メディアグランプリ

100歳おめでとう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:柳 華垂(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
「余ってたり使ってないノートがあったら、恵んでくれるかい?」
 
当時80歳の祖母から言われた言葉だ。
どんなノートでも構わないと言われ、家に帰って探してみると数冊見つかった。いわゆる大学ノートや落書き帳、コピー用紙などだ。それをあげるだけなのもどうかと思い、祖母の目的に合うノートを買ってあげようと、何に使うのか聞いてみた。
 
「ボケないようにと思って、70歳の誕生日から毎日日記を書いてるんだけど、日記だけなのも面白くないから絵も書こうと思ってよ〜」
 
「すげー!!」
その時の感想である。
そんなことやっていたなんて……。
 
私も日記を書いていたことがあるが、1年も続かずに辞めてしまった経験がある。たとえ数行でも毎日書くのは結構大変だ。それをすでに10年も毎日続けているなんて超人だと思わずにはいられなかった。
 
祖母と私の違いはなんなのか考えてみた。
それは、目的意識があるか無いかの一言に尽きる。私の場合は、日記を書くという事が目的だったが、変なこだわりが出てきて、ノートはどれが良いのか、ペンはどれにしようかなど、今考えると「おまけ」の様な事が気になり、書いている自分の文字が汚いから書きたくないといった思考になり辞めてしまった。
 
しかし祖母の場合は、将来ボケない為に今からできることを毎日やるという目的だったため、日記が書ければノートはなんでも良く、ペンも近くにあるものならなんでも良かった。ボールペンでも鉛筆でもマジックペンでも。
「将来ボケない為に日記を書く」
この目的を果たすために、その他のことを排除して、とてもシンプルにしていた。
 
何故、このような考え方ができるのか聞いてみた。
祖母曰く、
「戦争を経験していて、物が全然無い時代を生きてきたから、今あるものでどうするか考えるんだよ。」
ということだった。
つまり、日記を書くノートとペンがある。だからそれに書く。それ以上でもそれ以下でもない。この話を聞いた時、私は自分を恥ずかしく思った。少しだけだけど……。
 
それから時は経ち、祖母の90歳の誕生日。
膨大な量の絵を見せてもらった。着物を着た女性の絵が多かったが、どれもとても上手だった。イメージして書いたものや、雑誌やTVで観た風景や建物などを描いた絵もあった。
最初に描いた絵から順番に見せてもらったら、だんだん上手になっていた。習ったわけでもないのに。数をこなすと上手くなるのは本当のようだ。
でも、ただ描いていた訳でもなく、どうすれば振り向いて見えるように描けるのかなど、より良く描くためにどうすれば良いか試行錯誤していた。
ただ描いていただけでは、こんなに上手にはならないのだろう。
毎日1枚を10年。3,650枚ぐらいかと思ったら、4,000枚以上あった。
「すげー!!」
 
祖母が描いた絵の膨大な量に比べて、乏しい私の語彙……。
 
 
ついに、2022年11月。100歳のお誕生日。
30年間毎日欠かさず書いてきた日記、絵。
積み上げるともの凄い高さになる。
まるでインデックス投資。長期投資の複利で莫大な資産を作った投資家のようだ。
 
日記と絵を見せてもらった。
 
ん?
なんか1種類増えている……。
 
95歳ぐらいから文字の練習もしていたようだ。
新聞や本を読んで、気に入った言葉や知らなかった漢字を書き写していたようだ。
日記、絵、文字の練習。
高齢者になってからボケない為に始めた事。
正直、感動した。
30年も毎日続けられるってとてつもなくすごい事だと思う。
 
しかも、全然ボケていない。
目的達成!!
 
100歳になった祖母に夢を聞いてみた。
「戦争で恋愛なんてできなかったから、老いらくの恋がしたいね〜!」
まだまだ元気で生きてくれそうだ。
 
祖母の生き様から多くのことを学んだ。
偉大な祖母の血が流れているから、きっと私も毎日積み重ねて、死ぬまで挑戦し成長できると期待したい。
 
おばあちゃん。100歳おめでとう!
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-01-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事