプランで約1万円になります。
 
やっぱりそうか。と思った。ここまで何でもあって、更に安い。とはならないよな。ここで入会に踏み切るかどうかと、うーんと唸って、少し迷った。
 
それでしたら、と言って女性は話を続ける。
こちらの『休日と、平日のアフター5限定プラン』や、『1店舗限定プラン』を組み合わせたり、オプションを削られるともっとお安くなりますよ。と言うのだ。
 
そうか、確かにこういったプランを組み合わせればもう少しリーズナブルな金額になる。いいかもしれない。そしてこの、ちょっと高いかもという金額が絶妙にいい。仮にこれが千円だったとしたら、まぁ行かなくてもいいか、という気分になってサボってしまうかもしれない、そこそこの金額だからこそ、行かなければもったいない。という気分にさせてくれる。継続的に通うモチベーションにもなる。
 
そうしてもろもろの契約書にサインした僕は、晴れてこのスポーツジムの会員となったのだが、次の壁が立ちはだかった。
 
それは、スポーツジムという未知の世界に対するハードルの高さだ。
そう思って周りを見渡すと、やっぱりいるではないか。ベンチプレスを軽々と持ち上げたりする猛者や、全力疾走くらいのスピードで走り続けるランナーのような方々が。彼らは高そうなトレーニングウェアを着こなしており、室内シューズまでかっこいいものを履いている。僕にはまだ早いんじゃないか。そう思いながら、もう少し周りを眺めると。あれ、と思った。
 
エアロバイクと呼ばれる空回りし続ける自転車のようなマシンをゆっくりこぎながら本を読んでる人や、ランニングマシンでひたすらゆっくり歩いてる人もいる。彼や彼女たちは、スポーツ用のTシャツにズボンはジャージを履いている。おそらくトレーニング目的ではなく、ダイエットや、運動不足解消などと言った理由で通っているようにも見える。これくらいなら初心者の僕にもできそうだ。そう感じることが出来ると、未知の世界へのハードルは少し下がった。
 
ジャージと室内ウェア、あと水筒を調達した僕は、デビュー戦に挑んだ。
ベテランたちの中に混じるのは少し緊張する。そう思うのだが、初回はトレーナーの方が一緒にトレーニングマシンの使い方を教えてくれながら徐々にこの雰囲気に慣れることが出来る。なるほど、これなら初心者も安心だ。
「3秒かけて上げて、3秒かけて降ろしましょう。息を吐きながら、ゆっくりでいいですよ」ガタイのいいお兄さんが優しく教えてくれる。
 
なんだ、始めてみれば簡単ではないか。これぐらいならもっと出来るぞ。
そう思って言われた回数より多くやってみてもいいですか? と聞くと。
「無理は禁物です。最初に頑張り過ぎちゃうと、トレーニングは辛いモノってイメージがついちゃうんで、最初は慣れるためにやる。くらいのイメージで大丈夫ですよ」と言う。
 
ガタイのいい爽やかマッチョは心まで清らかだった。健全な魂は健全な肉体に宿るというが、本当にそうなのかもしれない。
 
「あとはそうですね、やっぱり最初はスポーツジムに通うことを習慣にするのが難しいので、通い続けた時の未来像を明確にイメージするのが大事ですね。例えば、食べ過ぎないようにって思うより、その分運動するから大丈夫って思えるようになったり、仕事から帰ってきた後に趣味に打ち込めるくらい体力がついたり、疲れづらくなるのでより仕事に集中出来たり、生活にメリハリをつけることが出来るようになるので、継続したらそういう自分になれます。こうなりたいって思うことが大事ですね」
 
このマッチョはなかなかいいことを言うではないか。そしてそんな心のケアまでしてくれるなんて、至れり尽くせりだ。
 
そうして始まった僕のスポーツジム通いだが、もうすぐ一年になるらしい。
結論を述べてしまうと、最初の内は思うように体重が落ちず苦戦する。というもどかしい期間もあったが、今は体がスッキリして体重も少し落ちた。体重の減少よりも、体が引き締まって疲れにくくなったのが一番大きいと思う。そして運動したらぐっすり眠れるという当たり前の現象が、妙に嬉しかった。
 
何事も継続することは難しいが、続けることは自信にもつながるし、自分で作った目標を達成すると、自分のことをもっと好きになれると思う。ちょっとハードルが高いな。と感じることも飛び込んでみれば、実は簡単だったりする。しかも、人はそもそも教えたがりなので、ベテランの方々は意外と優しくて、案外仲間が増えること自体を喜んでくれる人もいる。
 
みなさんも、やってみたいけど踏ん切りがつかない。と思ってることがあれば、未来を楽しむ理想の自分をイメージして、とりあえず始めてみてはいかがだろうか。それは、また新しい自分に出会うための一歩かもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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