「続ける力」を考える −罪悪感を勇気に変えて
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田口ひとみ(ライティング・ゼミ12月コース)
「継続は力なり」というけれど、続けられない自分がいる。
あけましておめでとうな時期、今年こそは継続して何かを成し遂げるぞ、と気持ちも新たに決意したとしても、20歳の晴れ着姿を拝む頃には早くも息絶えている。
幼い頃の習いごとにしてみても、続けた人だけが到達できる高みというものがあるのだと思う。けれど、大半の人はモノにすることができず、ある程度の嗜みをもって区切りをつけていく。
実は、こう書いてみたが、何をそんなに続けたいのか自分でもよくわからない。そこが問題なのかもしれない、というのは置いておいて、年のはじめに相応しく「続ける力」について思いを馳せてみた。
物事が続かない、続けられない理由は何があるのだろう?
自分の場合はまず、飽きっぽい性格。
何にでも興味を持って、隣の芝生が青々として見えてしまうのだ。だから、あっちもいいな〜、こっちもいいな〜と、ついつい浮気してしまう。
次に、エセ完璧主義者であること。
完璧を目指すが故に、たった1度の失敗ですべて終わった……的な思考が働くから、失敗した時の諦めが早く、思うようにいかなかった時点で挫折してしまう。
そして、結果を求めがちな欲深さ。
たいして努力もしていないのにすぐに変化を望むから、それが手に入らないと、続けたからってどうなるんだ? という気持ちが勝ってしまう。
悲しいかな、物事が続かない、続けられない条件が揃っているように思えて、文字にしたショックに打ちのめされているところではあるが、そんな自分でも何かを継続することはできるのだろうか?
継続するためには、いったいどうすればいいのだろう?
継続するためには、習慣として定着させるといいらしい。人が何かを習慣化するには、平均66日(内容によってはもっと)かかる、というのを何かで読んだことがある。
冗談じゃない。これでは、習慣になるまでに飽きてしまうではないか!
いやいや、だとすれば、だ。まず3日、3日続いたら1週間、1週間続いたら21日、21日続いたら習慣になる、というのも聞いたことがある。
3日かぁ……。自称・3日坊主スペシャリストな自分だが、3日だけならなんとかできるかもしれない。そう、小さな成功体験というのがきっと大事だ。
そこで今年は、元旦から毎朝、起きたらベッドメイキングすることを続けてみている。
え、今までやってなかったの? というツッコミはスルーしよう。我が家の猫ちゃんは、人が寝ていた後のお布団のお山が大好き、なので、これまでは猫ちゃんのために布団を整えず、にしてあった。
けれど、今年の自分は「何かを続けてみたい」ということで、
「朝お布団をふぁっさーとして猫ちゃんが迷惑そうな顔でベッドから飛び降りて走っていくのを見送る」
までをワンセットにして、何とか続けることができている。オマケに、窓をあけて寒気もしちゃう。寒くて去年はできなかったのに。
このすばらしく小さな成功体験から学んだことは、
1、無理のない程度のこと(お布団を整える)を
2、誰か(猫ちゃん)の見守りや励ましを受けながら(?)
3、プラスアルファのちょっといいこと(迷惑そうな顔で走っていくのを見送る)がある
という3つの条件が揃うと、継続できるということだ(当社比)。
なんだ、案外いけるかもしれない。あとは、1日できなかった日があったとしても「まぁ、そんな日もあるよね」などと笑いながら、どーんと構えていればいい。誰かが死ぬわけじゃないしね。
そんなこんなで、希望の光が見えてきたかのようにも思えるけれど、自分の中に引っかかっている感情がある。
その感情は、物事が続かない、続けられない、ということについて感じる「罪悪感」だ。だけど、続けられないことは、果たして悪いことなのだろうか?
この感情の原因のひとつは、冒頭に書いた幼い頃の習いごとかもしれない。エレクトーンに習字、バトミントン、絵画にそろばん、水泳まで……何一つ長く続けられず、毎回親を落胆させていた。その落胆っぷりに対する申し訳なさが今でも根っこにある。
その上、どこそこの誰ちゃんはピアノをずっと続けててとか、書道何段で賞をとってなんて、あたかも続けることは良いこと、のような刷り込みをされるのだから、人って面白いもので「続ける=良い」となれば、「続かない=悪い」と単純に刷り込まれてしまうのだ。
その残念な刷り込みの一方で、チャレンジさせてくれた両親の寛容さ(甘さとも言う)には感謝しかない。あることを諦めて、次のことに果敢に挑戦していく勇気は、この紆余曲折の習いごと体験なくしては身につかなかったから。
「続ける力」について考えてきたが、続かない=悪いこと、という認識は改めた方が良いことがわかった。だって、続かないからこそ、さまざまなチャレンジの機会を手に入れることができて、興味の範囲が広げることができるのだから。
そして、勇気をもってチャレンジすることで、さまざまな失敗を繰り返し、トライアンドエラーで創意工夫を凝らせる人、根気強く何かに向かって行ける人に育てていくことができるのだから。
と、そんなふうに続けられない自分を正当化し、ふんわり美化しつつ、自称・3日坊主のスペシャリストは、継続が力になることを信じて、物事を続けていく方法を日々模索していく。
***
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