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私のストレス解消法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ちー(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「あと何分だ」
切迫した顔でりょうすけが訊いた。
額には大粒の汗が浮かんでいる。
「まだだ、あと2分」
「うそだろ」
りょうすけは、ため息をはいた。
そのあと、長い沈黙が続いた。
耳には、時折、シューという音だけが聞こえてくる。
隣を見ると、りょうすけが苦しそうに目を閉じている。
時間が永遠のように感じられた。
 
「ダメだ!もう俺我慢できねえ!」
突然、りょうすけは立ち上がった。
そして、ドアを勢いよく開けて、外に飛び出した。
「おい待てよ!」
私は急いで追いかける。
めまいがする。
息が切れて、もう倒れそうだ。
 
バッシャーン。
 
突然、爆裂音が飛沫を上げるように響いた。
私の目の前にはモクモクと湯気が立ちこめ、何も見えなくなった。
しばらくして、ようやく、水面から人の顔が浮かんできた。
「早く外気浴行こうぜ」
りょうすけは水面からガタガタ顔を震わせながら言った。
 
そう、私たちはサウナにきていたのだ。
 
 
 
 
「一回行ってみろよ!マジでぶっ飛ぶから」
りょうすけにそう誘われて、私がサウナに通い始めてから2.3年が経つ。
私とりょうすけは大学サークルの友人だ。
「うぇーい!!!」
りょうすけは明るい性格でいつも多くの友人に囲まれている。まるで太陽みたいな奴だ。
一方、私は内向的なので、どうして私たちが友人になったのかは謎である。
とにかく、陽気な友人に導かれて、私はサウナの魅力にどっぷり浸かってしまったのだ。
 
 
 
 
サウナにはルーティーンがある。
まずサウナ10分ほど入る。その次にキンキンに冷えた水風呂で体を30秒ほど冷やした後、露天風呂に向かう。
その時、露天風呂には入らず、外に設置してある椅子に腰をかけて外気浴をする。
高温のサウナと、キンキンの水風呂で極限状態まで追い込んだ体を外気浴でリラックスさせているその瞬間こそ、“トトノウ“状態である。
 
「やべえ、めっちゃ整った」
トロンとした目つきでりょうすけが言った。
「ああ」
私は力の無い返事をした。何も考えることができないほど、リラックスしていたのだ。
「気持ちええ~」
12月の寒空には星が美しくちりばめられていた。
あたりは真っ暗なのだが、かすかな照明の明かりで、露天風呂から立ち上る湯気が見える。
客はほとんどいない。露天風呂の外気浴スペースは私とりょうすけの二人だけだ。
外にはごく稀に自動車が通り過ぎる音だけが聞こえる。
まるで森の湖畔にきているかのように感じられた。
とても静かで穏やかな時間が流れていた。
私は目を閉じて、自分の心臓の鼓動に意識を集中させていた。
 
サウナは懸垂だ、と私は思う。
懸垂とは鉄棒にぶら下がる、あの懸垂だ。
「苦しい」
鉄棒にぶら下がっている時間はとても長く感じられ、早く降りてしまいたいと考える。
鉄棒から解放されることだけに意識が集中されて、頭の中が空っぽになってしまう。
 
サウナも同じである。高温のサウナに閉じ込められている時は、
「早く水風呂に飛び込みたい」
ということだけで頭がいっぱいになる。
すなわち、家事や、明日の仕事のことを忘れて、その瞬間に意識を向けることができる。
 
そして、水風呂に浸かり、外気浴を浴びている瞬間は開放感を味わうことができる。
サウナはストレスを開放してくれる、最高のリラックス方法なのだ。
 
 
 
 
サウナを始めて良いことはもう一つあった。
「あれ、最近痩せました?」
小動物みたいなバイトの後輩にそう訊かれたのも、サウナに通い始めてからだ。
大学生になって、運動不足になっていた私は太っていた。
しかし、サウナに通い始めてから自律神経が整い、食欲の暴走を抑えることができるようになったのだ。
また、サウナの効果で睡眠の質が高まったことにより、生活リズムも整った。そして、夜の暴飲暴食を抑えることができるようになり、少しずつ標準体重に近づいていった。
サウナのおかげで私は健康な体を手に入れたのだ。
「そうかな、ありがとう」
「何かダイエットでもしているんですか?」
後輩は不思議そうに尋ねてくる。
「特別なことはしていないけど、サウナだけは行ってるよ」
「サウナ!最近はやってますよね。私も今度行ってみようかな」
「うん。一回行ってみなよ、マジでぶっ飛ぶよ」
私はりょうすけと同じ文句で誘ってみた。
「え、なんか怖いです。気が向いたら行きます」
これは行かないやつだな、私は心の中でそう皮肉った。
サウナの素晴らしさを、たくさんの人に是非知ってもらいたいと、私は思う。
 
 
 
 
「今日も最高だったな」
脱衣所で体を拭きながらりょうすけは言った。
「ああ、今年で一番、最高だったかも」
私たちは服を着て髪を乾かして、コーヒー牛乳を買って外に出た。
外には満天の星空が広がっていた。
「明日からまた卒論頑張るか」
りょうすけは伸びをしながら言った。
「だなー」
私たちはサウナがあるから頑張れる。
サウナでリラックスをして、また明日からも切り替えて日常に挑むのだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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